トーマ・フォン・シュトックハウゼンと、ハンス・ディートリッヒ・フォン・ゼークトは、士官学校時代は同期だった。
 今でこそ、互いを激しく毛嫌いし、隙あらば相手を蹴落とそうとする感のある2人だったが、彼等は最初から仲が悪かった訳ではない。

 士官学校時代の彼等の仲は比較的良かったし、家族ぐるみの付き合いもあったのだ。
 ともに男爵家の三男であり、家柄が似ていた事も手伝って、いい意味での『ライバル』であった。

 その当時を知る者が今の二人の状況を見たら、何故、関係に亀裂が?と鼻白むはずだ。

 事あるごとに角突き合わす程の犬猿の仲となったのは、士官学校卒業間近のとある事件と、卒業後のとある事件がきっかけとなっていた・・・。
 それは、彼等の間に、修復しようも無い深くて大きな溝を作ってしまったのだった。
 
 シュトックハウゼンは双子であった。
 幼い頃から軍に興味を持っていたトーマは、10歳の時に父親に相談した上で幼年学校へ入ったが、兄のエーリクは幼年学校へは行かず、普通の貴族の子弟が通う学校へと進学した。
 そして、その貴族の通う学校に、ハンス・ディートリッヒ・フォン・ゼークトがいたのである。
 ゼークト男爵家は、代々、軍人を輩出する家系ではあったが、家風なのか、縁者の殆どは幼年学校よりも士官学校に進学する者が多かった。
 その為、ハンスも小学校を卒業した後は、15歳までは、貴族の師弟の通う、ごく普通の学校に通っていたのだ。
 家業の影響か、釣りなどが好きなエーリクは、比較的家も近く、家柄が同程度のハンスとはすぐに仲良くなり、一緒に遊ぶ事が多かった。
 そして2人は、幼年学校の休暇の時に里帰りをする双子の弟・・・トーマとも一緒に遊んでいたのだ。
 やがて、士官学校入学時にハンスとトーマは同級生となった。
 成績も似たようなもので、互いに追いつ追われつであり、ライバルとして日々、切磋琢磨する友人となった。


 士官学校卒業間近に、ハンスは、マルガレーテ・フォン・フェ-ベルという女性と知り合った。
 シュトックハウゼンの父は男爵でもあったが、大きな水産会社を経営しており、その父親の部下の娘がマルガレーテだった。

 フェーベル家には爵位はなかったが、帝国騎士<ライヒス・リッター>の称号は持っていた。
 ただ、爵位が無いといっても、下級貴族ではなかった。

 フェーベル家は、リッテンハイム候と親しくしているオルクネルド男爵家の親戚であった為、決して家柄は悪くは無かった。
 マルガレーテは儚げな感じの美人であったので、実は、トーマもほのかに片思いをしていた女性であった。
 ところがそんな事を知らないハンスは、エーリクを通して招かれたシュトックハウゼン家のパーティーで、マルガレーテをダンスに誘っただけではなく、根気良く声をかけて彼女のハートを掴んでしまったのだ。
 結局、告白も出来ないまま、トーマはハンスに遅れをとってしまい、1人悔し涙を流したものだ。
 弟がそんな悔しい思いをしている事に気付いていなかったエーリクは、自分の親友のハンスがマルガレーテのハートを掴んだのを心から喜んでいた。
 「あの2人、本当にお似合いだな」
 そんな事を言ったが、それを聞いたトーマはますます面白くなかった。
 「・・・あの2人がお似合いだって?」
 棘を含んだ弟の言葉にエーリクは顔を顰<しか>めた。
 「おい・・・何だか棘があるじゃないか。もしかして、お前もマルガレーテが好きだったのか?」
 トーマは首を振った。
 「まさか・・・。爵位が無い女性には全く興味がないね」
 トーマは、心にも無い事を言ってしまった。
 そして薄く笑った。
 「そうだ。いい事を考えた。・・・彼等が似合いかどうか占ってもらおうかな。ほら、伯父上に頼んで・・・。どう思う?」
 こう切り出すと、エーリクはますます顔を顰<しか>めた。
 「え・・・!トーマ、本気かなのか?母方の親戚の中でも一番の変わり者の伯父上に頼むなんて・・・」
 「でも、伯父上は霊感があるだろう?占いだって得意じゃないか。・・・当たるって評判になっている」
 「まぁ・・・霊感があるのは認めるけど・・・」
 エーリクは肩を竦めた。
 だが、2人を伯父に会わせる機会が訪れなかった。


