『春、バーニーズで』 吉田 修一

春、バーニーズで
吉田 修一
いかにもバーニーズって感じの装丁。
ページ数が少なく、文字は大きく、
しかも途中に全面写真のページが何ページか
はさまれているので、すぐに読めてしまった。
表題作を含む5つの短編が収録されている。
いつものことながら、何も起こらない(小さな出来事はあれども)
毎日を淡々と描いている。
いつものごとく今どき固有名詞をちりばめながら
どこにでもいそうな人のどこにでも起こりそうな毎日が
描かれている。
特別何も起こらない日常を描くのはうまいなぁと思うのだけど
本を読むことに非日常的体験を望んでいる私にとっては
ちょっと物足りない。
悪くはないんだけど…読後何も残らない。
個人的には4編目の『パーキングエリア』が好き。
淡々とした毎日を送っている主人公が
ある日、衝動的に日常からエスケープしてしまう。
妻の対応もよかった。
こんな妻になりたいな…と思ってしまった。
『いま、会いにゆきます』 市川 拓司

いま、会いにゆきます
去年の夏に図書館で予約してやっとまわってきた。
一般うけしそうな誰にでもわかりやすいラブファンタジー。
映画も大ヒットらしいけど演出がうまかったのかな。
本はわりとさらさらっと描かれている気がした。
でもこんなに誰かを慈しみ、愛することができるなんて
うらやましい。
「ヒューウィック?」って鳴く犬って…どこかで出てきたな…と
思ったら、『そのときは彼によろしく』のトラッシュだよね。
ゴミ集めが好きな佑司に連れられていた…。
むむ? ゴミ集めが好きな佑司って?
『対岸の彼女』 角田 光代

対岸の彼女
<blockquote>30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身、子なしの「負け犬」葵。
性格も生活環境も全く違う二人の女性の友情は成立するのか!?</blockquote>
なんて紹介文を良く目にするけど、読んでみると
そんな薄っぺらな内容じゃない。
独身で会社を経営する葵と結婚して子どもがいる専業主婦の小夜子。
物語は葵の過去と小夜子の現在が交互に描かれている。
過去にいじめられた経験がある葵と、
公園で他のお母さんたちにうまくとけ込めない小夜子。
二人の共通点は人付き合いが苦手なところ。
女社会にはなぜかこういうグループ(派閥)がつきもの。
私は昔っからこういうのが苦手。
○○さんと仲良くしたらこのグループには入れないとか
お弁当はいつもグループで食べるとか…。
本当に煩わしい。
小・中学校、高校でも仲間はずれがあった。
仲間はずれにされている子と仲良くすると
その子まで道連れにされる。
本当に陰湿な世界だった。
本当の友達って何だろう。
女同士の友情は結婚したら続かないっていうけど…。
どうなんだろうか。
物語の最後の方は胸にどーんときて、
涙が出てきてしまった。
直木賞納得の作品だ。
『赤い長靴』 江國 香織

赤い長靴
江國 香織
江國作品は読後心があったかくなる作品が多いけど、
この作品はイライラしっぱなしだった。
結局こんなだけど幸せなのだろうか?
私は耐えられない。
逍三は家に帰ると特に何をみるでもなくテレビをつける。
日和子が話しかけてもほとんど聞いてない。
生返事ばかり。
人の話を聞かない人が一番きらい。
ちゃんとキャッチボールができないと
イライラしてしまう。
日和子は時々くすくすと笑う。
笑うことと泣くことは似ていると思いながら。
このくすくす笑いが出てくるとイライラする。
どうしていいたいことをはっきり言わないの?
泣きたい時は泣いたらいいんじゃない?
私は独身だからかもしれないけど…
こんな結婚生活は淋しすぎる!
それとも…これが現実?
『7月24日通り』 吉田 修一

