今回は双極性障害研究の第一人者である、理化学研究所・加藤忠史先生の1日講座「双極性障害の基礎知識」(朝日カルチャーセンター新宿)についてのレポートです。
ツイッターでフォローさせていただいているpooh_mickey@双極II型さんがこの講座に参加され
、その内容についてツイートされていたのを許可をいただいて転載しています。
pooh_mickey@双極II型さんにはこの場で改めて感謝申し上げます。
この講座では最新の研究内容はもちろんのこと、数多くの質問にも先生が直接お答えいただいたようです。
なかなか双極性障害の情報は出てきません。私を含めて双極性障害で苦しんだり、悩んだりしている方は参考になるのではないかと思います。
※ほぼ原文ママで引用しておりますが、斜体で記述している箇所は私の意見等になります。
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TOPIC
- 双極性障害の薬に関して
- 双極性障害の薬と妊娠への悪影響に関して
- 双極性障害者の日常生活と就労に関して
- 双極性障害の1型2型の割合は?
- 双極性障害の再発率は?
- 双極性障害者の暮らしやすい場所は存在するのか?
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1)双極性障害の薬に関して
双極治療薬の開発状況…現在の所、非定型抗精神病薬・ルラシドン(ラツーダ)にて最後となっている。
国内のルラシドンの開発状況→統合失調症の治験に失敗し、やり直しとなった。2019年承認申請予定。発売は更に先となる模様。
双極治療薬の治験(医薬品の臨床試験)が進まない理由…双極の発症原因が不明であることが大きい。
※最近、双極性障害向けの治験用マウスの開発に成功したらしい。新たな薬の開発を期待したい。
双極の第一選択楽…リチウム。抗躁作用、抗鬱作用に優れ、自殺防止予防作用もしっかりしている。
※現在、世界の双極ガイドラインでは、ルラシドン(ラツーダ)が第一選択薬とされている。(ただし製薬会社のプロモーションという背景も…)
自分はラミクタールのみで安定している。知人でラミクタール一本にして安定した、という話も聞く。ただ薬は個人差があるので医者と相談して自分に合うものを見つけていけるのがよいだろう。
双極 寛解を迎え、薬剤未内服で経過観察している方いらっしゃるが、おすすめしない。再発した場合の体制考えるなどしてからでないと、リスクが高い。リスク発生するなら、そのまま内服しながら再発防止を図っていくのが第一。
2)双極性障害の薬と妊娠への悪影響に関して
妊娠可能な双極女性患者の方:妊娠、出産可能。但し、リチウム内服続け知らない間に妊娠してしまい、残念ながらお子さんに障害が残った症例を経験しています。リチウムやバルプロ酸内服の場合、妊娠中でも服用可能なクエチアピンに切り替えての計画的妊娠・出産を。(クエチアピン:糖尿病の方は禁忌)
妊娠と薬の悪影響に関しては様々な議論があるが、内服薬に注意すれば大丈夫とのこと。まずは医者ときちんと相談を。
3)双極性障害者の日常生活と就労に関して
双極の方:クリニックレベルの調査では、土日受診している方が多い=平日働いている方が多いようで、就業率60~70%のデータが出ている。
障害者雇用促進法が施行されているので、どこの企業も障害者を探してる状況。障害者雇用だからといって、仕事内容変わらない、というところも増えてます。双極だから、この職業に就業するのを避けろ、などないと思います。
但し、生活リズムが狂うことによる躁転を防ぐため、徹夜や3交代など交代制の職業は避けておいた方がいいと思います。双極の症状が落ち着いていて、3ヵ月に1回リチウムを取りに行く位で済んでいるのであれば、病気のことは普段の生活で1%位考えるだけでいいです。但し、服薬はしっかりと。家族も敢えて疾患のことに触れないでそっと見守ってあげてください。症状が悪化した場合は、症状のこと100%考えましょう。
日常生活と就労の話は多くの人が関心を寄せるところだろう。障害者雇用に関しては、精神障害者の雇用の義務化が2018年4月から始まるので以前よりは就職がしやすくなるかもしれない。しかし、障害者雇用は良い条件のものが少なく低賃金で不安定な雇用形態のものが多い(現状では)。ただ雇用を義務付けるのではなく、精神障害者が安心して働けるような仕事環境作りも同時に進めてほしい。そうしないと仕事にありつけても体調を崩す、といったことが起こりかねない。それでは意味がない。
4)双極性障害の1型2型の割合は?
双極全体を100%とすると、双極1型、2型、どちらが多いの?
→2型の診断が、各医師、各施設によって本当に違うので、研究によって違っている。とはいうものの、海外では双極2型>双極1型のデータあり。
これに関しては統計を取るのは難しいだろう。
ちなみに日本では鬱から双極性障害に診断が変わるということがよくある。実際うつ病と診断されている人の何割かは双極性障害なのだろう。そしてその多くが双極性障害2型であろう。2型の躁状態は見過ごされやすいため、それを鬱から回復した状態、と捉えられてしまうことが多いからだ。あくまでこれは個人的推測だが…
5)双極性障害の再発率は?
大学病院等だと、元々病状重い方を母集団としているので、再発率が高い傾向にある。
クリニックで診療しているが、そんなに再発率が高い印象はない。
これは病院によってかなり変わってきそうではある。
再発率が高い印象はない、とのことだが個人的には低い印象もない。まあ再発ってのをどうとらえるのか、の問題なのかもしれない。再発させない、安定した状態を目指すなら定期的な診断を受ける、薬はきちんと飲む、生活リズムを整える…等のことを継続できれば大惨事にはならないはずだ。まあこれがなかなか難しいのだけど。
6)双極性障害者の暮らしやすい場所は存在するのか?
医療体制が整っていない地域は厳しい。島の診療所しか無いような場所では、診療所医師に双極治療について勉強して貰いましょう。病気のために住む場所を決めなくてもいいと思います。
現状では地方に行くほど医療体制は乏しくなってしまう。しかし医療体制が乏しくても安定した状態にもっていくのは不可能ではない。医者とうまく関係を作り、情報収集を怠らない。そして、自分を律すること。これに尽きる。双極性障害は長く付き合うものなのだから、簡単に諦めずにうまく付き合えるように試行錯誤していくことが大事だ。とても難しいことで自分もまだまだ模索中である。
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以上で今回のレポートは終わりです。
まだまだ未解明な点が多い双極性障害。
研究がどんどん進み、ふつーに暮らせる時が来ることを願っています。
最後になりますが、内容をレポートしてくださったpooh_mickey@双極II型さんには重ね重ねになりますが感謝申し上げます。ありがとうございました。
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