うさこの事務所HPかわらばん第39号アップしました。

今号のテーマは、

①カーテンならず

②相続法の改正・遺産分割

です。

 

司法書士・不動産 辻事務所

 

相続の相談

 

 

~ カーテンにならず ~

 

 毎年、1階の南側の窓のそとに、グリーンカーテンを作っています。昨年は、暑さが厳しい時期が長く、8月末にはカーテンの隙間がないくらいに茂って、風の通りが悪かったため、今年はゴールデンウィークが終わり1週間ほどたってから、朝顔と風船かずらを植え付けてみました。田植えの時期を遅くしている農家さんを、真似てみたのです。

 結果、かなり不作。うだるような暑さに、プランターの土に含ませた水分だけでは足りず、昼前には土がカラカラに。かといって、日中に水をやると湯だってしまい逆効果。人間同様、暑さについていけなかったのでした。そして、グリーンカーテンが役目を終える季節が近づいても、ひょろひょろと頼りなげです。

 風の通りを考えるまでもなく、窓を開けることができないほどの猛暑が続き、隙間なく生い茂った昨年のカーテンが、今年はひどく懐かしいのでした。せめて、来年の種まき用に立派な種ができるまでは、暑さに耐えていてほしいものです。

 

 

~ 相続法の改正その2 遺産分割 ~

 

 前号に引き続き、相続法の改正案の内容をお知らせします。本号では、遺産分割についての改正点をお知らせします。

 

■持戻し免除の意思表示 

 現行法上、共同相続人中に、被相続人から遺贈や贈与を受けた者がある場合、この価額を加えたものを相続財産とみなし、各相続人の相続分を算出した中からその遺贈または贈与の価額を控除した残額をもって、その者の相続分とする。

 今般、この例外として、生存配偶者の保護を目的として、20年以上婚姻関係にあった夫婦の一方である被相続人が、他方に対し、その居住用財産を遺贈または贈与したときは、被相続人はその遺贈または贈与について、持戻し免除の意思表示をしたものと推定する規定が新設される。被相続人が異なる意思表示をしているときには適用されない。

 なお、居住用の要件は、贈与等の時点を基準とされている。

 

■分割前における預貯金債権行使

 ①家事事件手続法の保全処分の要件の緩和

 家庭裁判所は、遺産分割の審判・調停の申立があった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権を、当該申立てをした者または相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部または一部をその者に仮に取得させることができる。ただし、他の共同相続人の利益を害しない範囲で認められる。

②家庭裁判所の判断を経ない預貯金債権の払戻し

 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち、相続開始時の債権額の3分の1に当該共同相続人の相続分を乗じた額について、単独でその権利を行使できる。これにより仮払いを受けた預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

 

■一部分割

 共同相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも遺産分割協議によって、遺産の一部のみを分割することができる。また、協議が整わないときは、共同相続人は遺産の一部のみの分割を家庭裁判所に求めることができる。

 

■分割前に処分した遺産

 遺産分割前に遺産が処分された場合であっても、共同相続人は、処分者を除いた他の共同相続人全員の同意により、処分された財産が遺産分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。共同相続人以外の第三者が処分した場合にも、同様にみなすことができる。

 

 

発行:司法書士・宅地建物取引士 辻事務所 北原理子  2018.8 vol.39