テレビ東京「所さんの秘境駅」に
JR北海道が「放送待った」!?
下金山駅ロケ、再編集し2カ月遅れで放送
鉄道乗蔵 (鉄道ライター) 2024年7月1日(月)
20時01分
下金山駅(写真:MaedaAkihiko CC BY-SA 4.0)
駅敷地内での映像が全カット!?不可解だった番組内容
2024年6月28日にテレビ東京系列で全国放送された「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ」で、3月31日限りで廃止されたJR北海道の根室本線下金山駅の最終日に密着した秘境駅特集が放送された。この番組は、営業最終日を迎える最後の生活利用者に密着しようというもので、本来であれば4月19日に放送予定だったものだが、どうやら放送直前にJR北海道から「待った!」がかかったらしく、番組を再編集したうえで2カ月以上遅れでの放送となった。
下金山駅営業最終日の様子についてSNS上では安田大サーカス団長の安田さんが駅のホーム上でロケを行っているという目撃情報が投稿されていたが、実際に放送された番組では日中のホーム上の映像は全てカットされており、駅前で撮影した映像とドローン撮影と思われる映像をメインに放送された。さらに不可解だったのは、駅構内や列車内での映像については、番組で密着された生活利用者がスマートフォンで撮影したと思われる画像などが使用されていたことだった。
相次ぐJR北海道から全国メディアへのクレーム
最近では、東京の大手メディアへのJR北海道からのクレームが相次いでいるようだ。5月5日にBSフジで全国放送されたサンデードキュメンタリー「今こそ鉄路を活かせ!地方創生への再出発」では、JR北海道が、小樽駅舎と布部駅舎の外観撮影、根室本線の廃線跡の撮影について「無断撮影!」としてBSフジに対して抗議を行っていたことは2024年6月29日付記事(BSフジ「今こそ鉄路を活かせ」にJR北海道が抗議 制作会社社長が激白「小樽駅の外観撮影が無断撮影と」)でも触れた。
この番組を制作した制作会社の社長は、「これまで旅番組でJR北海道のほとんどの路線を撮影してきたが、無断撮影でクレームを受けたのは今回が初めてだった」 。「番組の内容が気にくわなかったとしか思えない」と、自身が出演した大阪市のミニFM局「エフエムひめ」の番組で語っている。
※38:45~がJR北海道についてです。
さらに、2024年6月20日から26日にかけて「北の鉄路を考える」という連載を行った産経新聞社に対してもJR北海道から「安全を確認し、乗客の顔が写らぬように配慮してホーム上で撮った列車写真を、デジタル産経のニュースから削除するように求めてきた」。産経新聞社はJR北海道に対して「報道目的でホーム上で撮影した写真を掲載してはいけない法的根拠を示すようお願いしたが、締め切りまでに明確なお答えがなかった」という。
産経新聞は連載の中で、この件について「いつからJR北海道は、ホームなどでの列車撮影を事実上禁止している中国や北朝鮮並みになったのだろうか」としたうえで、鉄道系 YouTuber がホームや車内から撮った映像が削除されていない中で、「サービス精神に欠けるとか、ダイヤ編成が悪いとか、本当のコトを書く」から、嫌がらせを受けたのではないかとしていた。
しかし、テレビ東京の「所さんの秘境駅」特集については、これまでの放送内容からJR北海道に対して批判的な要素はなく、放送に待ったがかかり再編集が行われたことは非常に不可解だ。
当事者からは「寝耳に水」という声も
JR北海道から抗議が寄せられたこれらのメディアに共通する点は、いずれもこれまでJR北海道に対して十分な取材実績のある全国メディアだということだ。
テレビ東京の「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ」の秘境駅特集ではこれまでもJR北海道の函館本線・渡島沼尻駅や日高本線・浜田浦駅など北海道各地の秘境駅でロケを行っている。
こうしたことから、今回の根室本線・下金山駅のロケについてもテレビ東京側としては、今まで通りの手順でロケを実施しクレームが付くような事態は想定していなかったと思われる。
BSフジにしても産経新聞にしても、それぞれの当事者はこれまでの取材の経験からJR北海道からのクレームについては「根耳に水」だったと話している。JR北海道はいったいどうしてしまったのだろうか?
(了)
BSフジ「今こそ鉄路を活かせ」に
JR北海道が抗議 制作会社社長が激白
「小樽駅の外観撮影が無断撮影と」
鉄道乗蔵 (鉄道ライター) 2024年6月29日(土)
23時56分
小樽駅舎(写真AC)
2024年5月5日 正午より、フジテレビの衛星放送「BSフジ」で放送された、サンデ―ドキュメンタリー「今こそ鉄路を活かせ!地方創生への再出発」についてJR北海道からクレームがあったことが判明した。
クレームの内容は、JR北海道が、小樽駅の外観撮影と布部駅の外観撮影、根室本線の廃線跡の撮影について無断撮影だと局に対して抗議をしてきたというものだ。これは、番組の制作を行った番組制作会社社長が、大阪市のミニFM局「エフエムひめ」が制作した番組内で語ったもので、この内容については現在も YouTube で視聴が可能だ。
38:45~がJR北海道についてです。
番組制作会社社長が激白
「BSフジ」で放送された「今こそ鉄路を活かせ!地方創生への再出発」は、北海道を始めとした全国のローカル線問題をクローズアップしたもので、北海道の問題については北海道庁が主導する密室の並行在来線対策協議会で廃止の方針を決めた函館本線の長万部―小樽間の問題がクローズアップされた。
また、番組内ではJR北海道についても触れ、1987年の会社発足当時に当時の運輸省は年間の赤字額500億円弱を適正額と判断し、当時の長期金利7.3%から逆算した6822億円を経営安定基金として設けたこと。JR北海道はこの経営安定基金から生み出される運用益約498億円で赤字を穴埋めされるものとされたこと。
しかし、バブル経済が崩壊した1990年代半ば以降、国の低金利政策によってJR北海道の経営安定基金運用益は急激に減少したこと。これらの要因がJR北海道の経営を窮地に陥らせた原因だとしたうえで、2011年5月になり石勝線列車脱線火災事故が発生したことや、2013年9月に発生した函館本線大沼駅構内の貨物列車脱線事故では脱線現場の線路の検査データが改ざんされていたことにも触れていた。
番組制作会社社長は、JR北海道からのクレームについて「当初は番組の内容に対する抗議かと思ったが、無断撮影に対する抗議だった」と話す。JR北海道に対しては「何かJR北海道さんを傷つけるような映像になっていますか?」と言ったところ、「あれはうちの土地だ」「勝手に入った」と主張してきたという。例えるならば、多くの人々が利用する駅は公共性の高い場所で、大阪駅の駅舎を撮影していたところJR西日本の社員が飛んできて「無断撮影だ!」とクレームをつけるようなもので、いずれにせよJR北海道が「番組の内容が気にくわなかったとしか思えない」と番組制作会社社長は話していた。
なお、この番組制作会社は今までも旅番組でJR北海道の路線をほとんど撮影してきたが、無断撮影でクレームを受けたのは今回が初めてだったという。
JR北海道は産経新聞社にも抗議
産経新聞でも2024年6月20日から26日にかけて 「北の鉄路を考える」という連載を行っていたが、JR北海道は「安全を確認し、乗客の顔が写らぬように配慮してホーム上で撮った列車写真を、デジタル産経のニュースから削除するように求めてきた」という。
産経新聞社からJR北海道に対して「報道目的でホーム上で撮影した写真を掲載してはいけない法的根拠を示すようお願いしたが、締め切りまでに明確なお答えがなかった」。
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(了)