離職率改善にも有効!従業員エンゲージメントの向上施策とは!? | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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おはようございます。

売れプロ12期生の谷口哲一です。

 

3月となり、春の陽気を感じるようになりました。

春は、会社員にとって環境が変わる時期でもあります。

社内異動や転勤、また転職して心機一転、新しい仕事に取り組むという方も多いのではないでしょうか。

身の回りにも転職をする人間は増えている印象です。

自分のキャリアは自分で作るという意識が定着し、転職、副業、フリーランスへの転身などを、多様なキャリア・働き方で、個人としてキャリアを自律できる世の中になったと感じます。

 

一方、人材の流動化が進む状況は、企業側からすると、即戦力を獲得するメリットがあるものの、人材の退職増や採用コストの増加といったデメリットもあります。

退職者が増えると、組織モラルの低迷、残った従業員のモチベーションの低下、更なる退職者を招く等、副次的な損失も発生します。

 

今回は、離職率を改善するという観点から、従業員エンゲージメントの向上について記載します。

 

従業員エンゲージメントの定義

エンゲージメント(engagement)とは、「婚約」「誓約」「約束」といった意味の単語です。

婚約指輪をエンゲージメントリングと呼ぶことも一般的になりましたね。

 

ビジネスにおいてもエンゲージメントという単語の使用頻度が増えており、ステークホルダーとの「深いつながりをもった関係性」といった意味合いで使用されています。

従業員エンゲージメントは、従業員と企業のつながりの強さ、企業に対する信頼の度合いを示しており、熱意を持って自発的に会社に貢献する意欲度合と解釈されます。

 

似ている用語として、従業員満足度という用語があります。

こちらは、仕事内容・職場環境・人間関係・給与といった労働条件に対して、従業員がどれくらい満足しているか、を図る指標です。

従業員エンゲージメントは、従業員の「満足度」に加えて、「共感度」「成長度」といった側面も包含し、いかに従業員のやる気や貢献意欲を引き出すか、という視点と相関しているため、企業成長に欠かせない指標として注目されています。

 

従業員エンゲージメント向上の効果

従業員エンゲージメントが高まると、経営にどのような効果があるか、以下に記載いたします。

 

① 離職率の低下

イメージしやすい効果として、本記事の題名に記載しているように、従業員エンゲージメント向上は離職率の低下に効果があります。

エンゲージメントが高い従業員は、組織への貢献意識、帰属意識が高い状態ですので、これからもこの会社で働きたいと感じています。

多くの従業員がそのように感じると、その意識は組織内にも広がり、従業員が辞めない職場環境・組織風土が形成されることにつながります。

労働人口が減少し、人手不足が社会問題となった今、離職率低下は経営にとって大きなメリットになります。

 

② 採用コストの削減

少し古いデータになりますが、一人当たりの中途採用コストの平均は、リクルート社の「就活白書2020年」によると103.3万円というデータがあります。

売り手市場が加速する中、更に採用コストは上昇することが見込まれます。

従業員エンゲージメントが高いと従業員は長い期間働いてくれるため、新たな人材を無理に探す必要がなくなり、採用コストの削減にもつながります。

 

③ 自社のノウハウや独自技術、情報資産の流出防止

離職者が多いことのデメリットの1つとして、ノウハウや技術、情報資産の流出リスクが挙げられます。

退職者によるノウハウや顧客情報や取引先名簿の情報持ち出しは、会社の重大な危機を招きかねない緊急事態です。

従業員エンゲージメント向上は、離職率の低下につながりますし、また組織と絆を育むため、情報持ち出しのような悪意のある行為の抑制にも効果があると言えます。

 

④ 生産性の向上

エンゲージメントが高い従業員は、会社の成長と自分自身の幸福度がリンクしているため、企業への貢献意欲が強い状態にあります。

従業員一人一人が自主性を持って働き、各自の努力や工夫を通じて高い成果を上げることで、生産性の向上に寄与することとなります。

 

⑤ 組織風土の改善

従業員エンゲージメントの高まりは、組織への信頼とともに同僚への信頼にもつながります。

同じ目標を持つ従業員の間で仲間意識が芽生え、お互いを尊重した人間関係となり、より良い労働環境の構築へ寄与します。

また、何か業務上の問題が生じた場合、1人で抱え込まず、信頼する仲間に相談できるという土壌を作り出します。

 

⑥ 顧客満足度の向上

従業員エンゲージメントが高いと、顧客に対して熱意を持って真摯に業務に取り組むため、顧客とも積極的なコミュニケーションをとり、的確なマーケティングにつながります。

顧客ニーズに適切に対応し続けることで、顧客満足度は向上します。

従業員エンゲージメントは顧客エンゲージメントにも寄与するのです。

 

⑦ 業績の改善

以上のように従業員エンゲージメント向上は顧客満足度向上、生産性向上や採用コスト減により、売上増並びに利益増につながります。

また、顧客満足度の向上により企業評価全般が向上することで、新しい取引や顧客が増える等も期待でき、好循環が生み出されます。

従業員エンゲージメント向上は、中長期的にも業績へ良い影響を与え続けるでしょう。

 

 

従業員エンゲージメントの向上施策

では、どのような施策に取り組めば、従業員エンゲージメントは向上するのでしょうか?

