踏み出す百歩の心意気 | Use Pocket

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大丈夫。気付けばそこにいる。
そう、いなくていいわお前なぞ、
と言われぬ限りきっとあなたのそばにいる。
そんな人に私はなりたい...とは思わない。
私がなりたいのではなく人のそばには
必ずそういう人が付いている。
それに気付くか気付かないか、ただそれだけ。

 

 

たまたま出会った街野良猫と

田舎道をちと歩く

 

それは突如現れて

僕らはぎょっと飛び上がり

慌てふためき後退る

 

足を止めて息飲んで

目で追う先には大きな百足

 

一人一猫動きを止めて

百脚揃った行方を見凝らす

 

百足の方は

我関せずと凸凹細いアスファルトを

渡って行った

 

それからもう一度藪を見た

結構背高い藪を見た

私に合わせて猫もついでに藪を見た

6~7秒も見続けた

 

特に何か見つけたわけでもなければ

別段追加の生物が出没したわけでもない

 

だから見た

だから恐らく君も見た

 

なあ猫よ

やはり君もそう思うか

 

「藪から出てきた百足を見て 

 いざ藪へ行かんと思えるか

 

 自分のよく知る生活圏に

 部外者がやってきて

 縄張りの優位性から

 嫌悪敬遠排他と洒落込むものに

 

 ものになぞ

 訪れないとも

 

 未だ見ぬ景色など

 あらぬ予期せぬ希望など

 

 こんな拙い想い事でも

 何事にも通ずる答えのそばのこと

 

 出てきた百足をただの害虫とみて

 それで終わりとするか

 

 それを害虫とは思いつつも

 しかし大した開拓者と見上げるか

 

 藪のない景色が見える場所まで

 そいつは降りてやってきた

 藪を掻い潜ってやってきた

 

 同じことが果たして出来るか

 

 そいつがそっからやってきたなら

 そいつが知らぬ世界から来たのなら

 こっちも行けるとこまで行ってやろうか

 藪の秘境のあるところまで入ってやろうか

 

 そう思えるか

 

 良くも悪くも光を見るのは

 その手のものだ

 

 そういう心意気は根差しているか」

 

なあ猫よ

やはり君もそう感じたか

 

薄ら揺れるその葉声から

それを感じ取ったか

 

だから見たのか

だから僕らはそこを見たのか

 

その藪を前に

目で見て取れる何かを見たわけではない

寧ろ鬱蒼とする草のせいで

何も見つけることができない

 

だから見た

だから恐らく僕らは見た

6~7秒も見続けた

 

この先に行けるだろうか と

百足が降りてきたであろう

僕らの知らない生活圏まで

出向いたならばそこには何が と

 

 

たまたま出会った街野良猫と

田舎道をちと歩く

 

それは突如現れて

僕らはぎょっと飛び上がり

慌てふためき後退る

 

足を止めて息飲んで

目で追う先には大きな百足

 

一人一猫動きを止めて

百脚揃った行方を見凝らす

 

百足の方は

我関せずと凸凹細いアスファルトを

渡って行った