 それから2年半後・・・。
 シュトックハウゼン家では、父親のリヒャルトの54歳の誕生祝いのパーティーが催された。
 士官学校を卒業して軍務に就いていたトーマはオーディン内の勤務だったから、大きなプレゼントを手に父の元へと駆けつけた。
 シュトックハウゼン家の長男のテオドールはやや病弱で、最近は入院加療中だったので、パーティーには出席しなかったが、エーリクに招待されたハンスも出席していた・・・。
 彼はオーディンの隣の惑星のユグドラシルでの勤務だったが、休暇を取って駆けつけたのだ。
 そして、ハンスは念願が叶ってマルガレーテと婚約までこぎつけていた。
 あと半年もしたら2人はオーディン郊外で挙式をするという。
 ハンスは21歳で、マルガレーテは20歳になったばかり。
 結婚には少し早過ぎる気もするが、双方の親の了解もあるし、早婚の軍人は結構多い。
 この2人の結婚式と披露宴にエーリクは招待され、スピーチも頼まれていた。
 エ-リクは親友を心から祝福していたが、トーマは表面上は祝福したものの、「結婚なんて早過ぎるだろう」と言って、ますます面白くなさそうだった。
 大体、同期であるのに、自分が式にも披露宴に招待されていない事に立腹していたのだった。

 「おい、ゼークト!俺の伯父上は占いが得意でね、今日は特別に2人を占ってくれるそうだ」
 トーマが声をかけると、ハンスは怪訝そうな顔をした。
 士官学校を卒業するちょっと前から、トーマの態度は少し冷たくなっていた。
 彼は殆どハンスに声を掛けないようになっていて、任官した今では勤務地も違っていたので更に疎遠になっていた。

 だから、トーマの急な申し出にハンスは面食らったのだ。
 「占い??そんなものには興味が無い。・・・卿も暇人だな」
 「そう言うなよ。伯父上の占いは当たると評判になっていて、宮廷に招かれた事もあるのだぞ。かなり有名だしな。・・・女性は占いに興味があるかと思ってね」
 そう言うと、マルガレーテは少し興味を持ったようだ。
 「ねえ、占ってもらいましょうよ、ハンス。有名な方なのですって」と、ゼークトの上着を引っ張って微笑んだ。
 女性が占いに目が無いのはいつの時代でも一緒だ。
 彼女が興味を示したので、ハンスの態度も若干軟化する。
 「うーん・・・じゃぁ、占ってもらうか・・・」
 「そうさ。フロイラインは本当に運が良いよ。伯父上は最近、宮廷に伺候する事が多くなって、そう簡単に占ってもらえないようになっているんだ」
 トーマが言うと、マルガレーテは「有名な上に、宮廷に伺候されているなんてステキね。私・・・占いは大好きなのよ」と嬉しそうに微笑んだ。
 そばで見ていたエーリクが何かを言いかけたが、トーマはそれを上手く遮って、屋敷の2階の、伯父が泊まっている部屋まで2人を伴った。


