たまにメールをしていたが電話もしていなかったし

ご飯に行く約束も特にしていなかった

それに特に彼氏が欲しい訳でもなかった


でも桑ちゃんの事はなんか気になってしまう。

だからただなんとなくメールの交換を繰り返していた



昼のお店に派遣があるように

私は夜の派遣で働いていた


派遣なので別のお店に派遣されることもある



会社から連絡がきて

ある日私はいつも働いているラウンジではなく

別のお店に出勤することになった



出勤確認の電話が来て出勤します

という返事をしたあとすぐに

桑ちゃんから初めて電話がかかってきた



今日ご飯に行こうという内容だった。

私は出勤しなきゃいけない事を伝えて


「短時間になってしまうから申し訳ないけど・・」


という旨を伝えてミナミに向かった。

いつも行っているラウンジのお客様だから

この日、同伴してもらおうなんて考えていなかった。



この日、アカリという創作料理のお店に連れていって貰った

こじんまりしているがとても雰囲気のいいお店で

料理もとても美味しかった


政治や経済のこと

私の会社の事

桑ちゃんの会社の事

家族のこと


たった一時間半だったが色々な話をした

第一印象通りとても明るくいい感じの人だった


9:00入店だったので8:.30にアカリを出た。

ここで私はバイバイするつもりたったが

同伴してくれると桑ちゃんが言い出した



「いや・・成美ママにバレたらマズイんで

同伴して頂かなくてもいいですよ?」


「成美に言わんしいいよ。

一回でも同伴してって言ってきたら

同伴しやんとこって思ってたけど

一回も言ってこやんかったから同伴したる

それに初めてのお店なんやろ?

