コペルニクス的転回

懐中温泉です。

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コペルニクス的転回

よく物事の考え方が劇的な、

革命的な転換をする代表例として、

コペルニクスが取り上げられます。

地動説ですね。

太陽が地球の回りを動くのではなく、

地球が太陽の回りを動いているのだ

この説を唱えたコペルニクスは

16世紀のポーランドの
天文学者でした。

聖職者でもありました。

天体観測を生涯続け、

その著『天球の回転について』で、

古代ギリシャ思想の影響を

受けた地動説を唱えました。

ただ、彼は聖職者であり、

固陋なカトリック教会が

天動説である立場ですから、

生涯この著作は封印されました。

その死後、この説をとりあげ、

異端審問で拷問寸前までいったのが

ガリレオ・ガリレイです。

また、やはり頑迷なカトリック教会は

19世紀に発表されたダーウィンの進化論

についても、神が人間を作ったのだ

という信念から長らく否定してきています。

一神教という強力な信念は

かくも物事を

見えなくしてしまうという

実例ですね。

その点、多神教はそうした

頑迷固陋さはなく、

すべて受け入れます。

したがって、古代ギリシャ人は

地動説の立場を取っていた

でしょうし、進化論も

やすやすと受け入れたことでしょう。

実際、日々の暮らしが充実すれば、

そうした事柄は、まあ茶飲み話に

すればいい、くらいの考えです。

いい奥さんを持てば

あなたは幸せ者になれる

ひどい奥さんを持てば

あなたは哲学者になれる

自らが恐妻家であった

哲学者ソクラテスが

言ったとされます。

こうしたさばけた物言いは、

まさに多神教の環境で

発されるものです。

日本でも、地動説は16世紀から

知られており、また進化論も

何ら抵抗なく受け入れられました。

実際、天岩戸に隠れた

太陽神アマテラスを

アメノウズメの裸踊りで

引き出す

これでは天動説は

無理というものです（笑）

もちろん、敬虔さ、人生に対して

究極まで理想を追い求める

真摯な態度

一神教に通じるそうした

事柄は否定するには

及びませんが。

いきなり大上段に構えました.

単に
私自身の「コペルニクス的転回」

をお話するために始めたのですが

つい、長くなりました。

私がメンターとする高校・大学の

先輩との最初の出会いについて

お話したかったのです。

私にとっては

まさに「コペルニクス的転回」

であったからです。

高校時代は私は彼にはついに

会っていません。

仮称久保君の、卒業生懇談会での話を

聞いていただけでした。

そして直接話を聞いた仮称久保君は、

まさか色恋のためではないとは思いますが、

仮称藤井さんと

同じ地元の国立大学を受験しました。

彼女自身は東京の私立大学に

なるのですが。

そして

間接的に話を聞いた私が

その先輩と同じ大学に入った

わけです。

入学後、同窓新入生歓迎コンパ

が開かれ、私が出席し、先輩も

来ていました。

最初は、ごく穏やかに

飲食をするだけでしたが、

酒杯を重ねる内に、

隠し芸を披露する、ということになります。

新入生であるわれわれは、

大した芸も持ち合わせて

おらず、ただ高校の応援歌を

歌いました。

もっとも、1人、

浪人で入った人間は予備校で

教わったという卑猥な替え歌を

歌ったのです。

ヤンマー・ディーぜルのCM

の替え歌でした。

ヤン坊とマー坊

これを

森の木の実

と

森の小動物

に置き換えただけの

シンプルなものです。

工学部の人間で、

なかなか論理的で

ダイナミックな

内容でした。

それを聞き、冒頭で全てを解し

最後は一緒に歌った先輩諸兄は

お前、やるな、

と「リンゴの歌」など

古典的な替え歌から

最新の作品まで

次々と高歌放吟します。

カラオケというものが

存在しない時台なので、

アカペラです。

こういう人々と一緒と

されたくない、

と耳を覆いたくなる、

卑猥で猥雑な歌ばかりです。

しかし、それを聞いていた

メンターである先輩は、

まだ物足りないという感じで

じゃあ、俺の新作を

聞かせてやるか

と立ち上がりました。

彼は3年生でありながら

4年生よりもいばって

いたのです。

それは、沢田研二氏の

「TOKIO」の替え歌でした。

原曲は糸井重里氏の作詞で

空を飛ぶ　街が飛ぶ

雲を突き抜け星になる

火を吹いて闇を裂き

スーパーシティが舞い上がる...

と始まります。

伴奏も、また振り付けも

こなしながらの本格的な

替え歌です。


擬態語の編集も
極めて適切でした。

替え歌というのは

なるべくオリジナルを

いじらないで、しかも

劇的にその内容を換える

それが高度であればあるほど

替わる語句は絞られます。

一連の作品が猥雑に歌われ、

げらげらという笑い声が続く中、

その点は私も理解していました。

先輩は美声でその替え歌を

歌い終わりました。

この作品が歌われている間は、
実は皆、あまりに驚いて
ほとんど謹聴していたのです。

「･･･」

皆、衝撃のあまり、

しばらく声もありません。


本来抽象的な内容の歌が
ここまで具体的になるのか

重い感動さえもが、

その場には深く

漂っていました。

それでも、やがて、

だれかが

「で、2番はあるのか？

卵子とかで」とたずねました。

先輩は、ただ、こう言いました。

「卵は、空を飛ばねえだろう？」

俊才でもある彼は、

そこらへんは

論理的でした。

私は、その時から彼を

コペルニクス的に

尊敬するようになったのです。

替え歌の極意

１　なるべくオリジナルを

替えずに

２　しかも、価値観の激変を

目指す

これができれば、実は

あなたは偉大なる創造を

したことになります。

聞いている人に価値観の

完全な転換をさせること

だってあるのです。

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