フクは写真より、実物のほうがかわいいと感じた。
~~~~~~~~
この日は午前中に雨が降り、午後には止んでしまった。
そのおかげか、少し涼しい。
なにか良い予感がする、そんな空気が流れている。
フクのすぐ前にあるベンチに腰掛けながら別のウォンバットの広場を注意する。
すると、なにか気配がした。
私は向こうの広場に目をやる。
そこには間違いなくウォンバットがいることを知っているし、
間違いなく、あの記憶のウォンバットがいることを確信していた。
そして、ついに…
ワイン(26♂)とのご対面。
ああ、この顔を知っている。
ネットで見たことのあるワインというウォンバット。
前日、実家の古いアルバムで確かめたウォンバット。
この特徴的な鼻、クリっとした目、丸い顔。
同じである。
21年前のハッキリとした記憶に残るウォンバット、そうか君だったのか。
はじめましてではなく、お久しぶり。
こんな感動がある事を、ワインはずっとここで待っていてくれたのだ。
ちょうどあの頃と同じ光景・・・
あの頃、4歳とか5歳だったワイン、
現在26歳のワイン、ウォンバットの平均寿命は飼育下で20歳くらい。
21年という長い時間を別の場所で暮らしてきたけど、こうしてまた会う事ができた。
この再会は奇跡に近い。
ワインが長生きしてくれたおかげだし、
自分も、健やかにに生きてきたおかげである。
とても嬉しい気持ち。
ありがとうフク、
ありがとうワイン。
もう1匹、ワンダーというメスのウォンバット(ワインの嫁さん)もいるが、この日は会えず。
ワンダーさんはお部屋で食事を採ったり、ゆったり過ごしていたそう。
あの時、小さな背中と、さらに小さな背中を見た記憶。
そうか、あの小さな背中はワンダーさんだったんだね。
もう1つのさらに小さな背中はもういません。
ウォンバット舎のすぐ前にあるギャラリーで、
謎の多いウォンバットの生態に一役買えるようにと、姿を変え、展示されている。
それが、あの頃はさらに小さな背中だったけど、大きくなったサツキ。
ありがとう五月山。
また来るよ。
今度は20年なんて空けずにもう少し早めに来るからね。