うさこの事務所HPかわらばん版11月号アップしました

 

本号のテーマは

①蕎麦の季節がやってきた

②相続法の改正・遺留分

です 

 

司法書士・不動産 辻事務所

 

相続の相談

 

 

~ 蕎麦の季節がやってきた ~

 

 いよいよ、今年も新蕎麦が食べられる季節がやってきました。毎年、楽しみにしています。蕎麦が好きで、数年前、道具をそろえて、自宅で蕎麦打ちを始めたのですが、やはりプロのお蕎麦屋さんのお蕎麦とは雲泥の差です。

 ひと昔前までは、信州出身の女性は、蕎麦打ちができないうちはお嫁にいけないといわれていたとか。蕎麦打ち体験をすることができる道場の多くでは、地元の女性が教えてくれますが、有名店のお蕎麦に引けを取らない仕上がりです。我が家は、美味しいお蕎麦を求めて、お蕎麦屋さんめぐりを楽しんでいますが、名古屋でも、信州出身の方々のご家庭では、おいしい打ちたてのお蕎麦を食べられているのかもしれません。

 

 

~ 相続法の改正その4 遺留分 ~

 

 前号に引き続き、相続法の改正案の内容をお知らせします。本号では、遺留分についての改正点をお知らせします。

 

■遺留分減殺請求の金銭請求化 

 現行法上、遺留分減殺の対象となる遺贈や贈与の目的物となる財産が複数ある場合、減殺請求権を行使した結果、その目的物が共有状態となってしまうことがあった。そこで、遺留分権利者及びその承継者は、受遺者または受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることができることとされる。現行法でも、例外として、金銭による弁償をすることはできるのだが、改正法では、金銭請求が原則となる。

 

■遺留分算定のための財産価額

 相続人に対する贈与は、相続開始前の10年間になされたものに限り、その価額を遺留分算定の財産価額に算入するものとされる。

 これは、被相続人の死亡する数十年前から贈与がなされている事例で、原則として、時期的な制限を設けないで、そのすべてを算入することとした最高裁判所判決に対する批判をうけ規定される。過去の事情を調査し把握することが難しい第三者が受贈者となった場合、この者が不測の損害を被ることを避けることができる。

 

■遺留分算定のための債務の取扱い

 遺留分減殺請求を受けた受遺者または受贈者は、遺留分権者が承継した債務について弁済その他の債務消滅行為をしたときは、消滅した債務額の限度において、遺留分権利者に対する意思表示によって、自己の負担する債務を消滅させることができるとされる。

 

■遺留分侵害額の計算

 遺留分侵害額の計算においては、遺留分算定の基礎となる財産に遺留分割合を乗じたうえで、遺留分権利者が相続によって得た財産価額を控除するとされているが、この控除する財産価額は法定相続分ではなく、具体的相続分をもって算出するものと明確化される。

 

■負担付贈与

 現行法上、負担付贈与がされた場合、その目的財産の価額から負担の価額を控除したものについて減殺請求ができるとされているが、この控除は、遺留分算定の基礎となる財産の額を算出するときにも適用されるものと明確化される。

 

■不相当な対価による有償行為

 現行法上、不相当な対価による有償行為がある場合の遺留分算定方法は、遺留分の基礎となる財産の額を算出する際に、対価を控除した残額部分を算入するが、減殺の対象となるのはその全額であるとされているが、これを、減殺の対象となるのは、不相当な対価を控除した残額のみとするとされる。

 

 

発行:司法書士・宅地建物取引士 辻事務所 北原理子  2018.11 vol.41

うさこの事務所HPかわらばん10月号アップしました

 

本号のテーマは、

①防災リュック

②相続法の改正その3 遺言

です

 

自筆証書遺言の法務局保管は、平成31年1月からはじまりますので、

お正月に遺言を書いてみるのもいいかも

 

司法書士・不動産 辻事務所

相続の相談

 

 

~ 防災リュック ~

 

 今年は、日本全国で災害が多発しています。被災された方々やそのご家族の皆様は、さぞかしつらい思いをされていることとお察しします。

 ほんの数年前、防災リュックを購入したころには、正直、これほど多くの災害が、日本を襲うとは思ってもみませんでした。地震対策のことしか頭になかったように思います。我が家は庄内川に近く、消防署の方のお話では、防災用品は2階に置いたほうがよいとのこと。マニュアル通りに、玄関の近くに置いていたら、水没してしまうよと言われました。

 数週間前から、非常用トイレ用品が品切れで、店舗に出向くたびに棚を確認するのですが、いっこうに入荷した形跡がありません。携帯コンロのガスボンベや水・缶詰は買い足せましたが、あれこれそろえているうちに、リュックがどんどんと重くなっていき、非常時に、このリュックを背負って歩けるだろうかと不安です。某女性が、防災グッズのなかに、カラーリング剤を入れている自分にドキッとして、それからはカラーリングをやめ、ありのままの白髪の自分を受け入れて生活していると報道されていましたが、本当に必要なものが何なのかを定期的に見直すことで、自分自身を見つめなおすことができるかもしれません。

 

 

~ 相続法の改正その3 遺言 ~

 

 前号に引き続き、相続法の改正案の内容をお知らせします。本号では、遺言についての改正点をお知らせします。

 

■自筆証書遺言の方式緩和 

 現行法上、自筆証書遺言は、そのすべてを自筆で作成しなければならないが、改正法では、遺言書に添付する相続財産目録についてはパソコンで作成したり、代筆で作成することができるほか、登記事項証明書や預貯金通帳の写しなどを利用することができるようになる。

