ペア、幻の五輪2枠を思う | 羽生結弦さんの見つめる先を見ていたい

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羽生結弦選手を敬愛しています。羽生さんを応援する素敵ブログ様方を日々の心の糧にしている、ソチ落ち主婦のブログです。(横浜在住)

すみません。今日は主にペアのお話です。



14日に、北京五輪の代表選考基準が発表されました。
1人目は、全日本優勝者が最優先。2〜3人目は、全日本やGPファイナルや世界ランキングを考慮して選ぶとのこと。ほぼ、ソチや平昌の選考基準と同じと言えますね。詳細は↓で。



相変わらず、選考基準の最高位が、全日本なのですね。
国際大会より、国内大会を優先させる姿勢は、日本では他の競技団体でもチラホラ見かけますが、果たしてその選考基準が、超国際的なコンペティションである五輪で通用するものなのか、甚だ疑問を感じるところではあります。

ソチ五輪の選手選考の際の、オーサーコーチの述懐を思い出します。直前のグランプリファイナルでの優勝で、てっきり羽生くんが1人目に選ばれると思っていたが、そうはならなかった、って、意外そうでしたね。(著書「チームブライアン」より)

ああ、オーサーコーチが懐かしい 汗



ともあれ、現時点で世界ランキング1位の羽生くん。GPシリーズも2戦エントリー中ですし、北京五輪に出るも出ないも、羽生くんの意思次第です。
ファンは羽生くんをただ信じて応援し、その決断を支持するのみです。 おねがい



でも、私が気になったのは、連盟発表文書の最後の一文です。↓

ペアは9月下旬の五輪最終予選で2枠目を狙えるレベルの選手がいないため、1枠で臨む。

3月の世界選手権で、三浦・木原ペアが大健闘し、見事、10位に入りました!

その結果、暫定とはいえ、五輪の2枠取得の権利を獲得しました。


この時点で、1枠は確定。残り1枠は、別のペアがネーベルホルン杯2021(9月22日~25日開催)で3位内に入れば確定されるはずでした。


でも、7月14日に、スケート連盟は、五輪ペアの2枠目を放棄すると表明しました。汗


そして、8月14日付けで、改めて念を押すように文書化されたというわけです。


ああ、なんて勿体ない‼️


私は羽生くんファンですが、実はカップル競技も大好きで観ています。



今回の件は色々な事情はあるのだろうとは思いますが、やはりモヤモヤした思いは消えません。


競技者にとって、五輪の枠は特別なものでしょうに‼️


まして、日本フィギュアスケートのペア史上初の五輪2枠目ですよ⁉︎


これまで毎年1組出場してはショートプログラム止まりで、なかなか次のフリースケーティングに進めなかったペア競技。

それが総合10位!

これを快挙と言わずしてなんと言うのでしょう!

本当ならば、連盟あげて狂喜乱舞して、諸手を挙げてペアの選手達を育成強化するところでしょう。


今は3枠が当たり前のようになった男子や女子のシングルだって、最初は選手がたった一人で世界大会に挑戦し続け、やがて念願の10位以内に入って出場2枠を獲得し、今度は2人で励まし競い合い、揃って上位入賞を果たしてついに3枠を獲得!と段階を踏んできたはず。


今年、ペア競技が、ようやくその2枠への足掛かりを掴んだというのに、戦わずして、むざむざと「枠の放棄」をする結果になるとは、悲し過ぎます。

スケート連盟は、ペア競技を後援し、育成強化しよう、という意欲が本当にあるのでしょうか?


強化選手指定の数に関して見ても、

同じスケート連盟内でスピードスケートの強化選手は117名であるのに対して、

フィギュアスケートは、たったの35名プラス3組です。

連盟内の強化費配分がアンバランス過ぎやしませんか?ここ数年、ずっとこんな状態です。


荒川さんも、スケート連盟副会長ならば、きちんと主張するべきは主張して、強化体制のアンバランスの解消を目指すべきでは?

アイスショーやTV解説や24時間マラソンetc.芸能活動以前に、もっと大事な役目を果たして頂きたいと、切に思います。


シングルと異なり、カップル競技は国内にコーチが圧倒的に少ないそうです。現状では、ペア競技を志して高みを目指そうとするカップルは、より高度なコーチングを求めて海外に出ざるを得ません。

その際に、どうしても、選手やその親には経済的な負担がのしかかってくるのです。競技を続けるために、現実的な「強化費」はじめ連盟からの物心両面の援助が必要なはずです。


6月に発表された今シーズンのペアの強化選手は、三浦・木原1組だけです。アイスダンスでさえ、強化Aに小松原ペア、強化Bに村元・高橋ペアと2組指定しているというのに。


五輪2枠のチャンスがあるというのに、連盟はそれを生かせなかった。

生かそうとしなかった。

フィギュアスケートファンとして、それが悲しい。

「時間がなかった」という声があるかもしれません。

でも、2019年8月にペアを結成した三浦・木原組は、それから僅か3ヶ月後、11月末のNHK杯で5位を獲得しました。それも、アメリカやイタリアのオリンピック代表ペアを抑えての、堂々の入賞です。