 カーテンを閉め切った薄暗い室内。
 明かりは、髑髏の装飾を施した太い蝋燭が1本あるだけ。
 「ふむ・・・それでは2人は婚約しておるのじゃな?」
 胡散臭い言い回しで、ハンスとマルガレーテを眺める男。
 首から、何やら怪しげな光る珠だのをジャラジャラと身に付けた、ツルツルの頭の小柄な男・・・それが、シュトックハウゼンの母方の伯父であった。
 彼は水晶玉のような物を取り出して熱心に30分近くも見ていたが、急にマルガレーテを指差した。
 「あぁ、これは何とした事か。申し上げるのも気の毒だが、おぬしには・・・死相が出ているぞよ・・・」
 これには、同席していたトーマも内心驚いたが、ハンスはもっと驚いたのか、声を荒げた。
 「死相とはどういう意味だ!?」
 「・・・いや、なに・・・。この水晶玉は未来が映し出されるのだ。もう30分も見ていたのだが、このフロイラインには、間違いなく死の相が見えるのだ・・・。逃れようが無いぞよ・・・。まさに・・・さだめじゃ!!」
 『さだめじゃ!!』の部分を急に喉を掘るように甲高い声で叫び、ビシッとマルガレーテを指差す。
 怒りで真っ赤なになったゼークトは勢い良く椅子から立ち上がった。
 「し・・・失礼な!!何が占いだ!死相だなんて失礼千万だ!!」
 彼は怒鳴り散らして、青い顔で涙を浮かべて震えているマルガレーテの肩を優しく抱いた。
 「トーマ・フォン・シュトックハウゼン!!・・・卿は本当に最低な男だな」
 「おい・・・最低とはどういう意味だ?伯父上の占いは恐ろしく当たるのだぞ。死相が出ているというのであれば、注意をした方が良いのではないか?」
 やんわり言ってみたが、怒り狂ったゼークトは、あまりの事に泣きじゃくるマルガレーテの手を引いて部屋を出ると、ドカドカと廊下を歩き、パーティー半ばで帰ってしまったのである。


 「お前・・・ハンスを怒らせたんだって?」
 その日の夜、エーリクに言われてトーマは押し黙った。
 「別に怒らせるつもりはなかったんだ。俺だって正直言って驚いたんだ。伯父上と来たら、いきなり『死相』だとか言うし、終いには『さだめじゃ!!』って変な奇声を発するしで・・・全くどうしてこんな事に・・・」
 トーマは肩を竦めた。
 「・・・だからやめておけと言ったんだ。伯父上は母方の一族の中でも一番の変わり者なんだぞ・・・。確かに占いの腕は確かだし、宮廷にも伺候はされている。でもな・・・あぁいうお人だからな。ハンスは、トーマ・・・お前の顔なんか2度と見たくないって、カンカンになっていたし、マルガレーテも2度とうちに来ないってワンワン泣いて帰ったし・・・お前は、今日のパーティ-をぶち壊したんだ。だから、父上も怒っていらっしゃる」
 エーリヒに散々言われて、トーマは、「う・・・そうか・・・。父上も怒って・・・」と呟いてうなだれた。
 やはり、ゼークトにちゃんと謝った方が良いと思ったが、深夜近くにゼークトから届けられたメッセージを前に、歯軋りをして、謝るのを撤回した。

 それはこんなメッセージであった。


 『卿にピッタリな言葉を贈ってやろう。知っているか?叛乱軍の言葉で、“チェリー・ボーイ”という言葉があるそうだ。女にもてた事がなく、未だに恋人の1人も作れない気の毒過ぎる卿には実にピッタリな言葉ではないか』


 それは・・・叛乱軍の言葉で書かれていたのである。
 帝国公用語ではなく、わざわざ、叛乱軍の言葉で書いてくるあたりが腹立たしく、怒りがこみ上げてきた。
 暗号の解読などの基礎知識として、同盟公用語を必須科目として習うのだが、シュトックハウゼンが、叛乱軍の言葉を少々苦手としているのを知っていて、わざとらしく送って寄越したのだ。
 「くっそ~!!なんであいつに馬鹿にされなくてはならんのだ~!!」
 拳をギュッと握り込で悔しげに叫ぶ弟の姿を見て、エーリクは、「あぁ・・・我が弟ながら、なんて情けない・・・」と小さく呟いた。



