日本のアニメ業界の問題点 ~その1~ | アニメ・プロデューサーZの極月日記(ごくげつにっき)

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基本フリー的な?アニメ・プロデューサたちが、日々起こった出来事や、モメ事、グチなどを書き連ねる、グダグダな日記どぇす。

最近あまりの、ブログ放置プレイに自分でも呆れ返っております(^^ゞあせる
その反省も含めまして、長年、業界で生きてきた貧乏プロデューサーとしての最近感じている、日本のアニメ業界問題点に関して、凄~~~く私的な見解を話させていただく事に致します。

まずは、第一回目として、業界の製作現場…特に作画関連の問題点を話す事に致します。
まずは基本情報として、日本のアニメ業界には三大源流があって、アニメーターさんの過去をさかのぼると、このどれかに属する事になると教わりました。

東映動画 ●虫プロ ●竜の子プロ の三つです。

私自身は、シンエイ動画と言う、「ドラえもん」で有名な会社の出身です。
シンエイ動画の社長は、東映動画出身で、宮崎さんや大塚さんと一緒に仕事をしていたそうで、その後「Aプロ」と言う会社でルパンを製作(作画)していて、独立…Aプロから、新しいAプロ…新A…シンエイと言うふうになったという事です。

最近、エヴァ庵野さんが、「…日本のアニメの寿命はあと5年くらい…」と発言されているのを読んで、やはりそう思っているのか…と思いました。
私も頼りにしている、駒井さんや他の原画マンさん(当然、作監クラスの人たちです…)たちに、あと持って5年~10年だねって…良く話していました。
あなた達のような、技術のあるアニメーターは、もう正直、絶滅危惧種だからと言う話しもしていました。

…と言うのも、腕のたつ原画マンの年齢がすでに40代後半に入って来てしまっているからです。
前に、駒井さんと話した時にも、ここ1年で急に集中力の持続できる時間が短くなって愕然としたと聞きました。
昔だったら、1日で軽く10カット以上出来たのが、最近では数カットしか出来ないとか、上げたいと思っても上がらないと言う話になりました。

バリバリ現役の原画マンなら、1ヶ月で一人で30分アニメの原画を描ききる事なんか出来て当然でした。そのくらいの力量が無ければ、作監なんか出来ないんですから!
本来、作監が出来る人は、原画マンの中でも、スピードがあり、しかも上手くなければ出来ないポジションなんです。
原画マンになるのも、動画から初めて、10人中、1~2人くらいしかなれない狭き門でした。(最近では、下手くそなのに人手が足りず、すぐに原画マンになれてしまう現実があり、作画崩壊の要因になっています。)

作画崩壊が起きるので、最近では3Dアニメから、2Dアニメに変換すると言う手法に走り始めている会社がありますが、私の個人的見解では、そう言うアニメはダメよ、ダメ、ダメ…!!((´;ω;`)ウッ…古い流行語!?
それは、なぜかと言うと、以前このブログでも書きましたが、日本のアニメの生命線は、動きのタイミングにあります。
ディズニーのフルアニメに対抗して、日本では予算や人員の問題から、独自のリミテッドアニメと言う、原画枚数を減らした手法で発展して来ました。
フルアニメは、1秒24コマに対し24枚…それに対して日本のリミテッドアニメは1秒8枚と言う3コマ撮りになっています。この3コマ撮りと言うのが、実は独自のタイミングを生み出す効果をもたらしました。
そう、場合によって1コマ使いだったり、2コマ使い3コマ使いを混ぜる事により、無限のタイミングを、アニメーター独自の創造性で生み出せるようになったのです。宮崎さんも、2コマ使いや1コマ使いを上手に使って、宮崎アニメを完成させています。

3Dアニメは、要は実写アニメです。動きは均等になります。作画崩壊は生じませんが、極端に言うと誰が作っても同じタイミングで動きます。
その動きに、宮崎アニメだ…とか、大塚さんの動きだとか、板野サーカスだとか言うモノにはならないのです。

アニメーションの語源は、生きていないものに、命を与え動かす事…だと、教わりました。実写はアニメではないし、日本独特のタイミングもありません。
大昔、ディズニーが白雪姫でロトスコープと言う手法で、アニメを作りました。これは、実写で一度撮影した動きを、アニメで描き起こすと言う、まさに3Dを2Dにする手法です。
しかし、この手法は定着しませんでした。その理由は明確です…アニメじゃないからです。
現在の日本は、そのディズニーですら放棄した手法で、アニメを制作しております。こんな物が、流行るはずがないと考えるのは、私だけでしょうか…はてなマーク!!

私自身は、絶滅危惧種のアニメーターさんと一緒にアニメを作って行きたいです。…でも、頼むから…本当に頼むから、もう少し早く原画を上げてくれ!1日1カットと言うのは止めて欲しい…ヒドイと1週間で2~3カットしか上がらないって、どう言う事…?時々、こう叫びたくなります…テメエら絶滅してしまえ!…と、ごめんなさい、でも、スポンサーに頭を下げるこちらの立場も少しは分かってネ…と言う愚痴でした…。


次回、第二回目は、クールジャパンの代名詞ともなっている、日本のアニメが実は大分前から世界では、もう輝きを失っていると言う現実について、私の知る限りのお話しをさせていただく事にしますので、お楽しみに…エッ、楽しみにしていない…こりゃまた、失礼しやした~~(古いセリフですねェ…植木等なんてミンナ知らないでしょう…あせるはてなマーク