私も以前は小学校で働いていたことがあるので、春休みに教室や体育館を飾り付ける時は気持ちがウキウキした。
もちろん中学生でも新一年生は初々しくてとても可愛い。
さて、小学校入学を心待ちにしている保護者の方に、お願いしたいことが1つある。
それは
小学生になったら、
家のトイレ掃除のお手伝いをさせてほしいということ。
最近うちの中学校もトイレが洋式になった。
ウォシュレットも付いていて、きれいな洋式、トイレで、保護者も子供たちも喜んだ。
でも実は私はあまり歓迎していなかった。
なぜなら掃除するのは子供たちだからだ。
和式トイレは汚らしく見えるけれど、案外掃除は楽。
おしっこが飛び散っていようが、便器に便がついていようが、生理の経血がついていようが、ホースで床に水を撒き、デッキブラシでゴシゴシ擦り最後に水を流して、ワイパーで水を切ればなんとなくきれいになってしまう。
洋式トイレは一見綺麗だけれど、あのきれいさを保つには便器の蓋の表裏を拭き、便座の表裏を拭き、便器の周りを拭かないといけない。
しかも、それが一つのトイレに4〜5個。
しかも、便座の裏についたおしっこの汚れや便座についた生理の経血の汚れも、便器の中以外は水を使えないので、和式のようにデッキブラシではなく、生徒が直接ふかなければいけないのだ。
もちろん手袋はしているけれど、他人のおしっこがこびりついた便座や他人の血液がこびりついた便座をふかなくてはいけないのは、思春期の生徒にとってはすごくストレスらしく、えー!とかやだーとか言って、すごく抵抗される。
そもそも今の子は、トイレブラシを触るのさえ、汚いと言って嫌がっていたから、なおさら。
掃除のやり方を教えるのは教員の仕事じゃない!なんて野暮なことは言わない。でもせめて、トイレ掃除に抵抗のない子にするために、小さい時からトイレ掃除に慣れさせて欲しい。
そうしないと、コロナ禍を経て潔癖症傾向になっている子供たちにトイレ掃除をさせるのは重労働だ。
もし無理強いすればパワハラと言われるし
下手したら、トイレ掃除のせいで不登校になったとか言われそうだし。
じゃ、生徒がやらないなら仕方ないと放置すればトイレが汚いと保護者からクレーム。
悪いけど、教員だけで、男女合わせて64個の洋式トイレの掃除は無理だから。
PTA活動も縮小傾向の中、保護者に頼むわけにもいかないから、洋式トイレの清潔を保つには、生徒がやるか、お金を出して業者に頼むかしかないけど、市役所はトイレ掃除は業者なのに、学校はお金を出してもらえないからね。
ちなみに私立に行けば、トイレ掃除なんてしなくて済むけど、こんな悩みもあるらしい。
保護者から感謝される宿題のナンバーワンがトイレ掃除だという。
「今は学校でも業者の方がトイレ掃除をすることが多いので、家でやらないと本当にやったことがないんですよね。やれば10分もかからずに終わるのですが、感想を見ると『もう二度とやりたくない』という子もいます。
やはり中高生になってから初めてやると嫌悪感が出てしまうので、幼稚園とか小学校低学年のうちにルーティーンでやらせることが大事だと思います。
それでも一度でもやると、『トイレがきれいなのはだれかが掃除してくれているからだと改めて感じました』という感想もあって、宿題を出した甲斐があります」
個人的にはわたしは掃除の時間をとても大事にしている。普段保健室にこないような生徒たちと関わることができるし、何よりも、褒めるポイントが多いから。
トイレ掃除を嫌がる生徒がいる一方で、本当に丁寧に仕事してくれる生徒もいる。
それこそ、チャラっとしてて、先生に怒られがちな子が、「これ落ちないよー」とか言いながら、便座の裏にこびりついた尿汚れをピカピカにしてくれたりすると、お世辞ではなく本当に感激する。ありがとーーーーと言うと、照れた顔でまーなーとか言う。病気やケガではない、そんな日常の生徒との関わりは、とても貴重な時間。
生徒に掃除をやらせることの是非はあるけど、
良くも悪くも生徒がやることが、公立のメリットでもあると私は思ってる。
それこそトイレ掃除なんて、学校で先生にやらされなければ、絶対自分からやらない経験だろうしねー。