2019年NHK杯 選手結団式にて



この二人の例を見れば、時間は必ずしも絶対条件ではないと判ります。

3月から9月の選考大会まで6ヶ月。憧れの五輪に出場するために挑戦したいカップルはきっといたことでしょうに。


ちなみに、三浦璃来選手が、実は2019年の国別対抗戦やドリームオンアイスには市橋翔哉選手とペアを組んで出場していたことを覚えている方も多いでしょう。

相手の市橋翔哉選手は、三浦選手と5年間ペアを組んでいました。そして、ペア解消後も新しいパートナーを見つけて競技を継続する意欲を示していたはずです。



もっと遡れば、

2015年と2016年のペアの全日本王者は、須崎・オデ組でした。フランシス・ブードロ・オデ選手はカナダ人でしたが、2015年と2017年の国別対抗戦にも日本代表として出場し、羽生くん達と一緒に日本チームのメダル獲得に貢献していました。でも、2018年にはペアを解消し、日本所属を離れてしまいました。


想像でしかないことですが、

どちらのケースも、連盟がきちんとサポートをしていたら、今、枠がありながら「(オリンピック出場を)狙えるペアがいない」などいう情けない状況にならなかったのにと、思わずにいられないのです。


2014年のソチ五輪から初めて団体戦という種目が加わることになり、これが契機となって、日本でカップル競技の必要性がようやく取り上げられるようになった気がします。

ソチ直前の2013年の全日本ペア王者は、高橋成美・木原龍一組ですが、ペアを結成したのは同年3月、更に、全日本にエントリーしたのもこのペアだけで、自動的にオリンピック出場決定!と、海外から見れば珍現象です。


その後もエントリー自体が、毎年1〜3組しかいない、全日本のペア選手権

2016年全日本ペア。1位は、須藤・オデ組。3位は、須崎・木原組。↓

2017年全日本ペア。1位は須崎・木原組。2位は高橋・柴田組。3位に三浦・市原組。↓


2018年と2019年は、参加は1組のみ。↓上は2018年、須崎・木原組、下は2019年、三浦・木原組



そして、2020年は、ついに参加0組❗️(三浦・木原ペアがコロナ規制の影響で、カナダから帰国出来なかったため)


果たして、この状況を見るに、スケート連盟はペア競技を育成してきたと言えるでしょうか。

とりあえず1組いれば、団体戦に出場できるから良しとでも思っているかのようです。

人気のあるシングル競技には、そこそこ力を入れるのに、カップル競技に対しては、おざなりにし過ぎでしょう。プンプン


2015年4月の記事です↓

国別対抗戦では毎回メダルを獲得しているじゃないか、という声もあるかもしれません。

でも、選考基準が違います。

五輪の団体戦は、男女シングル、ベア、アイスダンス、それぞれ1名(1組)ずつで、各種目が同等の点数配分です。(ショートとフリーで選手を替えることはできます)

対して、国別は、シングルだけ男女2名、計4名が出場するため、シングル種目だけ点数配分が2倍になります。

国別対抗戦は、シーズン最後に必ず日本で開催されます。シングルが強くカップル競技が弱い日本にとって、より有利な条件で開催されている…いわば花試合です。

それに甘えて、カップル競技の育成を怠っているとしたら、本末転倒です。



2021年6月15日の記事です↓

一部、抜粋させていただきます↓


将来的な日本のペア種目発展を考えれば、課題は少なくない。指導者が国内にほとんどいないため、三浦、木原組のように海外のコーチに師事するしか方法がないのが現状だ。それにはコスト面などの負担も大きくなってくる。


世界で戦えるペアが増えれば、国内の競争が激しくなる。場合によっては副産物として、組み替えによる「化学反応」が起こるケースも増えるかもしれない。そのためにはまず、裾野を広げることから始める必要がある。



三浦と木原が北京五輪で活躍すれば、ペアの魅力をジュニアやノービスのスケーターにアピールできるはず。木原は「僕たちが少しでも結果を出せるようになれば、いろんな方に見ていただける機会が増え、下の世代の子たちがペアに挑戦してみたいなという思いがきっと出てくると思う」。三浦も「結果を残さないと皆さんに知ってもらえない。まずは私たちが頑張って結果を残していきたいと思う」と同調する。


木原は21~22年の五輪シーズンで、前半の目標に「グランプリ・シリーズでの表彰台」を掲げている。ペア種目の将来も見据え、さらに羽ばたこうとしている

もともとシングルの選手だった木原龍一選手。ソチ五輪から団体戦が採用されることを契機として、2013年にペアに転向して以来ずっと、(パートナーを変えつつも)2つのオリンピックを経て、ペア種目で孤軍奮闘してきた木原選手は本当に凄いと思います。


2014年ソチ五輪・選手発表会

2018年平昌五輪・選手発表会
(羽生くんはリハビリ中のため、欠席)



どうか、これからも、パートナーの三浦璃来選手と共に、下の世代への素晴らしい刺激となって、日本のペア種目を引っ張って行って下さい。


スケート連盟も木原選手に頼るばかりでなく、今回の「枠放棄」を反面教師にしていただきたい。次の世代のペア選手達をサポートし、育成し、未来に繋げてていって欲しいと、切に願います。


それが、今回の三浦・木原ペアの世選10位という快挙に報いる、連盟としての正道だと思います。



おまけです。


平昌のエキシビションでホタレクさんにリフトされていた羽生くんですが、実は2015年の国別の際、木原選手に遊びでリフトをしてもらったことがありました。

これまた、経験が生きましたねウインク





画像は感謝してお借りしました。

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