ここでは、従業員エンゲージメントを向上させる施策を7つ紹介いたします。

 

① 企業理念・ビジョンの浸透

組織への共感度を高める施策として、従業員に企業理念やビジョンを浸透させ、企業への共感を促すことが挙げられます。

何のために企業が存在しているか、大事にするべき価値観は何か、といった理念を従業員に浸透させることで、従業員の目的意識や目標が明確になり、貢献意欲の向上につながります。

具体的な施策として、企業理念やビジョンについて繰り返し発信すること、企業理念に特化した研修を行う等が挙げられます。

 

② キャリア開発の支援

従業員が自らの成長を感じられる職場であれば、「この会社にいたい」「もっと組織のために働きたい」という意欲も高まります。

また、キャリア開発支援を充実させることは「従業員を大事にする」というメッセージにつながり、従業員エンゲージメント向上に寄与します。

具体的な施策として、キャリアデザイン研修の実施や、教育制度を手厚くすることが挙げられます。

更に、社内公募制度や自己申告制度といった柔軟な人事異動制度を導入し、従業員一人一人が、会社を辞めずともキャリアを自由に選択できる環境づくりも大切です。

 

③ ワークライフバランスの改善

理念への共感性や自分の成長性といった「働き甲斐」に加え、満足度と紐づく「働きやすさ」も改善することで従業員エンゲージメントが向上します。

具体的には、福利厚生を充実させることや、有給が取りやすい環境を整えることで、エンゲージメント向上に寄与します。

尚、リクルートマネジメントソリューションズ「新人・若手の早期離職に関する実態調査」によると、退職理由は「労働環境・条件がよくない」(25.0%)が最多です。

労働環境・条件の改善は、離職率改善に有効と言えるでしょう。

 

④ 納得性の高い評価・報酬制度を整える

正当な評価を得られない職場環境だと、組織への貢献意欲は湧かないものです。

従業員エンゲージメントを向上させるには、公平性の高い評価・報酬制度を構築することも重要です。

どのような軸・基準で従業員を評価しているか、報酬を決定しているかを明確にすることで、従業員の納得度が増し、仕事への積極性や意欲を高めることが可能です。

 

⑤ フィードバックを行う

組織がどのように評価しているか、フィードバックを従業員へ伝えることもエンゲージメント向上には重要です。

フィードバックの機会があることで、「個人として尊重してもらえている」「キャリアを気にかけてくれている」と従業員が感じ、それに報いようとして貢献意欲が高まります。

また、定期的に良いフィードバックを受けとっていれば、常に自分が成長していることを実感でき、エンゲージメント向上につながります。

 

⑥ 社内コミュニケーションの活性化

一緒に働いている人のことをよく知らない状況では、組織への愛着を持ちにくいものです。

そのため、社内コミュニケーションを活発化させ、従業員同士の関係性を深めることもエンゲージメント向上には重要です。

具体的な施策は、社内報や社内イベント、オフィスのフリーアドレス化、休憩スペースやミーティングスペースの設置などが挙げられます。

また近年は、リモートワークが中心の職場も多いため、社内SNSの活用も有効です。

上司や同僚との接点を常に感じさせることで、従業員の帰属意識も高めやすくなります。

豊かで緊密なコミュニケーションがとれる企業文化は、どんなビジネスにおいても長期的な成功に不可欠な要素です。

 

⑦ マネジメント層の教育

ある程度大きい組織であれば、部署・社員数が多く、経営層からの発信が浸透しづらくなります。

従業員との接点も多いマネジメント層は、経営陣の代理として、上述の施策「① 企業理念・ビジョンの浸透」の役割が求められます。

また、上述の「⑤ フィードバックを行う」においてもマネジメントの役割は重要です。

フィードバックは建設的な提案を含む教育的な助言であるべきで、伝え方が大事です。

マネジメントがフィードバックをどのように行うかについて、トレーニングが必要です。

従業員エンゲージメント向上には、マネジメント層への教育・研修が鍵となります。

 

 

さて、本日は従業員エンゲージメントについて記載しました。

アメリカのギャラップ社が毎年実施している従業員エンゲージメント調査によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が極端に少なく、世界でも最下位クラスとのことです。

日本企業は従業員との信頼関係を再構築する必要性に迫られていると言えるでしょう。

社会問題である労働人口の減少に伴い、採用難や人材獲得競争の熾烈化が加速しています。

企業経営において、従業員エンゲージメントの向上は今後ますます注目が高まってくるでしょう。

 

以上、最後までお読みいただき有難うございました。

 

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