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うりこ。のブログ

チャンミンとユンホの恋愛小説を綴っています。

 

 

賑やかだった景色が山へ登り始めると

街並みはガランとして無愛想になる

 

生い茂った木々すらも隠れてしまう

高い壁が 長くながく続いて

 

もう この信号を越えると

向こう側の日常だ・・・・

 

隣でハンドルを握る 

 

恋人の表情はサングラスで

読み取れないけれど・・・

 

夕日を浴びた横顔が綺麗で

 

エンジン音が止むまで 

 

オレは ずっと見つめていた。

 

 

 

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整地がされていない砂利道を抜けて

到着したのは 門の入口

 

深い助手席のシートから降りて

チャンミンから手渡された

リュックを担ぐように背負った

 

一泊二日の外出も 

 

この門をくぐれば終わってしまう・・・

 

 

「送ってくれてありがとう」

「いえ、道も覚えたし・・・今度は迎えに来ます」

「ー・・うん」

 

しばらくは会えないんだな、

と思ったら淋しさで胸が鈍く痛む

 

 

「その頭 見慣れてたら良いですね」

「ー・・・・そうか?」

「はい、後頭部が男らしい」

 

 

後頭部を褒められるなんて初めてだ

 

 

「なんだよ・・・急に」

「正面からだと顔が幼く見えて 可愛いし」

「・・・・茶化すなよ」

「茶化してません」

 

 

すごく可愛いです、と

チャンミンが何故か胸を張る

 

どんな贔屓目で見ても そんな

形容詞が当てはまる年齢でもない

 

お前の「可愛い」は あばたもえくぼだろう?

 

別れがたい心を読み取ったのか

オレを見つめるその眼差しが

 

柔らかくひどく優しい・・・・

 

刈り上げた首元がくすぐったく感じて

短い髪を手のひらで撫であげて

 

さよならの代わりに

 

顔じゅうのが筋肉が痛くなるほど

思いっきり笑ったんだ

 

 

 

 

 

 

「忘れ物はありませんか?」

「ないよ」

 

 

覗きたい衝動をぐっと我慢して

身支度をする背中越しに 声を掛ける

 

あっちへ戻るのに、

特別に用意する物なんて

ないんだろうけれど・・・・

 

 

「本当に?ちゃんと見ましたか?」

「さっき確認した」

 

 

何が出てくるか分からない

いつも謎が詰まったヒョンのカバン

 

入りきるのか?ってくらいまだ

衣類が床の上に散らばって見える

 

 

「明日の朝から僕は日本ですから」

「うん」

「忘れ物をしても届けられません」

 

 

僕を振り返ったヒョンが

可笑しそうにあははと笑う

 

 

「チャンミン 心配しすぎ」

 

 

仕方ないじゃないか・・・

あなたの事が心配なんだから

 

喉まで出かかった 

 

僕はその言葉を飲み込んだ

 

 

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郊外を目指す為に

立ち寄ったドライブインで

 

助手席に座るヒョンに「はい」と

手渡されたiPhoneを条件反射で受け取った

 

 

「・・・なんですか?」

 

 

落下させ液晶画面が

割れたままのヒョンのiPhone

 

訳も分からぬまま

iPhoneを手に動きを止める僕に

 

「ケースから外して見て」とヒョンが促す

 

言われるがままケースを外すと

底に一枚の写真が忍ばされていた 

 

写真に映るのは 

家族でも恋人の僕でもなく・・・

 

小さな ぬいぐるみ

 

 

「訓練所に行く晩にさ、

チャンミンが聞いてたの バンビニの事だろ?」

 

 

言われて 想い出した

 

寮生活をしていた頃 

ヒョンの寝室の枕元に置かれていた

 

ファンから贈られた ぬいぐるみ

 

貰ったその瞬間から

こいつはヒョンのお気に入りで

 

何年も傍に置いて とても

大事そうにしていた姿を想い出す

 

 

「そうー・・・ヒョンの家に居ませんよね?」

 

 

いつからか見なくなった存在を

ふ、と想い出して尋ねたのがあの夜

 

 

「今は実家でオレの部屋にいるよ」

「へぇ・・・そうなんですか」

「広い部屋にひとりじゃ・・淋しいだろ?」

 

 

ぬいぐるみに「淋しい」って感情は

存在しないけれど・・・

そんな表現もまたあなたらしい

 

 

「ヒョンのお気に入りですもんね」

 

 

懐かしいなって呟いた僕に

 

 

「お前に似てるから」

「・・・・え?」

「バンビニは・・・チャンミンに似てるから」

 

 

こいつもお前も

連れてゆけないから

 

この写真で我慢してるんだと

照れたように微笑む

 

ヒョンがあのぬいぐるみを

抱きしめる様に眠っていたのは 

何時の頃からだろう・・・・

 

僕等の気持ちが通い合ってから

 

