羽生くんとバレエとバラード1番 | 羽生結弦さんの見つめる先を見ていたい

羽生結弦さんの見つめる先を見ていたい

羽生結弦選手を敬愛しています。羽生さんを応援する素敵ブログ様方を日々の心の糧にしている、ソチ落ち主婦のブログです。(横浜在住)

真珠のような一瞬ラブラブ

唐突に何故「バラ1」?と不思議に思われそうですね σ(^_^;)


一昨日、ご紹介させていただいた動画【衣装の裏話とデザインの秘訣】ですが、更に再生回数を伸ばし、55,000回も目前となっています。

私もヘビーローテーション中です。

もちろん「Blinding Lights完全版」も。



この動画の中で、最も変遷を繰り返し、バージョン数が多い衣装として挙げられているのが「バラード第1番」です。なんと5バージョン!

今回は、この伝説的プログラム「バラ1」をテーマに少しだけ語ってみたいなと思います。







「バラード第1番」

その初演は2015年の中国GP。

それから2020年の四大陸選手権まで、平昌五輪を挟んで、本当に長く磨かれ続けてきた、まさに宝珠のようなプログラム❣️


競技だけでなく、平昌五輪シーズン目前のファンタジー・オン・アイス2017でも、全公演を通して演じられたのは、「バラ1」でした。


実は私、2014年当時の「バラ1」の第一印象は、気難しそうなプログラムだなぁというものでした。

何よりソチ落ちの私は、まだ「パリの散歩道」への憧憬の念が強かった。

今思えば不遜な感想をもったものです。


でも、何度も観るうちに羽生くんの

思い入れが伝わってくるようで、

何だろう…噛めば噛むほど味わいが出るというのか、観れば観るほどもっと観たいと、

つまりは、じんわりと嵌っていきました。

「パリ散」の痛快さ、派手さはないけれど、ソチ後の通奏低音のごとく、ずっと羽生くんを支えてくれているプログラムなのだなと愛おしく感じはじめた2シーズン目、

そんな時に出会ったこのシーン恋の矢

ラブグッと来ました!

なんと官能的な…


閉じた眼、反らした背のライン、虚空を掴まんとする両手、音が止んだ一瞬の鮮やかなポーズドキドキ


全てのバランスが完璧に迫って来るーラブ



この一瞬の後、両手を前に戻し、グッと握るのですが、

掴まれたのは、私のハートもですラブ恋の矢


とても私の拙い文章力では伝えきれません。



「バラード第1番」に関しては、バレエダンサーの高田茜さんの考察が論理的で素晴らしいです。

(高田さんは、現在、英国ロイヤル・バレエ団の最高位プリンシパルを務めていらっしゃる方です)




以下、抜粋させていただきます。


「バレエダンサーの視点で羽生選手が特に優れているなと感じるのが、上半身の動きの美しさです。立ち姿、身体の上下の動作なども素晴らしく、上半身は常にリラックスした状態で、動きも柔らかで滑らか。

しっかりと身体がコントロールされている印象です。

重心が体の正しい位置に入っていないと、余計な力を使います。でも、羽生選手は(重心)が正しい位置に入っている。だから上半身を動かしやすいのかもしれません。腕のコーディネーションも素晴らしいです。


演技後半の振付に腕を前から後ろにまわすような動きがありますが、その動きは柔らかさがあって、ポジションもピタッと決まっている。

また、あえて1拍置いて動くこともありますよね。些細な動作であっても、意図的に1拍息を吸ってから次の動作に移ることで動きの印象が穏やかになったり、次の動きに意味を持たせることができている。

同じようなテンポでやるのではなく、ところどころアクセントを加えるような動きもいくつか見られます。そういったものが表現力の幅を広げているのでしょう。

音楽とともに呼吸しながら動くという同調性は私たちバレエダンサーにも通じるものがあります。」




「重心が正しい位置に入っている」まさに舞踏家ならではの視点です。

そして、あえて1拍置く、テンポを操ることがアクセントになり、表現の幅を広げることに繋がるのですね。私がツボをつかれ、強烈に魅入られたのも、まさにそこだったと思います。

読んでいてうなずけることばかりでした。


演技の根本、基礎なのですね。

踊りのプロの方が感心なさるほど、羽生くんは根っこを鍛えていて、それは全てのプログラムにも魅力を与える原動力となるということ。

そして、「音楽とともに呼吸をしながら動くという同調性」❣️

羽生くんの演技は、指先から音楽が流れ出るよう。

最新の「Blinding Lights」もその体現ですね。7公演の間に、演じるほどに進化を繰り返し、どんどん洗練され、吸引力を増してましたもの。



羽生結弦は絶えず進化している。

「バラード1番」を思う時、そんな羽生くんのこだわりを何年にも渡って見せていただけた幸せを思うこと。プログラムの熟成という、ファンにとってもこの上なく贅沢な時間を味合わせていただいたのだなぁと、しみじみ感じ入ってしまうのです。

 



同じく、高田茜さんのお言葉↓



「…人生の中で様々な経験をしていくので、同じ演目でも「前はこう思っていたけど違う」と感じることがありますし、昔と今では異なる表現が出てくるものです。


羽生選手も『バラード第1番』を複数シーズン演じられています。その表情や動作からは、彼が強い意志とこだわりを持って、このプログラムに挑み、大切にしていることが伝わってきますね。」




以上、Number1019号(2021年2月4日号)の企画、

【アーティストが語る羽生結弦歴代プログラムの美】から抜粋させていただきました。


フィギュアスケート以外の、様々な芸術部門に属する方々からの羽生結弦評を集めた企画は実に秀逸で、いずれも読み応えたっぷりでした。
中でも私が強く心惹かれたのは、バレエの観点から「バラ1」を論じられた高田茜さんのこの記事でした。
(高田茜様、Number様々、感謝してお借りしました)


最初に紹介したシーンは、2015年でした。

ちなみに、平昌五輪での同じシーンは、↓


これはまた、王者の矜持に溢れた気迫の一瞬です。
「羽生結弦の演技は、その時見逃したら二度と見られない演技ばかり…それこそが価値があるものなのだ」と仰ったのはディック・バトンさん。
然り!です。照れ





ポチして頂けると嬉しいです >