新型肺炎で旅行控え 日本人まで
観光業界は三重苦
時事通信 2020/2/20(木)
7:17配信
人通りがまばらな清水寺近くの産寧坂=17日、京都市東山区
新型コロナウイルスによる肺炎が広がり、観光業界が三重苦に直面している。日韓関係の悪化で日本を訪れる韓国人が大幅に減少している上、新型肺炎の影響で足元は中国人客も減っている。感染を防ぐため、日本人の間で遠出を控える動きも出ており、国内、海外旅行とも痛手を被っている。
毎年多くの観光客が押し寄せる札幌市の「さっぽろ雪まつり」。実行委員会によると、11日まで開かれた今年の来場者は約202万人で、前年から約70万人も減少した。中国から訪れる団体客が大幅に減り、航空便の運休・減便が続く韓国人客も少なかった。
清水寺に近く、沿道に土産物店などが並ぶ京都・東山の産寧坂。これまでは平日も観光客で混み合っていたが、最近はめっきり減った。漬物店の女性従業員は「(訪日客が少なかった)10年前に戻ったようだ」とため息をつく。大阪市のたこ焼き店の男性店主は「中国人客は半分になった。日本人も減っている」と窮状を訴える。
日本人の観光にも影響が及び始めている。旅行大手によると、中国ツアーの中止に追い込まれただけでなく、東南アジア向けなどでもキャンセルが増加。大学生の海外旅行をめぐっては、新型肺炎を懸念し、行き先をアジアから欧州に変更する動きが目立つという。
日本国内でも、人が集まる観光地などを訪れる旅行はキャンセルが出ている。JTBは「春の大型連休の予約申し込みも鈍い。新型肺炎の影響がどこまで続くのか様子見している客が多いようだ」と指摘し、影響が長引くことを懸念している。
中国人観光客激減
愛知で3ヵ月休業するホテルも ・・・
ウィメンズマラソンは
CBCテレビ 2020/2/20(木)
18:55配信
CBCテレビ
新型コロナウイルス感染拡大の影響が、東海地方のホテルの経営に深刻な影を落としています。
「2月6日から一旦、休業という形を取らせていただいている。(ホテルには)私1人だけ…になります」(支配人)
愛知県常滑市にある、このホテルでは宿泊客のおよそ8割が中国からの観光客でしたが、1月末から宿泊のキャンセルが相次ぎ、予約がゼロに。
2月6日から3か月間休業することを決めました。
「中国のお客様に戻ってきて頂いて、今まで通り賑やかな常滑エリアになってほしい」(支配人)
中部空港の地元、愛知県常滑市で14の宿泊施設に取材したところ、10軒で去年に比べ宿泊客が減り、このうち5軒では半分以下に激減したということです。
さらに影響は、3月8日の名古屋ウィメンズマラソンにも。20日主催者が、一般ランナー2万3865人の参加を中止しました。
参加料・1万3850円の返金はなく、東京オリンピックへの切符を争う137人の招待選手は参加します。
参加を予定していた人は ・・・
「決定なんですね。練習して備えていましたが。また機会があれば」
「寂しいです ・・・ 開催して欲しいですけど」 (一般ランナー)
また、トヨタ自動車の労働組合は、ことしの春闘で、決起集会を実施しない方向で調整するなど、新型コロナウイルスの集団感染を避ける動きが続いています。
新型肺炎で寄港中止206回
主要10港、損失数十億円規模
共同通信 2020/2/22(土)
6:25配信
新型コロナウイルスの集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」=21日午後5時10分、横浜港
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、国際クルーズ船の受け入れが多い国内10港での寄港キャンセルが少なくとも206回に上っていることが、21日時点の共同通信のまとめで分かった。業界団体によると、乗客による寄港地での消費は1回平均3千万~4千万円に上るとのデータもあり、経済損失は数十億円規模になる計算だ。
2019年の寄港回数上位10港(国土交通省調べ)の地元自治体に、新型ウイルスの影響が広がった2月から年末までのキャンセルの状況を聞いた。
