今日の言葉はHasenbrot(ハーゼンブロート)=ウサギのパン。


ウサギの形をしたパンでも、ウサギ肉のサンドイッチでもない。これは、お父さんが仕事に行く時に弁当として持っていったパンを食べずに家へ持ち帰ったもののことを言う。


典型的なのは、黒パンにバターを塗ったもの。それだけの質素なパンが、ドイツでは弁当になる。今は、それにチーズかハムをはさんだものが主流だが、バターだけのButterbrotも依然として存在する。ちなみにドイツでは給食がないので子どもたちも弁当持参なのだが、それもたいていButterbrotにチーズかハムをはさんだだけの簡単なパンだ。日本人的感覚では、それをサンドイッチともちょっと呼びたくないような、非常に質素なものである。


このHasenbrotをHasenbütterkenと呼ぶ地方もある。BütterkenはBütterchen(こんな言葉はないが)の訛りで、Butterbrotのことを指す。


子どもが残してきたものもHasenbrotと呼ぶそうだ。でも、典型的なHasenbrotは、お父さんが持ち帰った残りで、それを家の子どもたちが目を輝かせて食べる光景があったのだとか。それどころか、今でもあるらしい。つまり、子どもというのはパパの弁当の残りをもらえるのが楽しみなのであり、食べかけでもう少し古くなったバターパンとは言え、パパの残りを食べるのは子どもにとって幸せであり、そこには愛があるという。Hasenbrotという言葉を聞くと、その光景が目に浮かび、温かい気持ちになるそうだ。


この単語は、小さめの学習用辞書には載っていないが、大独和には載っている。さすが大独和。

今日の言葉は、昨日のFach(ファッハ)の続きで、Fachkonferenz(ファッハコンフェレンツ)=教科会議



ドイツの中学・高校では、Fachkonferenzというものを教科ごとに一年に少なくとも一回は行わなければならない。この言葉からは、教科の職員会議を思い浮かべてしまうけれど、もっともっと大掛かりなもの。その教科を勉強している生徒の代表や、親の代表、さらに校長や副校長なども出席して行われるのである。



その教科の担当教師は、授業の現状、カリキュラム、問題点などを予め整理し、会議の場で議論する。生徒の意見や親の意見を聞き、校長の意見も聞き、担当教師側の希望と上手く相容れていかなければならない。Konferenzという名にふさわしく非常にオフィシャルな場で決してなあなあになったりしない。でも、決して形骸化したものでもなく、しっかり議論が行われる。非常に民主主義的文化だなあと感じるものである。

今日の言葉はFach(ファッハ)。


この言葉は、ドイツの大学に留学した人ならお馴染みの言葉。これから留学する人はぜひとも覚えておかなければならない。「専門」という意味だ。あなたのFachはなあに?という会話は、学生同士知り合った時に必ず交わされる。ドイツの場合は二つのFachを学ぶのが普通なので、その複数形Fächer(フェッヒャー)という言葉も聞き取れるようにしておくことが大事だ。


ちなみにドイツは普通、Hauptfach(主専攻)とNebenfach(副専攻)の両方が卒業に必要だが、最近は主専攻をKernfach(ケルンファッハ)、副専攻をErgänzungsfach(エアゲンツングスファッハ)と言うようである。これらの言い方は、ドイツが長い間のマギスター制度を廃止し、バチェラー・マスター制度に切り替えているところから生まれた。Kernは核という意味だし、Ergänzungは補足とか補完という意味であるから、なんだかErgänzungsfachは副専攻より地位が下がった感じがする。実際、副専攻時代よりErgänzungsfachの方がレベルが低くなった気もする。ある外国語の必修が3学期から2学期に減ったりしているからだ。それは、マギスターは5年から10年くらいかけて取得するのが普通だったのが、バチェラー(学部)はたいてい3年間で修了することと関係があるのだろう。その短い間に二つの専門を勉強することには未だ変わりがない。


ところで、Fachには「棚」という意味もある。でもそれは本棚や食器棚のような棚ではなく、特別な整理棚というか仕分け棚というか。郵便受けのようなものというか。普通、職場で、その課や部に属する人たち一人一人の棚があり、そこへその人個人宛のお知らせや手紙などが入れられる棚や引き出しなどがあるだろう。それのことだ。



そんなわけで、あなたのFachはここです、と言われると、それは専門科目のゼミ室やオフィスの場合もあるし、自分専用の職場の郵便受けの場合もある。