柳田邦男著 「マリコ」 新潮文庫 1983年刊
古本屋に並んでいた「マリコ」を何気なく手にとった。180円だった。
昔、若い時に「太陽にかける橋」bridge to the Sunという本を読んでいた。
外交官 寺崎英成と結婚したGwen Terasakiの著である。
この本には彼らの娘マリコのことが書いてあった。もしかしたら、という想像はあたっていた。
マリコは、この本の二人の娘のマリコだった。3日ほどかけて読了した。
外交官 寺崎英成は、日米開戦を阻止するために全力でワシントンの大使館で大戦前夜に働いていた外交官である。戦後、 寺崎英成が亡くなった後に妻のGwen11が二人の思い出を書いたBridge to the Sunはアメリカ、日本でベストセラーになった。
私は、その本を英書で何回も繰り返して読んだ思い出がある。私の想像であるがGwenは日本人にも英書で読んでもらうことを期待していたのではないかと思う。やさしい英文だけで構成されていた本だった。
その続編ともいうべき「マリコ」は興味深かった・
マリコは、私と同じ年に生まれていた。したがって、マリコの船中、戦後体験は、ほぼそのまま私の体験とダブルものでした。
マリコの母が書いたbridge to the Sun(太陽にかける橋)は、当初引き受けてくれる出版社がなくNorth Calorina Univ.の出版部が最初に出版を引き受けていた。
ノースカロライナ大学は、私が20代のころに短期間留学した大学だった。
出版を交渉するためにマリコの夫のアメリカ人メインは数日ノースカロライナ大学のあるChapel Hill1のホテルに滞在していた。私も、Chapel Hilで下宿を探していた1週間、ホテルに滞在していた。
Chapel Hilには、ホテルは1軒しかないので、同じホテルだろう。
ということで、私との接点の多い、話だったので興味はひとしおだった。
この本は、もちろんマリコの話であるが、
同時にマリコを取り巻く男たちの挫折の話でもあった。
マリコの父、寺崎英成は、日米開戦を阻止するために努力するが、失敗する。
戦後、失意のうちに亡くなる。
マリコの夫、メインは、法律家で事業は成功するが、上院議員になるという夢を果たせず、なくなる。
長男のラッシュは秀才で一家の期待を一身に背負っていたが、なぜか自殺してしまう。
すぐれた男たちに囲まれながら、それぞれの挫折を目に、苦しみながら生き抜く女の話でもある。