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皆さん、こんにちは。
売れプロ9期生の戸田哲也です。
需要側と供給側のいずれか一方のみが特定の情報を持つことを情報の非対称性と呼び、情報の非対称性がある市場では、その偏在によって市場均衡は達成されない、とされています。
情報の非対称性は、中古車市場や労働市場が事例に挙げられることが多く、一般的に情報の非対称性によって生じる問題はシグナリングを行うことで解消し市場の均衡が達成される、と経済学の教科書には書かれています。
しかし、シグナリングはあくまで情報格差を是正しているだけで、市場の均衡条件を保証するものではありません。
実際に、中国での病院の事例がその状況になっています。
中国では公立病院がランク付けされ、三等甲が最もレベルが高く、三等乙、三等丙、二等甲・・・・と細分化されています。
このランク付けは、医療施設の充実度や医療スタッフの習熟度や専門性などから実施し、病院の明確なランク付けをシグナリングとしているにもかかわらず上手く機能していません。
中国では病状の軽い患者から重い患者まで、ほとんどすべての患者が最もランクの高い病院に殺到し、ランクの低い病院はほとんど患者が来ない状況のようです。
これは、情報を持っていない、シグナルを受ける側である患者が自身の病気を正確に把握できないため、とりあえず施設や医療体制が一番整っているランクの高い病院で受診すれば安心と考えるからで、人間の心理としてはある意味当たり前のことと言えます。
さて、現在の日本ではコロナ禍により連日、医療崩壊が叫ばれ、常にギリギリの状態が続いていると報道されています。実際に、医療従事者の方々がギリギリの状態で勤務されていることは間違いなく、私自身も最大限の敬意と感謝の気持ちを持っています。
欧米に比べ日本は圧倒的にコロナによる死亡者・重症者が少ないにもかかわらず、なぜ医療崩壊が発生しているのでしょうか。
OECD加盟の37か国中、人口1,000人当たりの病床数は日本が1位(13.0床)ですが、その一方で人口当たりの医師数は、37か国中27位です。
日本の医療崩壊は、このように医師数が少ないことに加えて、感染症対策の設備が整わない規模の小さな病院が多くあること等が指摘されています。
日本では、病院の公的なランク付けはされていませんが、さまざまな情報から総合的に判断して病院を選ぶことができます。但し、これも平時に限られ、現在のコロナ禍では大病院の選択肢は相当限定的になっていますので、コロナ禍が終息するまでは、病気やケガをしないよう細心の注意を払うしか方法はなさそうです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。