 自筆でない財産目録には、遺言者が全頁に署名押印をしなければならない。ただし、編綴や各頁間の契印は不要とされている。遺言書本文に押印した印影と財産目録に押印した印影が異なっていてもかまわない。

 

■自筆証書遺言の保管制度 

 法務局の遺言書保管官に対し、自筆証書遺言書原本の保管をゆだねる制度が創設される。遺言者は、遺言者の住所地もしくは本籍地または遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局に自ら出頭して、遺言書原本の保管申請をすることができる。本人確認が必要なため、代理人による申請や郵送申請はできない。遺言書保管官は、遺言書の方式に間違いがないか確認し、原本を保管するとともに、その画像データを登録する。遺言書保管官の方式違背チェックのため、現行の自筆証書遺言と異なり、遺言書は無封のものでなければならない。

 遺言者の相続人等は、相続が開始した後、遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付請求が可能となる。この方式で保管された自筆証書遺言には、裁判所による検認手続が不要なことから、すみやかに預金の払出しや不動産名義変更などの手続きを開始することができるようになる。

 

■遺贈義務者の引渡義務

 贈与の担保責任に関する規律の改正にともない、遺贈においても同様の規定が定められる。遺贈義務者は、遺贈の目的物または権利を、原則として、相続開始時または特定した時の状態で引き渡す義務を負うと明確化される。

 

■遺言執行者の権限

 遺言執行者は、遺言の内容実現のため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するとされ、遺言者の意思と相続人の利益が対立する場合でも、あくまで遺言の内容に従って職務を行えばよく、相続人の利益のために職務を行うものではないことが明確化される。

 遺言執行者は、相続人に対し、遺言内容を遅滞なく通知しなければならない。特定遺贈において、遺言執行者がある場合は、遺言執行者のみが遺贈の履行義務を負う。特定財産の相続においては、遺言執行者による対抗要件具備が可能となり、不動産の相続登記申請権限も認められるようになる。 もっとも、受益相続人自ら、単独で相続登記申請をすることも可能である。

 また、遺言執行者の復任権も認められるようになる。

 

2018.10 vol.40

うさこの事務所HPかわらばん第39号アップしました。

今号のテーマは、

①カーテンならず

②相続法の改正・遺産分割

です。

 

司法書士・不動産 辻事務所

 

相続の相談

 

 

~ カーテンにならず ~

 

 毎年、1階の南側の窓のそとに、グリーンカーテンを作っています。昨年は、暑さが厳しい時期が長く、8月末にはカーテンの隙間がないくらいに茂って、風の通りが悪かったため、今年はゴールデンウィークが終わり1週間ほどたってから、朝顔と風船かずらを植え付けてみました。田植えの時期を遅くしている農家さんを、真似てみたのです。

 結果、かなり不作。うだるような暑さに、プランターの土に含ませた水分だけでは足りず、昼前には土がカラカラに。かといって、日中に水をやると湯だってしまい逆効果。人間同様、暑さについていけなかったのでした。そして、グリーンカーテンが役目を終える季節が近づいても、ひょろひょろと頼りなげです。

 風の通りを考えるまでもなく、窓を開けることができないほどの猛暑が続き、隙間なく生い茂った昨年のカーテンが、今年はひどく懐かしいのでした。せめて、来年の種まき用に立派な種ができるまでは、暑さに耐えていてほしいものです。

 

 

~ 相続法の改正その2 遺産分割 ~

 

 前号に引き続き、相続法の改正案の内容をお知らせします。本号では、遺産分割についての改正点をお知らせします。

 

■持戻し免除の意思表示 

 現行法上、共同相続人中に、被相続人から遺贈や贈与を受けた者がある場合、この価額を加えたものを相続財産とみなし、各相続人の相続分を算出した中からその遺贈または贈与の価額を控除した残額をもって、その者の相続分とする。

 今般、この例外として、生存配偶者の保護を目的として、20年以上婚姻関係にあった夫婦の一方である被相続人が、他方に対し、その居住用財産を遺贈または贈与したときは、被相続人はその遺贈または贈与について、持戻し免除の意思表示をしたものと推定する規定が新設される。被相続人が異なる意思表示をしているときには適用されない。

 なお、居住用の要件は、贈与等の時点を基準とされている。

 

■分割前における預貯金債権行使

 ①家事事件手続法の保全処分の要件の緩和

 家庭裁判所は、遺産分割の審判・調停の申立があった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権を、当該申立てをした者または相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部または一部をその者に仮に取得させることができる。ただし、他の共同相続人の利益を害しない範囲で認められる。

②家庭裁判所の判断を経ない預貯金債権の払戻し

 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち、相続開始時の債権額の3分の1に当該共同相続人の相続分を乗じた額について、単独でその権利を行使できる。これにより仮払いを受けた預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

 

■一部分割

 共同相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも遺産分割協議によって、遺産の一部のみを分割することができる。また、協議が整わないときは、共同相続人は遺産の一部のみの分割を家庭裁判所に求めることができる。

 

■分割前に処分した遺産

 遺産分割前に遺産が処分された場合であっても、共同相続人は、処分者を除いた他の共同相続人全員の同意により、処分された財産が遺産分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。共同相続人以外の第三者が処分した場合にも、同様にみなすことができる。

 

 

発行:司法書士・宅地建物取引士 辻事務所 北原理子  2018.8 vol.39