下請法の正しい理解を深める | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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 みなさんこんにちは。売れプロ12期生の印南(いんなみ)です。最終回となる第10回は『下請法の正しい理解を深める』についてお話します。

 

 私の職場では若手行員を対象とした研修で、業績が悪化している企業に対し、約3か月をかけてどのような施策が有効な支援となるかを考える少人数形式の研修があります。

 

 まず初めに、受講者が思い思いに経営が悪化している原因を発言し、会議を重ねる毎に段階的に窮境要因の特定を図り、最終的に有効な金融支援をみんなで考えていきます。

 

 いわゆる簡易的な財務DDや経営改善計画書といったものを受講者で作り上げていくようなイメージなのですが、最近の受講者の傾向として採算管理が不十分な為、業績が悪化していることを窮境要因に挙げる行員が増えてきました。

 

 これまでは売上低下や材料費高騰などを指摘する受講者が多かったのですが、昨今の『値上げ』ブームからか現場で採算管理について触れる機会が多くなったことが要因だと思われますが、中には下請法をうまく活用して、資金繰り改善に繋げられないかと考える行員も出てきており、経営改善に携わる身としては嬉しい限りです。

 

 下請法の正式名称は下請代金支払遅延等防止法であり、親事業者による下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を取り締まるために制定された法律で、親事業者が下請法に違反した場合、公正取引委員会は親事業者に対し違反行為を取り止めるよう勧告を行います。

 

 勧告される内容は、違反行為の取り止めのほか、下請事業者の被った不利益の原状回復、再発防止措置を採ることなどがあり、勧告された場合は、企業名、違反事実の概要などが公表され、企業の法令遵守が強く叫ばれる中、下請法違反は企業価値を大きく損なう行為となります。

 

 尚、下請法が適用されるかは資本金の額をもって判断され、自社と取引先の資本金が1000万円以上、または3億円以上、あるいはシステム開発委託などの場合は5000万円以上であるかどうかで下請法適用対象が変わります。

 

 中にはこの下請法をかいくぐるために親事業者が資本金の低い子会社を設立し、その子会社を通じて委託取引を行うことで下請けを免れようとする事案も発生しておりますが、一定の要件を満たせば、その子会社を親事業者と同様とみなし、下請法の適用を受けることは押さえておくべきポイントです。

 

 最近では政府も下請法を強く意識しており、令和4年度には2件だった勧告が、令和5年度は8件、令和6年度に至っては3月で9件も勧告事例を公表しており、しっかりと下請法への対策が講じられるかは企業価値を高める上で将来的には大きな差となるものと思われます。

 

 令和6年3月に日産自動車が自動車部品の製造委託における下請事業者に対する「割戻金」の運用について、公正取引委員会から、下請代金の減額に該当するものとして勧告を受けたことが公表され、合計36社にも上る下請事業者に対し、約2年間で下請代金から減額していた総額約30億円を全額返還したというニュースが報道されたのは記憶に新しいのではないでしょうか。

 

 中小企業者にとって、これまでの商取引の慣習上なかなか踏み出せないでいる値上げ交渉等を円滑に進める時には「パートナーシップ構築宣言」は押さえておくべき内容です。

 

 「パートナーシップ構築宣言」とは、取引先と共存共栄関係を築くために企業規模にかかわらず、企業が発注者の立場で自社の取引方針を宣言する取り組みで、既に46,314社の企業が宣言しております。

 

 「パートナーシップ構築宣言」の中には下請企業との望ましい取引慣行(「振興基準」)の遵守が盛り込まれており、特に、①価格決定方法、②型管理などのコスト負担、③手形などの支払条件、④知的財産・ノウハウ、⑤働き方改革等に伴うしわ寄せ、が重点課題として挙げられ、値上げの際は親会社HPや全国中小企業信用機関協会のHPからこの「パートナーシップ構築宣言」が公表されているかを確認するのも一計かと思います。

 

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。

この回を持ちまして私のブログは最終回となります。

このような機会を頂きました青木先生には感謝の言葉を添えさせていただくとともに、

私のブログを通じて少しでも多くの方が事業再生に興味を持って頂ければ幸いです。

 

ここまで本当にありがとうございました。

 

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