「坂の上の雪」

「雪の上のカモ」
我が家の同居人 吉田さん
拙宅の公式降雪量記録は ベランダの手すりで計測する規則になっています
本日 観測史上最高の積雪量を記録しました
吉田さんも 我が身の丈を遥かに超えた雪に 浮かれ・・・
と 思いきや
吉田さんはいつも通り沈着冷静です

ところが
一歩街に出れば あたりはパニックのよう
雪に慣れた土地の方にすれば 笑ってしまうようなものかもしれませんが
この道路も 「緊急交通路」 のはずなのに
緊急災害時どころか 数時間降っただけの雪で ほとんど動いていません
この脆弱さで 首都直下型地震なんて来たら どうなるのでしょう?

なんて 言いつつも
初雪に はしゃいでいる自分も また そこにいて^^
カメラ片手に調子よく 歩いて行ける範囲で散歩がてら
「緊急時には食糧の確保が最優先事項」 であるからして
近所の中華で 生ビールを注文 夜食分も折詰にしてもらい抜かり無し!

しかし
いい気分での 自宅への帰り道
坂の上にある我が家
近くまで来ると 坂の途上で立ち往生する車が続出
ここは 「坂の上の雪」
目の前に住む者として
近代の黎明期 明治の青年の志と情熱・・・まがいのものを持って
一生懸命 車のお尻を押しました!
4台目くらいからは 息も上がり 湿った雪に服もぐっしょり
ようやく ひと区切りついて
「ご苦労さまでしたー」 と やや疲れ気味の同志たちに別れを告げ
我が家に帰ってみると
なんと・・・

泰然自若と 余裕をかまし過ぎた 吉田さんが!

遭難の危機に!

危うし! 吉田さん!
「 Bright Like Light feat.藤井レナ 」 DJ KAWASAKI
冬の散歩道~競馬場跡

横浜競馬場跡
ブラフと呼ばれた丘の上 日本近代競馬発祥の地
その坂の途上には 「ソーダ水の中を貨物船が通」った ドルフィンも
時折 風に乗って 横浜港の汽笛が流れてくる
遠くに見えるのは・・・
* * *
寒い夜の自我像 Ⅰ
きらびやかでもないけれど
この一本の手綱をはなさず
この陰暗の地域を過ぎる!
その志明らかなれば
冬の夜を我は嘆かず
人々の憔懆のみの愁しみや
憧れに引廻される女等の鼻唄を
わが瑣細なる罰と感じ
そが、わが皮膚を刺すにまかす。
蹌踉(よろ)めくままに靜もりを保ち、
聊(いささ)かは儀文めいた心地をもつて
われはわが怠惰を諫める
寒月の下を往きながら。
陽氣で、坦々として、而も己を賣らないことをと、
わが魂の願ふことであつた!
* * *
中原中也の詩集『山羊の歌』に収められた一編「寒い夜の自我像」には続編があったが
刊行されたもう一冊の詩集『在りし日の歌』にも採られることは無かった

遠くに見えたのは 一等観覧席跡
競馬場の遺構としては唯一残るもの
牡馬クラシック3冠レースのひとつ目 「皐月賞」は
「横浜農林省賞典四歳呼馬」として ここに始まっている
* * *
寒い夜の自我像 Ⅱ
恋人よ、その哀しげな歌をやめてよ、
おまへの魂がいらいらするので、
そんな歌をうたひだすのだ。
しかもおまへはわがままに
親しい人だと歌つてきかせる。
ああ、それは不可(いけ)ないことだ!
降りくる悲しみを少しもうけとめないで、
安易で架空な有頂天を幸福と感じ倣(な)し
自分を売る店を探して走り廻るとは、
なんと悲しく悲しいことだ……
* * *
人の横顔に光を当てれば 半面影を帯びるように
光と影 それらが合わさって 一つの像を結ぶように
そんな 3つの詩のように思われ・・・

戦後 長らく米軍に接収され 競馬場としての再建は叶わず
周囲には未だ米軍住宅地が残り 敷地をゆったりと取った贅沢な配棟は正に余所の国
それでも 馬場は広大な公園となって 春には桜の花霞
* * *
寒い夜の自我像 Ⅲ
神よ私をお憐れみ下さい!
私は弱いので、
悲しみに出遇ふごとに自分が支へきれずに、
生活を言葉に換へてしまひます。
そして堅くなりすぎるか
自堕落になりすぎるかしなければ、
自分を保つすべがないやうな破目になります。
神よ私をお憐れみ下さい!
この私の弱い骨を、暖いトレモロで満たして下さい。
ああ神よ、私が先づ、自分自身であれるやう
日光と仕事とをお与へ下さい!
* * *
「寒い夜の自我像」・・・「自画像」 では無く 「自我像」
光も影も 強さも弱さも 清濁あわせ飲む如く
光の強さに憧れながら 影の濃さに魅かれもし
詩を口遊みつつ 寒さ紛らし 歩く
・・・冬の散歩道
「 BALLET 」(A Y.M.O. FILM PROPAGANDA) YMO
砂に書初め

拾った木切れを筆に代えて
波打ちぎわの濡れた砂に まっすぐな線を引いた
スマートフォンのタッチスクリーン
軽さに馴染んでしまった指先へ チカラを込めるという新鮮
強く そして 柔らかく
書くという行為そのものが 表現であったという記憶
「 砂に書初め 」
戯れの言葉も 少しだけ覗いた願いも
波にさらわれません様に
・
・
・
波音を背に 振り返ってみれば
いよいよ 空が
色を増して 明かりを落とそうとする頃
*
買い忘れた お豆腐一丁
お遣いの子供のように
一艘の小舟が 港を出てゆくのでした

「おせち」 「かるた」 「書初め」
お正月三部作
完結です(笑)
「 Just The Way You Are 」 (Live At Tokyo 2006) Billy Joel