Das Ende



 タイトルは・・・これまたふざけてます。
 このシリーズのタイトルは、徹底的に遊ぶ事に決めているので、もう、何でもアリ!!って感じです。
 士官学校卒業直前、卒業して任官し立ての10代の頃のシュトックハウゼン&ゼークト、そして、シュトックハウゼンの双子の兄のエーリク、ゼークトの妻となったマルガレーテの事を書いてみました。
 特別出演、チェリーです。
 誰だかお分かりですか??
 『うる星やつら』に登場する「錯乱坊<チェリー>」と言えば、分かるかしら??

 チェリーには妹がいるのですが、「ダメオヤジ」の奥さんみたいな顔の(・・・って言うか、チェリーの女版って言った方がいい)人で、深読みするとこの人がシュトックハウゼンの母親!!?

 「うる星やつら」では彼女の娘が「サクラさん」なんですが、これ以上書くとボロがでるのでやめておきます。
 実はチェリーの声も、シュトックハウゼンの声もをされている永井一郎さんです。
 ホントの事を言うと、『宇宙戦艦ヤマト』の佐渡先生ヨロシク、浴びるほど酒を飲みながら占いをするってのも考えたんですが・・・さすがに採用を断念しました。←マニアック過ぎるので。
 佐渡先生も永井一郎さんですものね・・・。(ヤマトの場合は徳川機関長もですが)
 とにかく、声優好きならではの発想で出来た駄文です。
 あ・・・伯父上の占いは当たってしまいます。
 新婚5ヵ月後に・・・ゼークトの愛妻のマルガレーテさんは、風邪をこじらせて昇天してしまうのです・・・T-T
 いやぁ・・・「MANZAI★BANZAI」の話と繋げる事が出来て、本当に良かったです・・・。

 あと、ちょっとこだわったのは会話部分。

 任官前と任官後では、多少口調に変化を付けてみました。

 軍に染まれば染まるほど・・・文語調になっていくという。
 因みにご長男は急逝されてしまうので、シュトックハウゼン水産の事業を継ぐのがお兄さんのエーリクさんになるのです。
 でも、エーリクさんもご家族には恵まれず・・・。(お子さんはいますけどね)
 そして、シュトックハウゼン男爵家のお父上はまだご存命で、色々な権力を持っているのはそのお父上です・・・。
 誰が、シュトックハウゼン男爵家の家督を相続をするか・・・その辺りの話は別の物語になっております。←特に考えていないけどね・・・ww





 「なぁ・・・知ってるか?グエン・バン・ヒューは超セレブって噂があるんだが・・・」
 「はぁ?なんですか、それ??」
 イゼルローン要塞の中央司令室の近くの休憩室でコーヒーを飲みながらアッテンボローがユリアンに切り出す。
 だが、ユリアンは話が見えなくて、素っ頓狂な声を出してしまった。


 グエン・バン・ヒューは自由惑星同盟軍の少将で、アッテンボローとは階級が一緒である。
 そして、彼と同じく、イゼルローン駐留艦隊分艦隊の指揮官であった。
 かなり好戦的な男で、戦闘以外の場所でも大口を叩いている。
 しかもかなりの酒豪で、薔薇の騎士<ローゼンリッター>連隊の連中としょっちゅう飲み歩いているらしい。
 おまけに独特の訛りのある言葉で話す。
 その口調と訛りで、あまり品があるようには見えないので、粗野な男だと思われているのだ。
 あんなのが、なんで少将になれたのか?なんて事まで言われている男だが、底抜けに明るい性格の持ち主だった。
 とにかく、毎夜のように薔薇の騎士<ローゼンリッター>連隊の連中とは派手にドンチャン騒ぎを起こしていたから、『歩く小言』と揶
揄される良識派のムライなどは、「軍はお祭りではないのだが・・・」と、彼と薔薇の騎士<ローゼンリッター>連隊の酒席の行動にはおかんむりの様子だった。
 セレブな雰囲気は全くないので、何でそんな噂が立つのか不思議であった。