7月24日通り
吉田 修一
あさって返却期限の未読図書館本のなかから
残り2日で読めそうなものを選ぶ。
吉田修一さんの『7月24日通り』。
選んだ理由は…字が大きくページ数も少なかったので
これなら読めそうな気が…。
吉田さんって私のなかでは微妙な位置にいて、
いままでものすごーく面白いと思ったものは1冊もなく、
欲求不満になりそうなくらい後味すっきりしないものか
まぁまぁかなってのが多かった。
(ってそんなにたくさん読んでいるわけではないけど…)
あと2冊はずれをひいたら間違いなく
当分読まない作家リストに加えられるところだった。
ところが…今回のこの作品でそのビミョーな位置から一発逆転!
いいじゃない!
内容は私のあまり好きじゃない恋愛もの。
吉田さんらしく今回も今どき固有名詞が登場。
でも、今まで読んだ作品よりも今どきじゃない。
主人公はとっても平凡な女の子。
学生時代に好きだった人が今も心のなかにいる。
こういう今どきじゃない古風な(?)恋愛ものって好き。
主人公の立場になって感情移入できるからかな。
ちょっと勇気が出てくるお話。
『ブラフマンの埋葬』 小川 洋子

ブラフマンの恋人
夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。
僕は創作者の家の管理人。ここでは作家や詩人、音楽家、
画家などあらゆる芸術家たちが創作活動に励む場だ。
夏のはじめのある日、僕は怪我をしていたブラフマンを
助け、創作の家で一緒に暮らすことに。
ブラフマンと僕の淡々とした日々が描かれている。
ブラフマンは森に住む小動物。
でもはっきり何かは明かされていない。
うさぎと暮らす私にとっては僕とブラフマンのやり取りや
僕のブラフマンに対する感情に
一々うなづいてしまった。
タイトルから結末が想像できてしまうので
ほのぼのした毎日を微笑ましく読みながらも
読み終わってしまうのが恐かった。
『空中ブランコ』 奥田 英朗

空中ブランコ
伊良部医師がまたまた大活躍(?)
『空中ブランコ』
突然空中ブランコに乗れなくなった
ベテランサーカス団員のお話。
『ハリネズミ』
尖端恐怖症のヤクザのお話。
『義父のヅラ』
人前でやってはいけないことを
やりたくて仕方なくなる医師のお話。
『ホットコーナー』
ノーコンになってしまったプロ野球選手のお話。
『女流作家』
以前にも書いたのではないかという
強迫概念に駆られる人気恋愛小説家のお話。
今回も名医伊良部(?)がやりたい放題。
空中ブランコに挑戦するわ、小説書くわ…。
今回は伊良部医師の意外な(?)才能が発覚したり、
学生時代の彼を垣間見ることができたり…。
あきさせることなく…というよりも前回よりも
益々パワーアップしている。
伊良部医師に引っかき回されながらも
癒されちゃって回復していく患者さんたち。
やっぱり伊良部は名医師?
本日の図書館借り出し本
■■■ 本日の図書館借り出し本 ■■■
『いま、会いにゆきます』 市川 拓司/小学館
『赤い長靴』 江國 香織/文芸春秋
『春、バーニーズで』 吉田 修一/文芸春秋
『クレイジーヘヴン』 垣根 涼介/実業之日本社
『十楽の夢』 岩井 三四二/文芸春秋
『対岸の彼女』 角田 光代/文芸春秋
『六星占術心の常識』 細木 数子/主婦と生活社
『CREA eatsおいしいものは日本中から取り寄せる。』 文藝春秋
『芸能人のお取り寄せ帖』東邦出版
『岸朝子のおいしいお取寄せ』 岸 朝子/文化出版局
『インターネットの極上お取り寄せカタログ』 サイビズ
前回借りた本がまだ手がつけられていないというのに
予約本が山のようにまわってきてしまった。
『いま、会いにゆきます』は去年の秋から予約を入れていたものがやっとまわってきた。
『赤い長靴』は新刊情報をみてすぐ予約を入れたらどうやら一番でまわってきたみたい。
『対岸の彼女』は受賞前に予約を入れていたのですんなりとまわってきた。
予約状況を見てみると…どうやら私のあとに100人くらい待っているみたい。
『いま、会いにゆきます』 市川 拓司/小学館
『赤い長靴』 江國 香織/文芸春秋
『春、バーニーズで』 吉田 修一/文芸春秋
『クレイジーヘヴン』 垣根 涼介/実業之日本社
『十楽の夢』 岩井 三四二/文芸春秋
『対岸の彼女』 角田 光代/文芸春秋
『六星占術心の常識』 細木 数子/主婦と生活社
『CREA eatsおいしいものは日本中から取り寄せる。』 文藝春秋
『芸能人のお取り寄せ帖』東邦出版
『岸朝子のおいしいお取寄せ』 岸 朝子/文化出版局
『インターネットの極上お取り寄せカタログ』 サイビズ
前回借りた本がまだ手がつけられていないというのに
予約本が山のようにまわってきてしまった。
『いま、会いにゆきます』は去年の秋から予約を入れていたものがやっとまわってきた。
『赤い長靴』は新刊情報をみてすぐ予約を入れたらどうやら一番でまわってきたみたい。
『対岸の彼女』は受賞前に予約を入れていたのですんなりとまわってきた。
予約状況を見てみると…どうやら私のあとに100人くらい待っているみたい。
『チルドレン』 伊坂 幸太郎