一緒に行ったるわ」


そう言ってくれたので悪いなぁと思いながら

同伴してもらう事にした


初めてのお店だったので、心細いというのも事実だった

それにもっと桑ちゃんと話したいと思っていたので

同伴してくれると言われた時は正直嬉しかった


お店に入ってドレスに着替え、

桑ちゃんの隣に着いた


成美ママのお店、ロアームにほぼ専属で出勤していたのにも

関わらずそこでは桑ちゃんを接客したことがなく

このお店で初めて桑ちゃんの接客をすることになった



このお店は夢という名前だった

フロアはとても大きくお客様も沢山入っていた



しかし夢のママには同伴だからか

他のお客様の席に回される事もなかった


9:00~1:00までの4時間ずっと桑ちゃんの隣に居る事が出来た

その間にまた経済の話で盛り上がった

そして聞きたかった広島の女の子の話も沢山聞く事ができた



本当に好きだったんだなぁと感じたし

それだけ好きだったのなら広島と大阪で遠距離ではあるけれど

頑張って欲しかったというのも本音だった


けれど・・好きだった女の子の話を

聞いてなんだか寂しく感じたのも本音だった


そしてスマートなお酒の飲み方をする桑ちゃんに

正直どんどん惹かれていった


お客様としてではなく一人の男性として

魅力的だなぁと感じていた


12時を回った頃私は桑ちゃんに半分冗談、半分本気で

付き合おうかと言われお互いお酒も入っていたしOKした



閉店の時間を迎え、着替えてお給料を貰い

一緒に外に出て次はラスモアというお店に向かった


そのお店の中で


「外見で人を判断したらあかんねんけど

経済とか政治について話できる子やなんて

思いもしなかったし、話してて本間に楽しかったから

付き合いたいと思った」


と言ってもらってとても嬉しかったことを覚えている

















彼氏や彼女が欲しい欲しいと思っている時には

人は思うような出会いがなく

出会いが欲しい等と思っていないときに

突然大きな出会いが訪れることがある



私はあの頃出会いなんて全く求めていなかった


恋愛はしんどい。旦那の相手だけでもしんどいし

時間もない、心にも恋愛なんてする余裕がなかった


一番の理由は不倫否定派だった

恋愛がしたいのなら離婚してからすればいい

心からそう思っていた。



私はあの日、Yさんという人と同伴出勤した

Yさんは当時の私の相談相手であった人で

信用も出来ていたし楽しい人だった


だんだんお店が忙しくなって慌しくなってきた時

はまちゃんがお店にやってきた


私はこの時初めてはまちゃんに出会った。

はまちゃんはとてもおもしろくて歌がとてもうまかった

そして何よりも太っていた


私が出会った人の中で最大のサイズだったかもしれない


しかし自分が太っていることを苦にするのではなく

太っていることをネタにして周りを湧かせる

そんな人だった


私ははまちゃんの席について罰ゲームで

マッコリを沢山飲むハメになってしまった


お酒が弱い私は眠たくなってくるし

吐き気を催すし最悪の状態だった


それでも笑顔で接客していたから

ママは私の体調の変化に全く気付いていなかった


ママはお店が終わったあと

どれ村という韓国料理のお店に行くと言い出した


明日の会社のことが脳裏をよぎり

お酒で麻痺して回らない頭を必死に回転させて

帰る方法を考えていたが何も思いうかばなくて

ママに明日会社もあるし帰りたいという事を伝えた


しかしママが了承も理解すらもしてくれるはずがなく

そのまま私も連行されることになった


私はとても不機嫌だった

眠たいしとにかく早く帰りたかった

アフターなんて行っている場合じゃないのに・・


どれ村についてハイテンションなママの隣で私は

必死に吐き気と睡魔と戦っていた


はまちゃんは私の変化に気付いてくれて

心配してくれたがママはゲストにその様な心配を

させる事が気に入らない人なので

しっかりしなさい!と私に耳打ちした


どうしてそんな流れになったかはボーっとしていたので

分からないがママが電話して泣いているフリを

しようという事になった


人が増えたらますます帰るきっかけが無くなってしまう・・


私は目の前が真っ暗になって絶望感でいっぱいになっていた

とにかく早く帰りたい・・そう思っている私の隣で

ママは迫真の演技をかまして心配した木下さんは

今からこっちへ向かうということになった


はまちゃんとママは木下さんが騙された事で

大笑いしていた。私は愛想笑いをした。


絶対2:00に帰るなんて不可能だ・・

私はますます笑顔になんてなれない心境になっていった


「眠いよなぁ?明日も会社やろ?大丈夫か?

俺がちゃんとタクシーで送るから

もうちょっとだけ付き合ってな?」


「あ・・はい。

気を遣わして本当にすみません」


そんな会話をして5分もたたない内に

木下さんとしらない男性が店にやってきた


「なんやねん成美!

やっぱりお前泣いてへんやんけ!!

おかしいと思ったらやっぱり演技かよ~!」


その男性は笑いながら言った

じゃあわざわざ来なくていいのに。

私はみんなの会話を冷めた目で傍観していた


成美ママと私の間にその男性は座った。

そしてはまちゃんが男性を紹介してくれた


「彼は桑ちゃんっていいます。

俺と幼稚園の時から一緒やねん」


「よ・・幼稚園?!

本当ですか?!!」


私にはそんなに古い付き合いの友達が

いないので素直にびっくりした


「桑ちゃんです。よろしく

成美のお店で働いてんの?」


「あ、はい。

まだ入店したばかりなんですけど・・

よろしくお願いします」


「そーなんや!

