蒼いマンゴーが堕ちたら -8ページ目

蒼いマンゴーが堕ちたら

フィリピンを舞台にした単なるフィクションストーリーです。多分フィクション・・・・

愉しそうに食べるアシュリーを見ているとオレまで愉しくなってくる。


ただリリィがオーダーした料理の大半は残ってしまい何時もの様にテイクアウトする羽目になった。明日の分まで賄えそうな量だった。


アシュリーを真ん中にしてホテルまで手を繋いで歩いた。部屋に戻るとアシュリーもオレも満腹の為にベッドに横になった。リリィはヴィサヤの家族に電話をしている。
TVを見ているとアシュリーがオレの腕を触ったので横を見ると、寝たふりを決め込んでいた。TVに視線を向けるとアシュリーがまた触れる。そして寝たふりをするアシュリー。そんな遊びを繰り返ししていた。


煙草が吸いたくなったのでアシュリーに待っての合図をする。窓際に行きマルボロの箱を見ると空だった。リリィに煙草を買ってくると言って下のセブンイレブンに行った。



マルボロを二箱買い、部屋に戻ると小さなフィリピーナはベッドの真ん中でスヤスヤ眠っていた。オレはアシュリーにブランケットをかけ、窓際で煙草に火を点けた。電話中のリリィに判る様にアシュリーを指をさすとリリィは手をあげて分かったと合図をした。


母親から電話が入ったのは9時を過ぎた頃だった。まだ仕事が終わらないと言う。オレは寝ているアシュリーを起こすのは可哀想だからこのまま明日まで預かってもいいとリリィ経由で母親に申し入れた。母親は快く申し入れを受け入れてくれた。


その夜、アシュリーを真ん中にして三人で寝た。外から聞こえるクラクションとは対照的にアシュリーの寝息はスースーと心地良く聞こえた。



暗い中でリリィが言った。



ファミリーみたい。



オレは何も言わずにアシュリーのブランケットをかけ直した。


小さなフィリピーナは可愛い愛らしい顔で寝ている。


リリィもアシュリーが気に入ったみたいだ。アシュリーの母親にお土産のピザを渡すと嬉しそうな笑いを浮かべた。



オレは咄嗟に思いついた事をリリィに話した。



リリィ、アシュリーと何か食べに行くか?



これには何時も文句を言うリリィにも異存はなかったみたいだ。リリィは母親にアシュリーを食事に連れて行く事をお願いしている様子だ。母親にホテルと電話番号を教えてアシュリーに笑いながら一言二言話をしていた。


そうと決まればホテルに戻り、用意を済ませようとアシュリーの案内でホテルへ戻る。


アシュリーの足は軽快で愉しそうだ。ホテルの部屋に入るとアシュリーは大きなベッドに驚いていた。先にリリィがシャワーを浴びる。一緒にシャワーをする為、恥ずかしがるアシュリーを連れて行った。シャワールームからキャッキャと声がする。二人共、愉しそうだ。


バスタオルを頭から被りアシュリーがおどけながらシャワールームから出てきた。オレもバスタオルを頭から被りおどけてみせた。アシュリーは逃げる様にベッドに飛び込んだ。



リリィと入れ替わりにシャワールームに行く。相変わらずのシャワーも今日は気にならない。


シャワーを済ませベッドルームに戻るとアシュリーは髪の毛の一部をヘアゴムで結わえてもらっていた。


両方の掌でアシュリーのほっぺたをキュッと挟んで言った。



キュート、アシュリー



アシュリーは首をすくめて恥ずかしそうにしている。

多分リリィが嫉妬しない唯一のババエだろう。



食事に行くには早い時間だった。三人でベッドに転がりTVのアニメを見ていた。
今日の出来事はアシュリーには初めてだらけの経験だろう。


ニホンジン・ホテル・キングサイズベッド



TVを見ながら時折、リリィとオレの顔を交互に見て顔を隠して笑っている。



7時を回ってオレ達は食事に出掛けた。ホテルから歩いて5分とかからない場所にレストランがあった。


二階建てのレストランの二階に上がる。



アシュリーはどことなく緊張していた。テーブルに着くとアシュリーはリリィの隣に座り、落ち着かない様子だ。スタッフがオーダーを取りに来たがメニューを見ても何の料理か判らない。オーダーはリリィに全て任せ、アシュリーとフォークとスプーンを使い遊んでいた。リリィはアシュリーにメニューを見せて料理の説明をした。