こいつを傍に置かなくなったのと

その理由は一緒なんだろうか・・・・

 

思いもよらなかった答えに

記憶の中の点と点が重なる

 

ねぇ・・・ヒョン 僕は己惚れてもいいかな

 

「愛してる」と言う僕に

「オレも」と答える

 

茜色の空が僕らふたりの視界を覆う

刻々と近づくさよならに

 

 

僕は涙がこぼれ落ちそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

付き合ってるとか付き合ってないとか今更

そんなの関係ないだろって?ってヒョンは言うけど

 

世間の人に 言いたいんじゃなくてさ

(本当は世間にも大声で言いたいけど)

 

悪い虫がヒョンに 寄り付かない様にしたいんだ。

 

ボクの告白に「うん」と、

頷いてくれた日から数えて100日目

 

真っ赤なピアスをヒョンに贈ったら

 

お前のほうが似合う、と

ボクの耳たぶに着けてくれた。

 

指輪も 帽子も カバンも

受け取られないまま・・・

 

恋人になった記念日に

「想い」を形に残したいだけなのに

 

 

「ボクが選ぶプレゼントは趣味じゃない?」

「そう言うわけじゃ・・ないんだけどな」

「じゃあなんでぇぇぇぇ~」

 

 

ヒョンに似合うと思って買ったのにっ

 

大きな手が しょげるボクの背中を

母親が子供にするように

 

ポンポンと優しくあやす

 

 

「ボク・・・子供じゃないんだけど」

 

 

羽を身に纏ってるんじゃないかな?って位

ふかふかして温かいヒョンの身体

 

ぎゅっと抱きしめると 布越しに温度が伝わる

 

 

「ヒョン・・・すき」

「うん」

「大好き」

「ん・・・・・・」

 

 

つま先立ちで、

うすく開いた唇に吸い付く

 

ボクに優しくない答えない唇が

 

憎らしいほど柔らかくて

 

ボクは何度も何度も 口づけた

 

 

 

 

 

 

 

 

唇がそっと触れ合う

 

お互いの体温を確かめるような

甘くて優しいキス・・・・

 

長い指がオレの頬の輪郭をなぞる

 

昨夜の情熱的な愛撫とはまるで違う

この腕に守られている安心感

 

愛されている事が幸せで・・・

 

このまま瞼を開けたくなかった。

 

 

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「ねぇ、ヒョン」

「ぅん?」

「このまま してもいい?」

 

 

チャンミンの腕の中の居心地の良さに

身体の芯が緩むのを感じながら

 

頭を横に振った

 

 

「・・・・・・・ダメ」

 

 

オレの答えを聞いてお前は

「残念」と肩をすくめて見せるけど

 

本当はそんなに ガッカリもしてないだろ?

 

口元を緩ませるハンサムな横顔が

憎たらしくてその頬をつまんだ

 

 

「だってヒョン」

「・・・なんだよ」

「ソレもいいなって思ったでしょ?」

 

 

ニヤリと笑った唇が

体温が上がるオレに近づいて

 

 

「ヒョンが我慢してるから、僕もします」

 

 

とオレの鼻先にキスを落とした

 

 

 

 

 

 

 

朝食の「お礼」に

洗い物をすると席を立ったヒョン

 

ふたりで過ごす時間を

一分でも減らしたくない僕が

 

「食洗器」の存在をアピールしたのも虚しく・・・・

 

ウキウキと足元を弾ませて

台所へ向かう背中がなんだか可愛くて

 

僕は目を細めるしかできなかった。

 

 

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食器を洗い終えたヒョンの

手を捕まえて僕の隣に座らせた

 

自分の事には無頓着な人だから

僕の目が届かなくなった今

 

ヒョンの長く骨ばった指と甲は

かなり肌荒れていた

 

 

「痛みますか?沁みませんか?」

「・・・ううん 痛くない」

 

 

差し出された手を僕の膝の上に置いて

クリームを丁寧に塗り込んでゆく

 

手のひらの厚みが以前よりも

ずいぶんと増した事に気が付いた

 

努力を重ねてきた男の「手」

 

僕会ってから泣き言を一言も漏らさない

少し悔しくもあったけど・・・・

 

それがあなたらしくて

誇らしくもある・・・・

 

 

「ー・・・チャンミン?」

 

 

動きを止めた僕の顏を覗き込む

子犬の様なつぶらな瞳

 

短くなった髪で あなたが幼く見える

 

 

「キスしていいですか?」

「えっ」

「ダメ?」

 

今更、恥ずかしがる関係でもないのに

顏をみるみる真っ赤に染めてゆく

 

 

「やっ・・・いや、ダメじゃないけど」

 

 

そんなヒョンがたまらなく可愛くて 好きだと思う

 

絵に描いたように焦るヒョンを

腕の中に抱き寄せて

 

形の良い唇へ 愛してる

とくちづけた。