 「超セレブって本当なんですか?」
 「うーん。あくまで噂だ。とにかく、凄い金持ちなんじゃないかって話でさ」
 グエンにまつわる噂は色々あったが、“金持ち”というのは今まで聞いた事がなかった。
 ユリアンは、私服姿を何回か見かけた事があるが、いつも決まってプロのフライングボールのチームのシャツを着ていて、お世辞にもセ
ンスが良いとは言えず、とても、セレブという感じには見えない。
 「それがな、あくまで噂なんだが、あいつと一緒に飲んでいる薔薇の騎士<ローゼンリッター>連隊の連中の話じゃ、飲み代はいつもあいつが払うんだとさ
。あの底なしの酒豪の奴等に奢るんだぜ?こりゃ、かなり金持ちなんじゃないかって話になっててさ。まぁ、俺は奢ってもらった事が無いから何とも言えないけど」
 奢ってもらった事がないので、少々拗ねた様子のアッテンボロー。
 「・・・でも、奢ると言っても、毎回って訳じゃないでしょう?それにあくまで“噂”なんでしょう?」
 ユリアンは目を丸くした。
 「まぁな・・・。でも、何だか、俺達とは違ったオーラを出してんだよなぁ、あいつ。上手く言えないけど・・・」
 「・・・そうなんですか?」
 ユリアンは、グエン・バン・ヒューとは殆ど喋った事がが無い。
 交わした会話は挨拶程度なのだ。
 ユリアンが首を傾げた時、アッテンボローはヤンに呼び出された。
 「あ~急になんだろう??」
 呼ばれたアッテンボローは首を傾げたが、ユリアンに「・・・じゃぁな」と手をヒラヒラ振りながら慌てて中央司令室に向けて駆け出して行
った。


 数時間後のイゼルローン要塞の中央司令室はひどく騒がしかった。
 「何があったんですか、提督?」
 休憩を終えて、中央司令室に向かったユリアンはいつもと違う雰囲気に首を傾げる。
 声をかけられたヤンはベレーを外してクルクル回して、「うーん、ちょっとね・・・」と、やや言葉を濁して苦笑いを受かべた。
 代わってフレデリカが、「それがね、艦の模様替えをした提督がいてね。色を塗り替えてしまったの・・・」と苦笑混じりに言った。
 「・・・え、模様替え?塗り替えって・・・勝手に出来るんですか?」
 「勝手に・・・でもないの。ちゃんと許可は出ているのよ。でも、それが・・・ちょっとね」
 「うん・・・それがとんでもない事になってて・・・」と、頭を掻くヤン。
 「でも、その許可を出したのはお前さんなんだぞ!」と、ドン!とデスクを叩くキャゼルヌ。
 かなり怒っている様子だった。
 「・・・まぁ、まぁ・・・。あれの費用は軍が出したって訳じゃないんでしょう?」とアッテンボロー。
 「そんなの出せるか!大体、うちは極貧なんだぞ。ちまちまと、やりくりするのは大変なんだ。だから、書類をもらった時、『個人的に
だったらいいぞ』とは言ったが・・・」
 「なんだぁ・・・キャゼルヌ少将だって許可してたんじゃないですか・・・」
 アッテンボローに言われて、「う・・・」と言葉に詰まるキャゼルヌ。
 しかし、言わなきゃいけない事は言わなければ!!と、ヤンに詰め寄る。
 「大体、あいつが出した書類に軽々しくサインなんかするからだ!!どうするんだ、他の連中もやりだしたらキリがないぞ!」
 「あ~・・・まったくどうしてこんな事に・・・」とヤンはぼやく。
 「俺は絶対にあんな事はやらないね。あんな事をやるのは空戦隊だけかと思っていたんだが・・・いや、センスはそれ以下だな。とにかく、
あれは凄すぎてあいた口が塞がらないってヤツだ・・・」
 アッテンボローが呆れるぐらいなのだから、相当に大変な事になっているのだろうとユリアンは推察した。
 「それで、どういう風に変わったんですか?」 
 「ドッグに行ってみれば分かるよ。・・・えらい大騒ぎになっているから」
 アッテンボローは大きく息を吐いた。
 「俺もお祭り好きだが、ヤツには負けたね・・・」


