今日の言葉はArbeitsgemeinschaft(アルバイツゲマインシャフト)。


ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへの変遷といった近代化や共同体の理論は、その道のプロにお任せするとして、このArbeitsgemeinschaftというのは、辞書では研究チームとか作業・労働共同体、と訳されていることについて、私の経験で感じるところを書きたい。


一般にドイツでArbeitsgemeinschaftと言えば、まず何より先に浮かんでくるのは学校のクラブ活動、略してAG(アーゲー)のこと。


クラブ活動には色々あって、みんなで実験や庭の手入れなどの共同作業をしているものもあれば、バスケットやダンスなどスポーツをしているもの、合唱やバンドやオーケストラといった音楽の共同作業をしているものなどがあるが、ビジネスイングリッシュやケンブリッチ英語検定対策コース、異文化に触れる様々な外国語など、個人のスキルを伸ばすものも。


ちなみに私が属している研究機関では、共同研究チームに関してArbeitsgemeinschaftという言葉を聞いたことがない。共同研究はProjektと呼んでいる。学生同士が数人で同じテーマの課題をやったりレポートや発表を準備したりする勉強会のことをArbeitsgemeinschaftと呼ぶこともあるが、そういうのは、Gruppenarbeit(グルッペンアルバイト)と呼ばれることの方が多いように思う。Arbeitsgemeinschaftというと、どうも自主的な勉強会というか、クラブ活動のように単位にはならない活動のこと、つまり、大学でもゼミでの発表のためというよりは自主的に勉強を深めるためにやっている勉強会のことを指すようだ。

今日の言葉はSchulübergreifende Kurse(シュールユーバーグライフェンデ クルゼ)。別名、Zentralkurse(ツェントラルクルゼ)。


Schuleは学校、übergreifendは「包括的な」、Kurseはコースの複数形。学校を包括するコースって?別名の方は、「中央コース」「主要コース」とも訳せる。


これは、ドイツの高校レベルの学校で、選択科目ではあるけれどその科目を選択する生徒の絶対数が少ない科目に関し、その市で担当校を決め、市内の生徒が開校されている学校へ出向いてその授業を受けられる、というシステムのこと。


そのシステムをとっている選択科目は以下の通り。


古典ギリシア語

ヘブライ語

イタリア語

スペイン語

ロシア語

トルコ語

日本語

情報処理学

ユダヤ教


古典ギリシア語があるのにラテン語がないのは、ラテン語が選択必修第2外国語として6年生くらいの頃からどこの学校でも開講しているから。

イタリア語とスペイン語があるのにフランス語がないのは、これもやはり選択必修第2外国語としてどこの学校でもあるから。ドイツ人の子どもたちは、ラテン語かフランス語のどちらかを6年生の頃から勉強している。ちなみに第1外国語は英語で、小学校3年生から必修である。

ロシア語とトルコ語があるのは、移民が多いから。特に、ロシア語は、ロシアに戦後取り残されたドイツ人の子孫で、ここ10年くらいに次々と「帰国」してきた人たちに配慮したものである。

ヘブライ語とユダヤ教は、いうまでもなくユダヤ人に配慮したもの。

情報処理学は、時代ですね。


そんな中に、日本語も入っているとは。毎年50人近い申し込みがあって、25人までしか受けられない人気教科である。でも、挫折する人も多い。高校3年間最後まで受講するのは、13人程度である。


今日の言葉は、ドイツ語になった外来語の人気投票No.1に輝いたというTohuwabohu(トーフヴァボーフー)。ちょっと耳にすると、豆腐は暴風と聞こえる。


もしかして日本語の豆腐から来たのか?と思ったら大間違い、これはヘブライ語から来た言葉。ヘブライ語とは、昔々ユダヤ人が聖書を書き留めた言葉。創世記の冒頭を読むと、最初に神様が天と地を作り、その後2行目にこう書かれている。


Und die Erde war wüst und leer, ... (ルター訳ドイツ語)

地は混沌であって、・・・ (日本聖書協会訳日本語)


この、ドイツ語のwüst und leerの部分を普通ドイツ人はWüste und Ödeと呼んでいるが、この「混沌」と訳されている部分、つまり荒れ果てていて不毛な地、無秩序な状態なことをヘブライ語でtohu wa bohuという。それがそのままドイツ語にも残り、Tohuwabohuと言えば、神の手が入っていないカオスの状態、つまりとんでもない混乱状態のことをいうそうだ。


これが外来語No.1に選ばれる・・・特に新しい言葉でもないのに、つい最近の人気投票で。ドイツ社会が今、脱税のニュースやらなにやらで混沌とした状態になっているから、響きが面白いから、ということもあるようだけど、根っこの根っこがやっぱりここはキリスト教の国なのね、と思い知らされる。