チルドレン
これで伊坂作品の既刊本は全て読了!
今回も素直に脱帽してしまった。
伊坂さん曰く短編集のふりをした長編小説。
『パンク』
閉店間際の銀行に滑り込んだ陣内と鴨居は
銀行強盗事件に巻き込まれる。
アニメのお面を被せられて人質となった彼らは
盲目の永瀬と出会う。
『チルドレン』
家庭調査官は拳銃を持った牧師だという陣内と
同じく調査官の武藤。
ある日の新聞の誘拐事件の記事に出ていたのは
武藤が半年前に担当した万引き少年だった。
『レトリーバー』
陣内の告白に立ち会わされた優子と恋人の永瀬。
陣内につきあって2時間も駅前のベンチに座っていた彼ら。
陣内は失恋した自分のために公園の時間が止まっているという。
『チルドレンII』
再び登場の家庭調査官の武藤と陣内。
武藤は人事異動で家事事件へと担当替えになっていた。
彼は娘の親権を譲ろうとしない夫婦の調停を担当することに。
『イン』
デパートの屋上で陣内がアルバイトをしていると聞いて
やってきた永瀬と優子。
5つの物語に共通して登場するのが陣内。
破天荒だけれど、優しく温かい心の持ち主だ。
私のお気に入りは、盲導犬のレトリーバーは連れた永瀬。
彼は盲目なのだけれど、誰よりも冷静に真実を見極めるのだった。
この作品もやっぱり、それぞれの登場人物の
その後を知りたくなってしまう。
読後感はいつものように爽快で、でも心はぽわ~んと温かい。
そしてこの作品でもお楽しみの作品間のリンクを発見できる。
伊坂作品に関しては感想っていっても
よかった~しか言いようがない!
だってもう、すっかりはまってしまってるんですもん!
『陽気なギャングが地球を回す』 伊坂 幸太郎

陽気なギャングが地球を回す
<blockquote>市役所で働く成瀬、喫茶店主の響野、20歳の青年久遠、
シングルマザーの雪子たちの正体は銀行強盗。
現金輸送車などの襲撃には「ロマンがない」とうそぶく彼らの手口は、
窓口カウンターまで最小限の変装で近づき
「警報装置を使わせず、金を出させて、逃げる」
というシンプルなものだ。
しかしある時、横浜の銀行を襲撃した彼らは、
まんまと4千万円をせしめたものの、
逃走中に他の車と接触事故を起こしてしまう。
しかも、その車には、同じ日に現金輸送車を襲撃した
別の強盗団が乗っていた。
Amazon.co.jpより</blockquote>
とってもテンポがよくて、最初っから最後まで面白く読めた。
今回の登場人物もとっても個性的。
相手の嘘を見抜ける成瀬、蘊蓄・演説好き響野、
スリの天才久遠、体内時計を持つ雪子の4人組ギャング。
伊坂作品に共通していることだけど
犯罪者なのにいつもついつい応援したくなってしまう。
登場人物にすっかり感情移入してしまって
あれ?銀行強盗って悪いことだよね
なんて思っている自分がいる。
この4人は逮捕されずにずっと活躍して欲しい。
そして是非とも続編で彼らにまた会いたい。