日本語で去勢抵抗性前立腺癌
CRPCに対して現在使用できる薬剤はアビラテロン,エンザルタミド,ドセタキセル,カバジタキセル,ゾーフィゴ.
2016年現在で欧米にて使える薬すべてが,やっと日本でも全登場しました.
どの順番で使用するのか?
治療シークエンスと言います
治療シークエンスは患者さんごとに決めていくのが基本.
「すべての患者さんに適用できる,画一的な治療シークエンスはない」のが現時点では正解のようです.
AR-V7などのバイオマーカーが登場すれば理論に基づいた治療シークエンスの組み立てが可能になるはずです.
バイオマーカー登場までの間は様々な臨床的因子から患者さんごとに最適な治療シークエンスを考えていきます
ところで,AR-V7はアビラテロン,エンザルタミドなどのホルモン治療抵抗性を示すバイオマーカーとして知られていますが,AR-V7発現症例において期待されていたgaleterone
Androgen receptor degradation
CYP17 enzyme inhibition
Androgen receptor inhibition
galeterone 以上3つの作用があるためにAR-V7発現症例において効果が期待されていたのですが,
http://tokaipharmaceuticals.com/our-programs/about-galeterone/
ARMOR3-SV, a Phase 3 clinical trial of
galeterone, was evaluating whether administration of galeterone results in a
statistically significant increase in radiographic progression-free survival as
compared to Xtandi® (enzalutamide), an oral therapy currently approved for the
treatment of castrate-resistant prostate cancer (CRPC), in AR-V7 positive
metastatic CRPC patients. ARMOR3-SV was the first pivotal trial in prostate
cancer to employ a precision medicine approach for patient selection. On July
26, 2016, Tokai announced its plan to discontinue ARMOR3-SV based on the
recommendation of the trial’s independent Data Monitoring Committee.
エンザルタミドに勝てなかったようです.だめでした..
ただし,エンザルタミド後のセッティングで臨床試験は続くようです.
http://tokaipharmaceuticals.com/our-programs/about-galeterone/
The company recently re-opened an extension
arm of ARMOR2, the company’s ongoing Phase 2 clinical trial of galeterone, to
further explore the safety and clinical activity of galeterone in metastatic
CRPC patients whose disease progressed during treatment with enzalutamide. This
expansion arm is designed to evaluate whether, in patients who have developed
acquired resistance to enzalutamide, longer-term administration of galeterone
is required in order to demonstrate clinical benefit with galeterone.
TakedaのTAK-700 (orteronel)やcabozantinibの時もショックでしたが,期待していた薬剤がRCTで否定されると悲しいです.
米食品医薬品局(FDA)は2012年11月29日、転移を有する甲状腺髄様癌の治療薬承認していますが、前立腺癌に対してはまだ治験中ですね。
生検までのPSA値の推移がわかれば、そのデータも整理を
2 転移の有無
CTや骨シンチ という検査でわかる。前立腺癌は骨やリンパ節に転移しやすい
3 前立腺内にがんがとどまっているか?
MRIという検査でわかる
4 がんの悪性度の確認
グリソンスコアというスコアで、6ー10点の間の点数で表示される。
がんの組織を顕微鏡で診断する。
おとなしく、進行が遅く、転移しにくい性質のがんか、
早く進行する、転移しやすい性質のがんかがわかる
5 陽性コア数
何本生検して、何本から癌が検出されたか
6 前立腺の体積
7 血のつながった家族で前立腺癌の患者がいるか?
8 自分の年齢
9 治療中の病気。内服してる薬の種類。今までしてきた病気や手術
10 1-9のデータを基に主治医と治療法の相談。またはセカンドオピニオンへ
治療する施設はどこがいいのか?
これは、次回書きたいと思います。
Volumetric modulated arc therapy (VMAT)
IMRT(intensity-modulated radiation therapy)の進化版
回転原体照射に強度変調の機能を加えた照射法
1回の治療時間が2分くらいに短縮できます。
それだけ誤差が少なくなり、副作用の軽減、治療効果の向上が期待できます。
手術を行う場合、どのチーム(施設)で執刀してもらうのかで、治療効果が変わってくることがありえます。
「放射線治療」も同様。
もしかしたら手術よりも施設間格差が大きいのかもしれない。
前立腺癌で放射線外照射(リニアック)治療を選択するのであれば、「IMRT」「VMAT」などの方法で照射を。
さらにvisicoil®を前立腺内に留置して「IGRT」で照射治療できるのが理想。
単純に解析に誤りがあっただけなのか、データ改ざんがあったのかどうかが焦点。
万一データの捏造があったのであれば論外。
何にしても研究責任医師である京都府立の松原さん(前教授)にの罪が最も重いことは間違いない。
そしてノバルティス社の初期対応も悪かった。
事件が発覚した時点では「わが社は関与していない」というスタンスをとっていた。
その後、自社の社員が解析にかかわっていたことが判明。
不祥事があった場合に初期の対応が悪いと影響がさらに大きくなるという、典型的なパターンですね。
しっかりと初期対応しておけば、かえって企業イメージのアップに繋がったのに。
企業イメージが悪くなるのはわかっているが、のらりくらりかわす>ばか正直に調査して、万一データの捏造でも発覚すれば、「大規模な詐欺罪」等に該当し、こちらのほうが損失がでかい と判断したのか?
ここでは、これからの臨床研究という切り口でこの事件を考えたい
これまでは性善説に基づいて研究は行われてきた。
基礎研究では、一つ成果がでた後に他グループによる追試というかたちで事実の証明と確立がなされる。
一方、大規模臨床研究で追試は難しい。
今回のように3000人希望の臨床試験ではなおさらだ。
臨床研究でデータの改ざんがあるとは、今までは誰も考えたことがなかった。
みんな性善説に基づいて論文を読んでいましたね。
しかし、この事件をきっかけに、これからは性悪説に基づいて試験をレビューしなければいけない。
実は、海外からはすでに「性悪説」の目で見れられ始めている。
少なくとも、前向き研究や大規模試験においては、データの取集、解析は中立的なデータセンターに依頼する時代に突入したのではないだろうか