 ユリアンは、ドッグでその光景を見た時、一瞬、これが同盟軍の戦艦なのか!?と、我が目を疑ってしまった。
 しかし、係留されたその戦艦は間違いなく同盟軍の戦艦。
 元々地味な色合いの同盟軍の他の艦艇が更に地味に見えるほど、グエンの艦は異様であった。
 うわ・・・何だ、この派手派手な虎模様は・・・??
 それにしても、このカラーリングって一体どういう意味があるんだろう・・・。
 ユリアンは必死に考えてみたが、考えれば考えるほどサッパリ分からなかった。


 「よう、ユリアン!」
 「あ・・・ポプラン少佐!コーネフ少佐!」
 「見てみろよ。全く凄いよな・・・俺達の場合は識別用にカラーリングを許可してもらったんだけど・・・」
 そう言って、戦艦『マウリア』を見上げるポプラン。
 「・・・自腹でやったらしい」
 ボソッと呟いたコーネフに、ポプランが食ってかかる。
 「・・・自腹ぁ??誰に聞いたんだよ、そ~んな事」
 「誰って・・・工廠課の連中だけど。艦の整備と改装をやっているのは全部あそこだろう?塗装費を自分で出したんだってさ」
 「げ・・・自分で~?奇特な・・・。大体、これだけ塗るのに、どれだけかかると思ってんだよ・・・」
 「あ・・・バース少佐ですよ、技術部工廠課の・・・」
 ユリアンがポプランを突っつくと、ポプランは、弾丸の如く駆け出した。


 「おい!!なんだよ、あの派手なカラーリングは!!」
 「何って・・・」
 そう言ったまま、押し黙るバース少佐。
 「何黙ってんだよ?」
 「・・・仕方ないですよ。ヤン提督のサインが入った正式な許可証を持っているし、本当に自腹だったんですから」


 皆が騒ぎ立てるので、模様替えを許可したヤンも、事態の収拾の為に、とうとうグエン・バン・ヒューをドッグへと呼び出した。
 今更塗り直しをさせる訳にもいかないが、責任者である手前、模様替えの意味を知っておく必要があった。

 「あのカラーリングの意味は?」
 「あ・・・ほんま、えらい事になってもうてすんまへん。あ~小官は、フライングボールのプロチームのハイネセン・タイガースの大ファン
なんですわ」
 「・・・なるほどね。だから虎模様にしたんだね。・・・それで、本当に自腹でやったのかい?」
 能天気な答えに、さすがのヤンも頭痛を覚えていた。
 「あ、キャゼルヌ少将が、自分で出すんならかまへんと言わはりましたんで、こら、ちゃっちゃとやらなあかん!って・・・。ほやから、ほ
んまに自分でスパっと出さしてもらいましてん。あ・・・心配せんといて下さい。塗装の費用はうさん臭い金やのうて、ちゃ~んと自分の金ですさかい」
 ヤンが金の出所を問いただすと、グエン・バン・ヒューの一族はハイネセンの辺境部の出身だが、彼の実家は、羊肉の卸としてはハイネ
セン最大の『鬼印・電撃ラム商会』だそうで、彼自身、会社の株の35%を保有しているのだという。
 何故、軍人になったのかを聞くと、「あ・・・それが、うちは代々、女性が跡を継ぐきまりになってるんですわ。けったいな家訓やと思わん
といて下さい。せやから、今はおかんが会長で、ねーちゃんのアグネスが社長なんですわ。それに小官は次男やし、親から進路を自由に選べ言われて、自分の意思で士官学校に入りましてん!軍人になりたかったんのんは・・・男のロマン言うか。・・・昔からの憧れなんですわ!」との事だった


