読みながら色々な考えが頭を駆け巡ったがごちゃごちゃ書かずに、
1番気に入っている箇所を書き記しておきたい。
これは本書の主人公の成田氏が著書に語った言葉である。
「今でも将棋には自信がある。それがね、それだけがね、今の自分支えなんだ。
(中略)将棋がね、今でも自分に自信を与えてくれているんだ。
こっち、もう15年も将棋指していないけど、
でもそれを子供のころから夢中になってやって、
大人にもほとんど負けなくて、それがね、そのことがね、自分に自信をくれているんだ。
こっちお金もないし仕事もないし、家族もないし、今はなんにもないけれど、でも将棋が強かった。
それはね、きっと誰にも簡単には負けないくらいに強かった。そうでしょう?」
青春の全てを捧げても、掴むことができなかったプロ棋士の称号。
しかし、彼を見放し、両親を死に追いやり、彼から全てを奪ったのも将棋なら、
今でも彼の唯一の誇りであり、生きる支えなのもまた将棋なのである。
年齢や人数などの奨励会の厳しさや、
実社会では何の役にも立たない将棋の特殊性がこの物語を盛り上げているのは間違いない。
しかし、同時に本書の問いかけが胸に突き刺さる。
僕らにはその将棋に代わる何かが果たしてあるのだろうか?

