狂言のお話 ~茂山逸平さん~ | こひなたブログ

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言葉でしか伝えられないことがある。言葉では伝えられないことがある。その両方を大切にしていきたい。

茂山狂言を観た。



最初に茂山逸平さんが解説された
「狂言のお話」がとても面白かったので、ここに書かせてください。
(いつものようにひたすら手帳にペンを走らせていました)

能と狂言を合わせて「能楽」といいます。

それぞれ特徴は何かと言うと

1.能は、化け物の話。
  登場するのは死んでいるモノか、バケモノか、神様が8割。

2. これに対し、狂言は9割5分、馬鹿が出てくる。

つまり異常なお芝居が「能楽」でして…。

狂言は日本で一番古い「笑い」のお芝居。
650年前から。金閣寺や一休さんと同じくらいですね。

異常な舞台上の人達。
現代人には、まぁ、理解しがたい芝居かもしれません。

そこで(理解しやすくなるための)ルールは2つあります。

その1:登場人物は大きな声でしか話せない生き物(と、あきらめる)

昔はね、マイクも照明もないんですよ。
こんな立派なホールではなく、神社や寺の一角に舞台を構えて屋外でやるんです。
遠~くの人まで声が聞こえなきゃいけないの。←この辺はチビッ子向けに解説。

そして大道具のセットは使いません。
では、後ろの松は何?って。
これは鏡松といいます。


狂言はお客様に観て頂くのと同時に
神様に奉納するものでもあるんですね。

奈良の春日大社の一の鳥居をくぐると
影向の松(ようごうのまつ)があります。

 

 

鏡板の松は、この影向の松が描かれていて
私達は神様に捧げる気持ちで向かっているんですね。

その2:おっさん達にツッコまない。

皆んな、世の中には3種の生き物がいるのは知ってる?
男と 女と (・・・そして私達は当てをつける)
そう、「おばちゃん」だよね。(見事に当てが外れる)

皆んな、おばちゃんには突っ込まないでしょ?
突っ込んでも無駄だってわかっているから。
おばちゃんっていう生き物は、
普通、しないよな~っていう事を平気でやってのけちゃって
それでいて、憎めない。

私達(演者の)おっさんも同じなんです。

ここに川が流れている・・・と言えば、流れているの。

これ、何かわかる?
さっきまで椅子にしていて、確かに椅子にもなるけれど
かづらおけ と言ってね。

 


大きな声で演者が説明すれば、それになるの。

ここで実演


「イヤ、あれに大きな柿の木がある・・・」

柿の木なの。
柿の木のつもり になるの。

狂言って、〇〇のつもり になるの。
これ、子供の頃の、ごっこ遊びに似ているよね。

おままごとする時に誰も
お母さん、今からおままごとするから、ご飯炊いてーんなんて、言わないよね?

チャンバラごっこも本当の刀なんか使わないよね?
使ったらえらいこっちゃ。
普通、丸めた新聞紙なんかつかって 刀のつもり になる。

つまりですね~
これからご覧になって頂く

狂言の理解力があればあるほど、あなたは若い!

っていうことなんですよ。

感染防止の換気も、皆さんマスク着用のご協力を頂いています。
どうぞこのひと時、皆さん笑って楽しんでいってください。