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うりこ。のブログ

チャンミンとユンホの恋愛小説を綴っています。




言葉を交わしていた筈なのに
相槌が聴こえなくて


「・・・・ヒョン?」


椅子から腰を浮かし
ソファの様子を覗いたそこには

両腕を組んだまま
瞼を閉じて眠るヒョンの姿・・・・

さほど広くないソファーに身を丸め
靴を履いたまま足を投げ出して

うつむいたその横顔は
彫刻の様に美しいのに・・・・

遊び疲れた子供の様に眠っていた

忠告も虚しく、あんたの中の「僕」は

何時まで経っても「安全」な
男でしたかないんだな・・・・

どれほど長い間想い続け
恋い焦がれてきたのか・・・・


「・・・・眠るなって・・・言ったのに」




雨が降り始めたのか、
おおきな雨粒は音もさせず

窓に打ち付け流れて落ちてゆく・・・・

静寂の中に聞こえるのは安らかな寝息

だらしなく開かれた赤い唇が
柔らかそうだなと思った

・・・・・・ヒョンに

ヒョンの唇に触れたいと思った。

この唇に触れたら・・・・・
あんたは目を覚ますだろうか?

近づいて覗き込んだ顔に「ヒョン」
ともう一度だけ呼んでみる


「あんた・・・・犯されたいのかよ」


この瞼が開いたら・・・・・
これまでの関係は終わりだなって

「誰か」の声が頭の中で聴こえたけれど

幸せそうに眠るこの人を前に

積もった僕の想いを止めることができなかった。






「このツアーが終わったら暫くは日本に
戻って来れないんだな…」

クッションを胸に抱えたヒョンが
ポツリと漏らした。

「…」

黙って視線を送る僕に肩をすくめて
「お前にだけな」と小さく笑う


CM「・・・ステージから離れるのが怖い?」


尋ねるとヒョンは「怖くない」
と即座に首を左右に振る


YH「怖くはない・・・・けど」

CM「けど?」

YH「ちょっと・・・いや、かなり・・・・淋しい」


・・・・・・分かってる

これから先の自分たちに
不安がないわけじゃない

スタッフやマネージャーの前では
決して吐露しない言葉と感情


YH「お前は・・・」

CM「はい」

YH「チャンミンは・・・淋しくない?」


・・・・・何に・・・・?

ファンや煌びやかなステージから離れるのが
歌う日常から歌わない非日常になるのが?

まっすぐ見つめるヒョンの瞳は
澄んだ冬の空みたいな青・・・

・・・・・僕が淋しいのは・・・・・

「お前もそうだろう?」と僕に問いかける・・・

ヒョンの瞳がまぶしくて・・・
その顏が見られない

・・・・・僕が悔しいのは・・・・・


CM「・・・淋しいですね」


あなたに用意された答え


CM「すごく・・・淋しい」


・・・・・僕が許せないのは・・・・

あなたの隣を一瞬でも離れると言う事実

それ以外に何もないのに






抱きしめた僕にしか届かない
消え去りそうな熱い息が

チャンミン・・・・チャンミン・・・・・

と体を震わせながら背中にすがる

抱かせてほしいと、
ヒョンを求めたのは僕だった筈なのに

動きを緩めようとすると
名前を呼んで
ヒョンが僕の熱を求めて欲しがる。

・・・チャン・・・・ミン・・・・

「ヒョン」と呼べば
薄く瞼を開けて濡れた瞳が

頬を淡いピンクに染めて
僕の腕の中で花が咲いたみたいに笑う

その笑顔がきれいで・・・・
とても懐かしくて・・・・

感情が込み上げて
零れ落ちそうにそうになる涙を

ヒョンに分からないように
こっそりと飲み込んで

「愛してる」の言葉の変わりに
陽に焼けた身体に、

この身を深く沈めた。







眠る前にたいせつな人の名前を
ノートいっぱいに書く

明日目が覚めてボクの記憶が
無くなってしまっても分かる様に

一文字、一文字を声に出して
たいせつなあの人を想いながら書くよ

もし記憶が無くなったとしても名前を見て
ボクはたいなつな人の顔を思い出す

名前を呼んでたいせつな人の姿や
声を思い出すんだ

だから今夜もあなたの名前を書く

ボクの記憶からヒョンを見失わない様に。




冷蔵庫のビールが無くなったと言って
チャンミンはミニバーの扉を開けた

棚に並べられていたのは高そうな黒い瓶

ボトルのシールを指でなぞりながらチャンミンが

「高級ホテルだけあって銘柄がそろってる」
と嬉しそうに笑った

慣れた手つきで栓を開け真紅のワインを
音を鳴らしグラスへ注いでゆく


CM「・・・・飲みますか?」


ぼんやりと様子を眺めていたオレに
チャンミンが尋ねる


YH「いや・・・・いい」


チャンミンに付き合う様にビール1缶を空け
もうそれだけでオレは限界だった。


YH「お前・・・よく酔わないなぁ・・・」

CM「ヒョンはもう限界?」


血管を通して身体の中をアルコールが
ゆっくりと巡ってゆくのが分かる・・・


YH「・・・とっくに限界を超えてるよ」


ツアー後に控えた仕事を考慮して
数日前から食事制限を始めていたから

今日の食事会で出された豪華な食事も
まともに口に入れる事はなかった。

胃の中にはアルコールだけの状態で

酔いが回ったオレは
もう立っていられなくて・・・・

ふらつきながらソファにどさり、と腰を降ろした。


YH「あー・・・酔った・・・」


幾つにも重なったクッションが腰を包み込む
ふかふかした感覚が心地よい・・・


CM「ヒョン・・・眠らないで下さいよ」

YH「・・・・うん?」


この空間に二人きりだと思うと、
解放感に身体の芯が緩んでゆく・・・


YH「なんで・・・?」

CM「・・・・なんでも」


答えにならないチャンミンの『答え』に思わず笑った


YH「お前と二人きりだからいいじゃん」


家族同然で何年も傍に居て、
今更お互い気を使う間柄でもないだろう?

靴を脱ぐのも面倒で、
履いたままソファに脚を投げた


CM「・・・・二人きりだからですよ」


ワインを飲むチャンミンを横目に、
うーん伸びをしながらそのままソファに寝そべる


YH「なんだよ、ソレ・・・意味わかんない事言うなよ」


薄暗い部屋の中で瞼をいま、閉じてしまったら
このまま朝まで眠れそうだ・・・・・


YH「・・・・寝たらどうなる?」


そう問いかけたオレの言葉に、
チャンミンはグラスを口元に運びながら


CM「襲いますよ・・・・」


と答えた声は、
今まで聞いたこともない位

冷たくて低い声だった。