先に飲み物が来たので三人で乾杯をする。オレとリリィはビール、アシュリーはオレンジジュース。


最初の料理のシニガンが来た後、次々に料理が運ばれて来た。テーブルの上は食べきれそうにない料理が並んだ。



シニガン、アドボ、チャプスイ、レチョンマノック、ルンピア、パンシット・・・・・



アシュリーが大きな瞳を見開いて笑った。

オレも笑った。



リリィはオレとアシュリーが笑っている理由が判らないみたいだった。



頼みもしないのに帰って来て怒りまくっているリリィは昨夜買ったバーベキューをツマミにビールを飲みだした。オレの分まで食べるつもりの様だ。


それよりオレの気掛かりは麻袋の女の子の方だった。最後に見せた寂しい顔が頭から離れない。酔っ払いになる前にリリィに麻袋の女の子の話をした。リリィはオレに痛くないビンタを一つして出掛ける支度をしなさいと言った。




ホテルの前にいたタクシーに乗り込むとリリィはバクラランと言う所をドライバーに伝えた。




マニラベイを越えて進むと、一際人だかりの多い場所に着いた。


バクラランマーケット


人混みを縫うようにリリィが進む。オレはついて行くのがやっとだった。
歩行者天国のフィリピン版にオレは目を奪われていた。色々な物が売られていて見ていて飽きない。



何でリリィはここに来たのだろう。



子供服を売っている前で足を止めてリリィは服を物色し始めた。子供用のシャツを二枚とショートパンツを買うと支払いをオレにさせて荷物をオレに持たせた。そのまま3軒隣に移動してピンクのビーチサンダルを掴み、これもオレに払えと言った。
リリィに言われるがままに代金を支払うと来たばかりなのにもう帰ると言う。人混みを再度かき分けてタクシーに乗り込むとロハスブルバードを走りホテルへ向かった。途中、グリーンウィッチと言うピザ屋に寄り大きめのファミリーサイズのピザをテイクアウトをした。


ホテルに到着するとリリィがさっき歩いた道をもう一度歩けと言う。何となくリリィがやろうとしている事が分かったので素直にそれに従った。


大きな通りから左側に小さい通り。ミニストップの看板が目印だった。さっきと同じ場所にブコジュース売りがいた。リリィは近づき、ブコジュース売りに声を掛けて話をしている。話が済んだところでブコジュース売りの反対側にあるミニストップにオレを連れて行った。リリィとオレはミニストップの窓際の椅子に座りコーラを飲んでいた。

煙草を三本・・・・時間にして1時間が過ぎた時、ブコジュース売りが店の外からリリィに手招きの合図をした。外に出ると麻袋の女の子が立っていた。オレは近づいて彼女の頭を撫でた。


リリィは買ってきた服とサンダルを見せて女の子と話をしている。すると女の子はリリィの言葉にうなずいてニコッと笑った。



オレとリリィは女の子に手を引かれて通りの更に先に進んだ。手押し車風の屋台が三つ並んでいて一番手前のフィッシュボールの屋台。煮立ったお湯の中で白いフィッシュボールが踊っている。屋台の主である前歯が一本無い女が女の子に早口で何かを言うとリリィがその女と話をした。


怪訝な顔をしていた女の顔が笑い顔になりオレに向かって何か言った。


リリィがすかさず



ありがとうダウ。子供の服。



ここでもオレは返事が出来ず笑うしかなかった。母親の話では・・・後でリリィから聞いた話だが、女の子の名前はアシュリーで母親とアシュリーだけの生活らしい。旦那は女を作って蒸発。親類の家に居候しているらしい。屋台は親類の持ち物で居候の代わりに店番をしているだけだった。


アシュリーの姿が見えなくなったのでリリィにそれを言うと知らないと言う。


暫くすると後ろからTシャツを引っ張られた。振り向くと新しい服と新しいサンダルのアシュリーが立っていた。アシュリーの髪の毛は濡れていた。多分シャワーを浴びてきたのだろう。


オレは初めて日本語以外で小さなフィリピーナに声を掛けた。



アシュリー、キュート!