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羽生選手が語る「衣装」について
2018/12/27
”衣装は物語を表現する
ツールのひとつ”
衣装というのは、物語を表現するツールのひとつだと思うんです。もちろん表現の中にはモダンダンスやコンテンポラリーダンスといったものは、衣装に頼らず本当に身体ひとつで何かを表現するというものもあるのですが、フィギュアスケートの世界は、視覚に訴える部分もとても大きいです。そう考えると、衣装というのはすごく大事だと僕は思います。
”表現したいことを衣装だけではなく
トータルで魅せる”
フリープログラムで演じた『SEIMEI』は、主人公をモチーフにして衣装を作りますが、ショートプログラムで演じたショパンの『バラード1番』のようなプログラムでは、曲そのものに寄り添って衣装を作っているという感覚です。
でも、表現したいものがあまりにも具体的に衣装に出すぎてもいけないんですね。全ての情報を衣装に詰め込んでしまうと観る側からするとゴテゴテと過剰な印象になってしまって演技が入ってこなくなるんです。
譜面や音符の出方、呼吸、そういうものひとつひとつと、衣装とのトータルのバランスを考えて衣装を作っています。
”軽さや薄さ、伸縮性……。
機能には興味があります”
アイスショー用の衣装もいろいろこだわっています。競技するときの会場の温度よりもアイスショーは少し温度が高めに設定されているんです。汗をかいて体力の消耗がものすごく大きいので、薄くて涼しい素材を選んでいます。自分が飛んでみないとわからないですし、滑ってみないとわからないところも大きいので、機能性は自分が主に重視しているし、自信がある部分です。
機能性といえば、平昌オリンピックの後にスピードスケートの選手の方々とお話する機会があって、「スピードスケートのピタッとした新素材にしたほうが絶対滑りやすいと思うよ。あれでジャンプしたら絶対もっと回れるよ」って言われて、僕は機能性というところに興味があるので、話が盛り上がりました。たしかに、スピードスケートの方々が着ている新素材で回ると、もしかしたらもっと回りやすいかもしれませんね。
ただ、衣装についてルールが定められていますし、フィギュアは魅せるものなので表現に影響が出てしまい、おそらくスピードスケートのような新素材で滑るのは不可能に近いと思います。あまりにも身体のラインが強調されてしまいますし、模様をつけたとしてもフィギュアスケートではなくなってしまうような気がします。(笑)
スピードスケートのユニフォームを羽生くんが着たら…それはもう事件です!
別の意味で、フィギュアスケートを観るどころでは無くなってしまうでしょう。