自閉症の息子が作業所に通い始めた頃の話。自宅から作業所までは地下鉄とバスを乗り継いで1時間以上かかるので、私は車内で座れるように始発近くの駅まで車で送っていた。車内で座れた息子は目的の駅まで車の本を読んで過ごしてるようだった。
そんなある日曜日、息子と連れ立って馴染みの本屋さんに足を運んだ。
目的の本を買い上機嫌の息子と書店を出ると「失礼ですが、お子さんのお父さんですか?」と見知らぬ男性に呼び止められた。
「はい、そうですが、すみません。何かご迷惑でも?」息子のこととなると、私はお詫びの言葉が反射的に出てしまう。
「違うんです、違います。私こそ、すみません」と男性は慌てた様子で「私はこの春から自閉症の生徒のお世話をしている新米教師です。私も地下鉄を利用していて何度か息子さんを見かけ、そのうち自閉症だと気がつきました。学校の子供たちと似てましたので」と説明をした。
そして「一人でどこかに通ってるんだな、何事もなければいいなと思って何度か声を掛けてあげようという衝動にとらわれましたが、できませんでした。
自閉症は見知らぬ人に突然声を掛けられるとパニックになる場合があるので控えてました。 私は経験が浅く、そうなった時の対応には自信がないので見ているだけにしていました。ご子息は車内では落ち着いて本を読んでいて、とても立派なのでご安心下さい。と、それをお伝えしたくて・・・」
私は驚いた。彼は自分の教え子でなくとも、同じような子を見ると他人事とは思えず、私のように心配ばかりして謝っていてばかりいる親の気持ちを理解しているようだった。
彼は、無視をして声を掛けないのではなく、理解しているからこそ声を掛けないのだ。見て見ぬふりではない。
ハナミズキ 鉢植えを地植えにしました。
親の知らない所で、あの先生のように、気にかけて、理解してくれて、見守ってくれる方がいることを知って、有難いと心から思えた。自閉症で行動障害の息子に関してのトラブルや通報は、たびたびあるが、そんな世の中に希望が見えた。
だが、そうは簡単に割り切れるものではないが、最近になって、年を重ねたからか、それが自分の気持ちの落としどころと思うようになった。
難しく考えないで、 健康で、美味しいものを食べて、平和で普通に暮らせたら、それで幸せ!と居直ろう、今度の休みは、部屋に入ってしまえば誰の視線も気兼ねも気遣いも不要なカラオケに連れて行き、息子の好き放題にさせようと思ってます。
♪恋はあせらず(フィルコリンズ)
カラオケで私は彼のフリを真似して歌ってます
息子はキロロの曲が好き。部屋に入って真っ先に♪未来へを選曲します。
カラオケ画像の女の子が息子のお気に入り。息子は歌わずに見てます(^^)