入店したばっかやのにもう成美に

アフターに振り回されてんや!w

気に入られてしまったんやなぁ~」


「そうなんですよ~汗」


「そやねん、桑ちゃん。

眠たい眠たいゆぅて半分死んではんねん~

やからもうちょっとしたら俺ら帰るわ」


桑ちゃんというその男性は

ケラケラと笑っていた



とても印象のいい男性だった。

彼はアパレル系の企業の経営者だった


この人達はみんな何かしらの会社を経営していたから

夜の仕事をするにあたってこの人達と仲良くしておく事は

必ず自分の為になると判断した


しかし色はかけたとしても

好きになったりする人達ではないそう思っていたが

なんとなく桑ちゃんにアプローチしようと考えていた



この日は30分程度しか喋っていなかったが

この人のことをもっと知りたいと思ったので解散して

タクシーの中で桑ちゃんの事をはまちゃんに質問し

少ないが彼の情報を入手することが出来た



最近桑ちゃんは失恋したということ

その女の子は広島の女の子で最近

広島に帰ってしまったという事

仕事がらみで一緒で夜の女の子ではなかったこと


・・・つまり彼女はいないという事だった



桑ちゃんに電話してもらって私に連絡先を教えてもいいか

確認してもらいアドレスをはまちゃんから教えてもらい

この日から桑ちゃんとたまにメールをするようになった



なぜ桑ちゃんかといえば特に理由はなかった。

印象がよかったから?タイプだったから?



それは今でも分からない。



でも何故か第一印象で桑ちゃんに私は惹かれていった



















私は彼と顔を合わせることがだんだん嫌に

なっていった


家の中でパラパラを踊られた時は本当に

なんて低レベルなんだと私は飽きれて

旦那への愛情が急速に無くなっていくのを感じた


離婚したい・・


旦那への愛情は無くなってしまっても

まだ私には情が残っていて離婚に踏み切ることが

出来なかった。


けれども私はだんだん離婚という選択肢について

掘り下げて考えることが増えていってた



私は会社が終わったら晩御飯を作って

ラウンジに行く用意をする


そして19:30には家を出る

同伴の時は18:30には家を出る


ラウンジが終わるのは1時

アフターに付き合ったときは2:30に終わる


3:00過ぎに寝て7:00に起きる



まだラウンジが週に3回だったから

会社と並行してアルバイトが出来たのかもしれない


それに夜の仕事に出勤してしまえば

嫌な旦那を忘れることができる


完全な現実逃避だった











私は昼間は会社員、

そして夜はラウンジ嬢

休日は母親として忙しい毎日を送っていた



私が夜の仕事を始めることになったキッカケは

旦那の3度目の転職だった。


三度目の転職は私の親友の旦那さんの紹介で

始めた仕事だったが結局1週間しか続かなかった。


雇用保険の支給まで3ヶ月・・

私は少しでも生活費用の足しになるように夜の

仕事も掛け持つことにした


旦那の仕事が決まればすぐやめる一時的な

家計の救済と思っていたが彼は正社員ではなく

ホストという道を選んだ。


普通に働くことがばかばかしいと思ったのか?

ホストをしたいと相談を受けた時、

私は何を言っているのか最初は理解できなかった。


決して楽な仕事ではない・・

安定しない給料だ

休日らしい休日なんてない


私は何度も釘をさした


けれども彼の夜の世界への憧れは

強く大きなものになっていった


正社員を探すのではなく夜の仕事の求人ばかり見て

このお店はどう、あのお店より待遇がいい、

そんな事ばかりいう彼を私は飽きれて傍観するしかなかった


彼は一回言い出すとあまり他の意見に

耳を貸さない。これだけ彼の夜への憧れが

強くなってしまってはもし、正社員が決まったとしても

少しのアクシデントでまた退職、という事態に成りかねない。


今回の転職でホストを経験しておけば

やっぱりあの時俺はホストをしておけばよかった

などと不平不満を言われないだろうとも思った


妻である私からみても

彼がホストに向いているとは全く思えなかった


しかし彼のこの時の行動力にはビックリした。

いつもなら面接面接と彼のしりを叩いてようやく

重い腰を上げるのに今回は彼から面接のアポをとり

体験入店を終わらせてきた。


そして、正式採用・・


旦那が私の一番嫌いな職業である

ホストになった。


でも私は止めなかった。

何度も転職する彼を止めることに疲れてしまっていた


夜の世界よりも昼の世界のほうが

楽だという事実を身をもって体験すればいい


そう思っていた。