不安や落ち込みを病気だと思う子どもたち | うさこのひとりごと

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保健室の先生やってます

今日、頭が痛いから保健室で休みたいと言った中3のA子。

 

夜眠れなくて困っている・・・と以前相談を受けた時には

眠くないときに布団にいると

布団は眠れないところ・・・と体が覚えてしまうから

眠くなったら布団に入ってみたら?とアドバイスをした。

 

それこそ、昼間もあまり眠くならないというので

「困っていないなら、いいじゃん!ただ、毎日同じ時間に起きてね」と付け加えて、軽い言い方をした。

 

そして今日・・・

 

生理痛と頭痛が一緒に来ている。

痛み止めを2錠飲んでもダメだから、もう一錠飲んだ・・・というので

 

「それは用法容量を守ってないからだめだよ~

というか、痛み止めは、限界まで我慢してから飲んでも

効きが悪いんだよ~

バファリンやロキソニン、イブは

痛い痛い物質(プロスタグランジン)が出るのを止めるだけで

痛い痛い物質を消してくれるわけじゃない。

 

例えて言えば、蛇口をひねって水を止める作用はあるけど

水びだしの床の水を、なくしてくれるわけじゃないから

 

水浸しになる前に蛇口を止めるのが大事なのと同じで

痛くなりそうだったらすぐに飲むのがいいんだよ」と教えた

 

「へ~~そうなんだ。」と納得。

 

すると今度は

「最近うつ状態って言うか、気もちの落ち込みがひどくて・・・

あとなんだか不安も大きくて・・・希死念慮まではいかないし

今はそうでもないんだけど、そううつなのかな…って思う」と言い出した。

 

それに対して私は

 

 

「A子は受験生だよね?

不安になるのあたりまえだよね?

それにさ。思春期だから落ち込んだり、急に元気になったりとか

情緒不安定ってふつうじゃない?

っていうか

受験前で不安じゃないとか、落ち込んだりしない子って、そっちのほうがおかしくない?!

 

受験まであと少しなんだからさ。

とにかく今はやることやるしかないよね。

 

それこそリスカしたくなったら、

カッターの代わりにボールペン持って(シャーペンだと折れる)

力強く思いきり、英単語や社会の地名とか漢字を書いてみたら?

 

なぐりがきでいいから。」

 

そういうと、

「いいかもしれない!」とけらけら笑った。

 

 

この子のお母さんはいわゆるメンヘラさんで・・・

 

本人も入学当時はまきこまれてたけど

 

3年間で成長してお母さんと距離をとれるようになり、

それとともに本人のいい部分がすごく伸びてきた子。

 

リスカしてたこともあるし、心配な要素もあるけれど

 

A子の負の部分に焦点を当てるのではなく

良いところに焦点をあてさせたかったし

あえてA子に自分自身を「病気」にさせたくなかった。

 

っていうかさ。

 

 

 

「夜ねつけなくて・・・

病院で薬をもらってるんだけど、夜中の3時まで眠れないんです・・・」

 

「教室に入るのが不安だから、精神科に行って薬をもらいたいんです」

 

「気もちが落ち込むんです。だから薬をもらって楽になりたいんです」

 

「頭が痛いから、毎日頭痛薬が手放せません」

 

 

 

人が眠れなくなるのには理由があって・・・

それを解決しないで薬を飲んでも、よくはならない

 

教室に入るのが不安なのは理由があって・・・

それに向き合わないと、薬では解決しない

 

気持ちが落ち込むには理由があって・・・

それはおそらく、薬では解決しない

 

頭が痛いのには理由があって・・・

昼夜逆転

スマホやゲームのやりすぎによる眼精疲労や肩こり、寝不足

ストレスによるもの

 

それはいわゆる頭痛薬では治らないよね。

 

 

そういうものを無視して

とりあえず薬で楽になりたいって中学生が簡単に言うんだよね。

 

でもわたしが知っている限りでは

 

薬を飲んだだけで解決した子を見たことがない

 

 

「2週間眠れなかったら精神科に」

「うつは心のかぜです♪」

 

平成15年ころからさかんに精神科受診と服薬をすすめるキャンペーンが始まって、その効果が今でていて、精神科への通院や服薬への抵抗がなくなっているのかもしれないけれど。

 

これだけ精神科が増えて、精神科を早期に受診する人が増えたのに、心を病む人が、なんでどんどん増えるんだろう?

早期治療すれば、早く治るはずじゃないのかね?

 

 

それこそ、人間ドックじゃないけれど

病気じゃないものを病気として

 

過剰診断されて、不要な治療、不要な服薬がされてはいないだろうか。

 

もちろん自殺・他害・統合失調症・摂食障害など

緊急を要するものもある。

 

でも・・・

 

 

負の感情を、

いけないもの、悪いもの、「病気」と思ってしまう子どもたちの多さに

危機感を感じているし

 

違う視点を、教えてあげたいと思う。