見向きもされなかったなー
















私の声も表情も





ううん







私の存在すら



気づいてはもらえなかった


















それは仕方のないこと



















だって


華がないから。



















わかってる












醜いって。


















でも親を恨んだことはないわ


産んでくれて感謝してる


育ててくれて感謝してる




恵まれてると思ってるし



生活に不自由などなかったし













ただ













ブスなだけ。













それだけ。



















生まれ変わったら?












生まれ変わったらね、








いつか私もね














きれいなきれいなお花になりたいな










道端に咲くきれいな花















だから目にしたそのときには












そのときには


















一言でいい












たった


一度でいいから




















"綺麗だよ"  と言ってほしい。





















いつか

いつか私も


きれいな



お花になるの。
















流人



































































焦げたように







変色した紫陽花が目立ちはじめ






その姿に

瞳をそらすことなく受け入れて







生(せい)の儚さは美しいだけではない

惨めさもやはり美しいと
















頬を撫でるやわらかさも生ぬるい水分を含んで体全体に纏わりつく。




















ナメクジはもう姿を消した。




















縁側で素足をぶらんぶらんしてみても

ワンピースは羽ばたかない













つまんないな




























メロンソーダの炭酸がトゲトゲしく喉仏を刺激しながら通り過ぎたあと




緑のやわらかな甘さがあなたを想わせ








深緑の秘められたけたたましさがあなたを無性に欲しくなる


















足をぶらんぶらん


ワンピースがほんのわずかに




なびいた。














あと少し











あと一欠片















































トドメを刺す蝉の鳴き声はもうすぐそこ。





















流人































































歩道橋の階段を上ると














ひとりの女性が遠くを眺めていた。














肩の力が抜けていて


背筋がピンッとヒールまで一直線に伸び


少し微笑んでいるようで


良い佇まいだったので



しばし見惚れてると





夕風がフワリと彼女の髪を持ち上げて











ゆらめいた。



















あぁ















美人は風すら味方につけるんだよな。





















綺麗な情景だった。


















流人