バレエピアニストの勉強はバイエル半ばから始められます、のこと | ウサギ舎のブログ~バレエピアニストの日々~

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ウサギ舎です。バレエピアニストなんて仕事してます。作曲家です。たまに舞台で踊ってます。ウサギ舎バレエ伴奏ピアノ研究所主宰。まあ、見てやってくんなまし。 

見学会にて、こんな人がいた。

その人はウサギ舎の広告チラシを見て…(そこには今日のタイトルの「バレエピアニストの勉強はバイエル半ばから始められます」と書いてあったのだけど…)、バレエピアニストの仕事はバイエル半ばの腕前で務まる、と思ってしまったらしいのだ。

 

 

実際見学会で見て、びっくりしただろうなあ(笑)。

勿論、

「勉強を始めることが可能、って意味ですよー」

「ピアノ教室、入門3歳より…ってのと同じです。入門したての3歳の子がいきなりショパンのソナタを弾ける訳じゃないですよね」

とお話しして誤解は解いて頂いた。

 

 

こんなケースは流石に初めてだったけれど、逆はよくある。

「そんなに早く始めることができるんですか?」

「音大とか出てからじゃなくていいんですか?」

「下手でもいいんですか?」

みたいなね。

 

 

いいんです。できます。

ってか、むしろ下手なうちにさっさと始めてください。

↑ま、これは極端だけど、今日はその「バレエピアニストの勉強はバイエル半ばから〜」について詳しく話してみたい。

 

 

 

 

ウサギ舎が入門時のピアノの熟達度に拘らない、いやむしろハードルを下げている理由は二つある。

 

 

ひとつ目は、

「ウサギ舎に来る多くの音大生やピアノ講師の、主に即興演奏や作曲、アレンジのレベルがいわゆる演奏技術に比べて極端に低すぎる」

から。

即興演奏を音大で教えない、と知ってびっくりしたのは恥ずかしながらウサギ舎を始めてからだった(不勉強でごめんなさい)。

音大出てるのに揃いも揃ってダサい即興しかできない謎は解けたが(やったことないんだもんね、当たり前だよね)、それはそれで「イチからウチで教えるんかいっ!!」と目眩がしたものだ。

 

お陰様で今では覚悟を決めてイチどころかゼロから手取り足取りやってるし、大概のレベルの低さにはビクともしなくなるし、「さ〜〜、出来ない子ちゃんいらっしゃい♫」などと逆にできるようにすることに萌えるようになってしまったので、ありがたいことではあるのだが。

 

 

でもやっぱり、音大まで出た専門家がイチからやらなくてはならない、と言うのは「二度手間」感が拭えない。

楽譜があればバリバリ弾けます、でも無いとなんにも出来ません、なんて人が出来上がってしまう前に、できれば頭が柔らかいうちに即興やアレンジの勉強くらいは始めといてくれよ、と言うのも本音である。

 

 

 

 

勿論、物事を学ぶのに遅いということはないし、その生徒にとっての「学びどき」が音大を出て社会人になってからだった、という場合も多々あるので、学び直す人を否定する気は毛頭ない。

 

また、断っておくが始めるのが早ければ早いほどいい、ということでもない。

ピアノそのものの技術がなければせっかくのアレンジを綺麗に弾くことはできないし、「弾くこと」自体が覚束なければ即興どころではないだろう。

早くに即興演奏やバレエ伴奏のレッスンを始めた人は、最初はできることから、そしてピアノそのものの技術も並行して上げていってもらうことになる。できることからしかやらないので、進みはのんびりに感じられるかもしれない。早く始めたからといって、もれなく促成栽培の天才少女が出来上がるわけではない。

 

要は、片っぽだけじゃなく並行してやってほしいのだ。

ちなみにウサギ舎の入門は原則として中学生から。これはピアノの技術云々というより、「大人の使う言葉がわかる」「状況に応じて正解が違うことを理解できる」「自分の意見を持ち、言葉にできる」など頭の中身に寄るところが大きい。

 

 

というわけで、バイエル半ばから、「可能」。

始めるのが早かろうが遅かろうが、興味があったら、やってみてほしい。

やってみる、学ぶのを躊躇するのに「ピアノの熟達度」は理由にならない。

「ピアノを上手に弾けるようになってから」というのにも一理あるけど、二度手間は勿体ない。

ウサギ舎は、その二度手間を、可能な限り少なくしたい。

 

 

 

 

もう一つの理由は、長くなったので次の記事にて。

 

 

 

 

画像は、ユジク阿佐ヶ谷(映画館よ)の黒板アート。