BSC(バランススコアカード)の紹介2 | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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 こんにちは、中小企業診断士の平井浩です。前回はBSC(バランススコアカード)の概略を紹介しました。今回はBSCに関して、より具体的なお話を紹介していきます。


1.バランススコアカード(BSC)の具体的作成手順
バランススコアカードを作成するためには、適切な手順を踏むことが必要です。ここでは一般顧客向けのペット用品オンライン販売サイトを運営する企業を想定して考えてみます。

■基本ビジョン、中長期的経営計画の策定
バランススコアカードを作成するためには、事前に事業におけるビジョンや経営上の基本目標を定めておく必要があります。中期経営計画を定めている組織も多いと思いますが、それが基本目標になります。新たにビジョンや戦略を策定するためには、市場動向や競合他社の分析が必要です。今回の企業ではペットビジネスに関しての全般の市場分析やペット用品を扱う競合他社の分析をします。

■戦略目標
ビジョンや戦略の策定が済んだら、実現に向けた具体的な目標や戦略の設定を行います。戦略の内容を具体的に説明する「道標・戦略が達成すべき項目」です。財務については、「売上増大」と「原価の低減」などが戦略目標になります。この段階では、数字目標ではなく定性的に戦略目標を設定します。

■重要成功要因(CSF・KSF)
重要成功要因は、事業の成功のために必要となる要素を指す言葉です。英語表記における頭文字をとって「CSF(Critical Success Factor)」、または「KSF(Key Success Factor)」と呼ばれます。重要成功要因を上手く抽出することで、戦略の立案が容易となります。成功のために影響を及ぼす要因にフォーカスすることがポイントです。
ペット用品のオンライン販売サイトで「売上増大」を戦略目標と設定した場合、これを達成するため、「新規顧客売上の増加」や「顧客単価の増大」というCSFの実現が必要だ、と考えることになります。

■業績評価指標
重要成功要因の設定を済ませたら、重要成功要因の進捗状況や達成状況を把握するために、重要目標達成指標「Key Goal Indicator(KGI)」と重要業績評価指標「Key Performance Indicator(KPI)」を決定します。KGIは、最終目標を定量的に定めた指標です。戦略が如何に上手く達成されているかを測定し追跡する指標です。
「売上増大」を目標として設定した場合、達成するための必要条件として、新規顧客売上高をCSFまたはKSFとし、具体的な目標金額を「KGI」として定めます。更にそのKGI金額を達成するため必要な販売サイトの閲覧数(ページビュー数=PV数)を「KPI」としています。「KPI」は「KGI」より先行して変動する指標で、その動向は「KGI」を予想する目安となり、進捗状況や達成状況の定点観測をすることが可能です。今回の例で言えば、目標売上額(KGI)に到達するためには、その前にサイト閲覧数(KPI)の増大が必要だ、と考えています。

■アクションプランの作成
各数値目標まで設定ができれば、次は実現に向けて取るべきアクションプランを作成します。いつまでにどのような行動を取ることでKPIを達成するのか、検討することになります。先ほど、販売サイトの閲覧数をKPIとしましたが、閲覧数増加のために、サイトのデザインを変更する、バナー広告を出す、既存顧客にメールで接触する、などのアクションが考えられます。こういったアクションの一つ一つを個人レベルにまで落とし込んで作成します。
アクションプランの選択が正しく、きちんと実行された場合は、「KPI」が順調に進捗し、その後に「KGI」も進捗してくるはずです。アクションプランの実行については、PDCAを回して改善を図っていきます。


2.バランススコアカード(BSC)の3つの効果
上記に見ましたように、バランススコアカード(BSC)作成の過程で経営戦略や中期経営計画をブレイクダウンすることから、以下の3つの効果が期待できます。

■経営戦略の明確化・実現化
企業の経営戦略を財務、顧客、業務プロセス、学習と成長、これら4つの視点に立ってバランスさせると共に、ビジョンや戦略そのものを明確化出来ます。また中期経営計画を作っても、その後の実行確認が不足している企業の場合は、バランススコアカードの設定とその進捗確認をすることで、中期経営計画進捗の可視化に役立てることができます。

■従業員の目標意識の統一
バランススコアカードは企業のビジョンや戦略の実現までの道筋を明らかにします。その過程で、実現可能な目標を明示するので、経営者だけでなく従業員一人一人が、進むべき方向性や目標を一致させて、実行出来るようになります。
又、実現までの道筋(「戦略目標」⇒「重要成功要因」⇒「業績評価指標」)を因果関係を明確化することで、何をやるべきかの意識の統一が図れます。

■業務プロセスの改善とモチベーションアップ
従業員一人一人の目標意識が統一されることから、業務プロセスの見直しやモチベーションアップの効果が期待されます。


3.まとめ
バランススコアカード(BSC)は、財務情報だけでなく、非財務情報も重視するバランスのとれたマネジメント手法です。また、戦略を多面的に考え、ブレイクダウンする道具としても役立ちます。経営陣だけでなく組織全体でビジョンを共有し、中長期的な展望に立った経営を推進できる手法と考えます。


4.最後に
今回で私の売れプロブログ執筆も最後になります。一年間の執筆の過程で多くのことを学ばせていだきました。青木先生や売れプロのみなさま、読者のみなさまに感謝しつつ、筆を置かせていただきます。ありがとうございました。
 

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