 「それにしても・・・本当に派手だね」
 マウリアを見上げるヤン。
 「そうでっしゃろ?目立つんはほんまに気分がええですわ。もう、タイガースファンは、目立つのがむちゃ好きやし~!」
 確かにフランイングボールの試合を見ていても、タイガースファンだけは異常に目立っているのをヤンは思い出した。
 派手な虎模様の戦艦『マウリア』を前にして、何故か元気いっぱいのグエン・バン・ヒューを見て、ヤンは怒る気力も萎え果てていた。
 「まぁ、いいか。・・・やるべき事さえ、ちゃんとやってくれれば」
 「それはもう!帝国軍の連中なんか目じゃおまへん!この艦で豪快にパーッと蹴散らしますわ!」 
 ヤンは彼にはこれ以上言っても無駄だと思い、苦笑しながら頭をポリポリと掻くしなかった。


 THE END


 ギャグです、ギャグ。
 OVAで、グエン・バン・ヒューの旗艦の『マウリア』を見た時、どーしてこれだけが、派手なカラーリングなんだろうか??と思いま
した。
 グエン・バン・ヒューって、帝国軍のビッテンフェルトに近い性格と猛将振り。
 帝国軍の艦艇は、割と自由な色ですが(赤あり、白あり、黒あり・・・と。形も意外と自由っぽい)、同盟軍の戦艦のカラーリングはモスグ
リーンで無個性な物が多い。
 その中で、一際異彩を放っているのが、派手な虎模様の戦艦『マウリア』で。
因みにこれはアニメのみの設定で、原作ではマウリアに関する記述はないです。
 OVAでグエン・バン・ヒューは、ドーリア星域会戦で救国軍事会議側に付いた第11艦隊を中央突破して分断する役で登場しますが、そ
の時の艦色は通常のモスグリーンでした。
 でも、要塞対要塞戦では、派手な虎模様になっていて、イゼルローン要塞内で塗り替えた事にしようと・・・。(いや、どう考えても、要塞
内で塗り替えたとしか思えないです・・・)
 大体、グエン・バン・ヒューって、物語の中じゃ、大して目立つ人じゃないし、マイナーなのに、艦だけが目立ってる。
 この人、要塞対要塞戦で、撤退する帝国軍を執拗に追いかけちゃって、待ち伏せしていた救援隊のロイエンタール、ミッターマイヤーの
両艦隊に攻撃されて戦死しちゃう。
 この時、追撃して行った同盟の艦艇は5000隻ほどで、これをむざむざ沈まされたヤンにとっては超痛手・・・だもんで、ヤンに「退き際をわ
きまえず名将の条件が欠けている」と言われてしまい、かなり気の毒な人です。
 “やるべき事をちゃんとやらなかった”報いで、哀れ・・・自慢の艦と共に散ってしまった訳です。
 まぁ、それは置いといて、グエンはタイガースのファンって事にしました。(野球はなさそうなので、フライングボールのプロ・チーム
ですが)
 そして、関西弁(私は関西人じゃないので、かな~り怪しい・・・。もう、怪しさ200%の関西弁ですが、未来の関西弁なので多少変化してい
てもいいじゃないか!と開き直る事にします・・・)にしてしまいました・・・。
 グエンが関西弁で話をしたら面白い・・・というネタは、実は私ではなく、銀河英雄伝説のガレージキットを作っている「アルバクリエイツ
」の代表の大塚さんと直接お話した時に、「グエンが関西弁だったら面白いよね」って言われたのが頭に残っていまして。
 因みにかつて、「アルバクリエイツ」さんが銀河英雄伝説のガレージキットの戦艦カタログを出版された際、私がちょこっとエッセイみ
たいなのを書かせて頂きまして、その時にお話したネタでした。
 模型を全く作らない私に書かせて頂けた事は今もって謎・・・ですね、あのカタログ。(オマケに奥付を見たらば、田中先生の「らいとすた
っふ」よりも私の名前の方が先で恐縮しまくりだったし・・・)、
 そして、この関西弁を喋るグエンの設定に、更に『うる星やつら』もくっ付けて出来たのがこの作品。
 ラムちゃんの星の戦艦も虎模様だったし、お父さんは関西弁だったし。
 あ・・・でも、これ以上書くと粗が出るので・・・ネタの話はここまで。
 さて、ヤンに詰め寄るキャゼルヌを書いていて思ったのですが、これは、やっぱり同盟だから出来るんだよなぁ・・・って。
 帝国軍だったら、いくら士官学校の先輩であっても、ヤンの方が上官なら、こんな口はきけませんし、アッテンボローでもそうです・・・。
 でも、原作でも、皆、わりとフランクな感じで、まるで友達みたいな会話になったりしていて・・・それが帝国軍の将兵の会話と違って楽し
いのですが・・・ホント、対極ですね。
 ついでに言うと、バース少佐はオリキャラです。
 野球ファンなら気付いているでしょうが、1985年の阪神タイガース優勝時の外国人助っ人のランディ・バース氏から拝借させて頂きまし
た★