現時点でのキャンセル数は、10港合わせた19年の寄港実績(1305回)の16%に相当する。
中国人宿泊トップの静岡に打撃
稼働率低下し休業のホテルも
共同通信 2020/2/22(土)
11:59配信
静岡市の清水港に掲示されている、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の寄港中止を知らせる案内=22日午前
新型コロナウイルス感染拡大で外国人宿泊客の約7割を中国人が占める静岡県が、“依存度”の高さに翻弄されている。中国便は全路線欠航、クルーズ客船も寄港中止になり、県によると、1~3月の宿泊施設の予約キャンセルは12万人に達した。観光庁によると、2018年の中国人宿泊客の割合は全国トップで、県担当課は「宿泊業界全体が打撃を受けている」と危機感を隠さない。
中国人に人気が高い富士山や、御殿場プレミアム・アウトレットへの経由地となる同県小山町の宿泊予約キャンセルは約3万2千人。稼働率が低下したため、2月から休業に追い込まれたホテルもある。
「 バス売却して運転手の給料にあてる 」
客激減で社長が苦渋の選択
MBSニュース 2020/2/24(月)
17:20配信
MBSニュース
新型コロナウイルスの感染が拡大している中、関西経済への影響が大きくなっています。中国人観光客のバスツアーで売り上げを伸ばしてきた会社の中には、商売道具のバスの売却に追い込まれるところも出ています。
大阪のタクシー会社「日本城タクシー」は中国人観光客相手のツアーバスで業績を伸ばしてきましたが、そこへ今回の新型コロナウイルスが直撃しました。仕事は激減し、2月24日は9人のバス運転手が出勤していますが、このうち7人は待機で、バスのメンテナンスなどで時間をつぶすしかありません。
「だんだん最近することがなくなってきて、ホイールを磨くと。だんだんホイールがピカピカになっていく。」(日本城タクシー 坂本篤紀社長)
中国人ツアーだけでなく国内旅行や社員旅行なども中止が相次ぎ、3月以降の予約はほとんど埋まっていません。
「売り上げが10分の1になったというのが正確かな。(売り上げ)半分で真っ青になって、10分の1で開き直るかな。」(日本城タクシー 坂本篤紀社長)
そこで坂本社長は、所有していた大型バス10台のうち古い3台を売却し、運転手らの給料支払いなどにあてることを決めました。
「これ(バス1台分)が(運転手の給料)1か月分やと思ったら、3か月はいけるなと。本来守るべきはこっち(運転手)であって、彼らが持っている経験はお金に換算するとすごいものがあるからね。1人をまるっきり1から育てるのはそれなりに…バス1台分くらいお金がかかる。」(日本城タクシー 坂本篤紀社長)
MBSニュース
新型コロナウイルスの影響で初の経営破綻、
愛知県の観光旅館(株)冨士見荘が破産へ
東京商工リサーチ 2020/2/25(火) 12:11配信
中国からの団体ツアーのキャンセルが相次いだ
(株)冨士見荘(TSR企業コード:510067255、法人番号:9180301011281、蒲郡市西浦町大山17、設立1956(昭和31)年2月、資本金9600万円、伊藤剛社長)は2月21日までに事業を停止し、名古屋地裁豊橋支部への破産申請を小林輝征弁護士ほか1名(弁護士法人中部法律事務所、名古屋市中村区名駅3-23-6、電話052-562-0775)に一任した。
負債は現在調査中。
蒲郡市の西浦温泉で観光旅館「冨士見荘」を経営していた。三河湾を望む景観と新鮮な魚介類を売りに、2005年12月期には約5億5000万円の売上高を計上していたが、その後の業績不振により再度の資金ショートを起こし2013年8月に行き詰まりを表面化した。
その後も事業を継続し、特に近年は需要が高まる中国人ツアーの受け入れに注力。多くの中国人観光客が利用していた。こうしたなか、2020年1月、中国で急拡大した新型コロナウイルスの影響で中国からの団体ツアーのキャンセルが相次いだ。春節の大型連休と重なることもあって、盛り上がりを見込んでいた需要が確保できなくなったため、先行きの見通しが立たなくなり、事業継続を断念した。