座右の書「言志四録」のご紹介 | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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 売れプロ12期生の花村幸一です。

 

 多くの経営者は、自分たちの判断や行動を導く座右の銘や座右の書を持っています。企業経営には知識やスキルが必要ですが、それと同時に企業や経営者自身の在り方が重要になってきます。多くの選択肢がある中で、経営者は企業をどの方向に進めるかを決定する責任があります。選択により良い選択肢はあっても正解はありませんし、難しい判断を迫られることもあります。座右の銘や座右の書はこれを支える一助となります。

 

 私たちコンサルタントも、多くのクライアントと関わらせていただく中で、どのように「在る」かはとても大切です。クライアントを支援するために、時に迷い、悩む中で、座右の銘や座右の書は自分にとっての判断基準や前に進むための手がかりになります。

 

 私の尊敬する先輩コンサルタントたちの多くも、自分たちが大事にする言葉や書籍を持っていました。それを見習い、私自身も若手の頃からそのような言葉や書籍に触れてきました。その中で私がたどり着き、座右の書としたのが、佐藤一斎先生の「言志四録」です。

 

 今回は、「言志四録」について紹介します。

 

1.言志四録とは

 言志四録は、江戸幕末の儒学者である佐藤一斎が自らの学びや経験をもとに記した言葉の集大成です。佐藤一斎が42歳〜82歳にかけての語録であり、年齢順に4冊に別れています。

 

・言志録         42歳〜53歳

・言志後録   57歳〜66歳

・言志晩録   67歳〜78歳

・言志耋録   80歳〜82歳

 

 全部で1,133条あり、私がこの書に出会ってから数年たった今でも全てを十分に咀嚼できていません。また、書かれた年代に近くなったからこそ理解できる言葉もあり、読むたびに新しい発見があります。

 この書は西郷隆盛も強く感銘を受け、101箇条を書き写して、手元においていたと言われています。

 

 以下では、「言志四録」から私の中で特に印象に残っている3つの言葉を紹介させていただきます。なお、訳文においては様々な書籍類をもとにした私の解釈であり、異なる解釈の可能性もございますのでご了承ください。

 

2.事業の本質を見極める

 「言志四録」には、以下のような言葉が記されています。

 

【原文】

凡そ事を作すには、須らく天に事うるの心有るを要すべし。人に示すの念有るを要せず。

 

【訳文】

すべての事業を成し遂げるには、天(本質的な大きな流れ)の意に従う心を持つことが必要である。他人に自分の功を誇示したり、認めさせようとする気持ちを持つべきではない。

 

 この言葉を読むと、日々の業務をしている中で、いかに外見や他人からの評価に捉われていることに気付かされます。コンサルタントとして、クライアントの印象を良くするために、表面的に対応してしまいそうな時、本当にクライアントのためになるには別のやり方があるが切り抜けるために楽な道に逃げそうな時、そんな時に自分の行動を振り返るきっかけとなります。本質的なことに焦点を合わせ、自分の行動を問うときにとてもためになる言葉です。

 

2.試練を通して成長する

 さらに、言志四録は、試練と向き合う態度についても教えてくれます。

 

【原文】

凡そ遭う所の患難変故、屈辱讒謗、仏逆の事は、皆天の吾が才を老せしむる所以にして、砥礪切磋の地に非ざるは莫し。君子は当に之に処する所以を慮るべし。徒に之を免れんと欲するは不可なり。

 

【訳文】

いかなる困難や変化、屈辱や誹謗、逆境も、天が私たちを成長させるためのものであり、自らを研ぎ澄ます試練である。立派な人物は、これらの状況にどう対処するかを考えるべきであり、これらから逃れようとするべきではない。

 

 この言葉には本当にお世話になりました。特に若い頃は先輩コンサルタントからの指導通りに作業が進められず、クライアントの期待になかなか応えられないという厳しい時がありました。この言葉を通じ、困難を避けるのではなく、それを自己成長の機会として受け入れようと考え直し、前向きに取り組むことができるようになりました。今でも、選択が必要な時には、この言葉に背中をおされ、大変でも成長につながる道を選ぶようにしています。

 

3.人生の有限性と使命

 言志四録はまた、人生の儚さとその中での使命を認識することの重要性についても教えてくれます。

 

【原文】

我れより前なる者は、千古万古にして、我れより後なる者は、千世万世なり。仮令我れ寿を保つこと百年なりとも、亦た一呼吸の間のみ。今、幸さいわいに生まれて人なり。庶い幾わくは人たるを成なして終わらん。斯れのみ。本願此に在り。

 

【訳文】

自分が生まれる前には千年、万年の遠い過去があり、自分より後にも千世、万世の遥かな未来がある。もし自分が百年生きたとしても、歴史の中では一呼吸の間でしかない。幸いにも人間として生まれたならば、人間としての使命をまっとうして人生を終えたい。それが一生の念願である。

 

 この言葉は私が最も感銘を受け、意識するようにしているものです。自分の人生は長い歴史の中で一瞬でしかない、しかしながら後世に繋いでいくための大事な一瞬です。その限られた時間の中で、どのように生きるべきかを常に考えていかなければなりません。自分はこの人間としての一瞬をどう過ごしていくのか、自分の今を見つめ直すよい機会になります。

 

4.おわりに

 言志四録には、これら以外にも多くの名言があります。今、自分にとって名言でなくとも、年月がたって名言となるものや、見方が変わるものもあります。皆様は、座右の銘や座右の書をお持ちでしょうか。すでにお持ちの方もお持ちでない方も、ご興味がおありでしたら、ぜひ一度ご一読ください。人生の指針となる言葉が、そこにはあるかもしれません。

 

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