岸野組のお芝居を観に行った。

声優さんが多数出ているこの芝居。

・・・銀河英雄伝説に出ている声優さんも結構出ていたりします。


関俊彦さんと関智一さん。

ご兄弟ではありませんよ、一応、書いておく。

この2人は外伝に出てます。


座長の岸野幸正さんは、同盟の政治家のストークスとかされていたけど、時々、貴族とかの声をやっていました。

大倉正明さんや志賀克也さんも出てたし。

大倉さんは、音響監督の明田川さんに、銀が始まったばっかりの頃に「勉強になるから出てみる?ベテランが多いから役名がないものばっかりだけど」と言われて、二つ返事でOKしたんだとか。

その当時、大倉さんは「きまぐれ☆オレンジロード」に出てたり、「AKIRA」なんかにも出ていたので、役名がないってのが、今思えば凄いんだけど。


明日のゲストは田中真弓さんで、明後日が山寺宏一さんで、明々後日が中尾隆聖さん。

因みに、このゲストと言うのは、ゲストシンガーの事。

「時代」という歌をオープニングで歌うんです。

今日のシンガーは関さん。

皆さん、歌は凄いので楽しみです。

思わず、歌うシルヴァーベルヒと、歌うマシュンゴの二次小説なんかを書いたら面白そう・・・なんて考えてしまいました。


歌うシルヴァーベルヒ。

「獅子の泉<ルーヴェンブルン>」の建設をしている時に鼻歌を歌っていたりしたら面白い。

その歌声をたまたま耳にしたのがメックリンガーで、彼のサロンに招待されるが、その直前にテロに遭う・・・とか。

勝手に色々妄想中。


歌うマシュンゴ。

新年会とかの余興で歌わされる・・・とか。

けど、ユリアンも参加するので、「人は運命には逆らえませんから」と、渋々参加して。

そしてその美声にリンツもビックリとか。

これまた色々妄想中。


その内に本格的に二次小説にしたりして^^@


あぁ、今日は関俊彦さんの美声にうっとり。

そして、飯塚雅弓さんと、横山智佐さんの演技にうっとり。

可愛いんだよねぇ・・・男性ファンがいっぱい来ていた☆


いやぁ、明日も楽しみ~☆