今日は朝から億劫な気分だった。リリィが日本に帰ってくる。それ自体は嬉しいのだが何が気にいらないかと言うと、空港に迎えに行かなくてはいけない。百歩譲ってそれも良しとしても、迎えに行ってそのまま店に顔を出せと言うのが気にいらない。
大体、リリィを迎えにプロモーターが行くではないか。オレが行ってどうなると言うのだ。挙げ句に店に顔を出してもリリィの他の客が来るだろう。勿体ない話だ。
散々、独り言で悪態をつき仕事に向かう。
フィリピンから帰って来て仕事へのやる気が失せている。元々失せていたが更に失せたと言った方が良いだろう。同じ部署の一言多い奴が更に失せた原因だった。
何処の会社にも人のする事なす事に文句をつける輩は居るものだと相手にしなかったのだが、フィリピンから帰って来た時にアルバイトの連中に土産の煙草を配った。一部のアルバイト以外にはフィリピンに行った事は内緒にしていた。もちろん上司にすら言っていない。アルバイトに渡した煙草にフィリピンメイドと記されており、それがそいつにオレのフィリピン行きを教えてしまった。
下品な笑い顔で近づいて来てオレに言った言葉は
フィリピン行ってたんだ?女?向こうは安いからね、オネーチャン。
その瞬間、何故だか判らないがアシュリーの顔を思い出した。
それと同時に愉しかったフィリピンを汚された気がした。
オレは吸っていた煙草をそいつに投げつけてやった。奴は固まったままオレを見ているだけだった。
オレは好戦的な人間ではない。しかしこの時ばかりは反射的に動いてしまった。
それからはオレに近づいてもこない。こいつがオレに与える影響など爪の先ほども無いから近づいてこない方がお互いの為だろう。
定時を少し回りタイムカードを押した。わざわざ家に帰り車を出すのも面倒なので会社からそのまま空港に向かう。
帰宅時間と重なって電車は混雑していた。空港につく頃にはすっかり暗くなり空港の光が眩く見える。
到着口の傍のドリンクコーナーでリリィの到着を待った。定刻に到着したリリィが乗った飛行機のアナウンスが流れる。リリィが到着口から出てくる時間を予測してコーヒーのおかわりを注文した。
もう家に帰りたい
リリィには悪いが本当にそんな気分だった。
レッスン初日の日曜日が来た。聞いていた住所は電車で30分程度で行ける場所だ。
約束の時間にはまだ早い。家を出たオレは駅前にあるカフェに向かった。
コーヒーをオーダーしてフィリピン語の本を開く。毎日勉強していたが5ページで止まっている。5ページ以降は今のレベルでは頭に入ってこない。反芻する様に基本を覚え込んでいたが文法が絡むと訳が判らなくなる。
電車の中は休日の為に人は少ない。
駅前のケーキ屋で手土産を買った。マリア先生から電話が入り、オレを迎えにこっちに向かっているらしい。
駅前のケーキ屋の前に居ると伝えると待っている様に言われた。
目の前に現れたマリア先生は想像していたより若く、結婚していると言わなければ十分シングルに見える。オレとマリア先生はオープンテラスのカフェに入った。簡単にオレ自身のフィリピン語のレベルを説明するとマリア先生は勉強したい動機を尋ねた。
オレは初めて行ったフィリピンでの経験やアシュリーの事、リリィの事などを話し、フィリピンが気に入ったとマリア先生に言った。
マリア先生はフィリピンの話しをしてくれた。マリア先生は大学を卒業後、日本の企業のフィリピン支店に就職。そこで旦那さんと知り合ったそうだ。
家庭はそれほど裕福ではなかったが家族の助けで大学に行かせてもらった事を感謝し、今は家族を助ける側になったと言った。
フィリピン語のレッスンの筈だったがマリア先生の話しが楽しかったので聞き入ってしまった。
時間が来たとマリア先生に告げると話し過ぎてごめんなさいと言った。
オレはこっちの方が楽しくて好きですけどと言うと、それじゃあレッスンなんか辞めて日曜日はお茶をして話ししましょうとマリア先生が提案した。
オレは快く承知して来週の再会を約束した。
結局は自身で勉強する事になったが仕方ない。
家に戻ってフィリピン語の本を開いて30分と経たずに寝てしまった。
なにわともあれフィリピン語の勉強生活は始まった。今度フィリピンに行く頃迄には簡単な会話が出来る様になるのが目標だ。
アシュリーがオレのフィリピン語を聞いたらびっくりするだろうなと一人悦に入った。
約束の時間にはまだ早い。家を出たオレは駅前にあるカフェに向かった。
コーヒーをオーダーしてフィリピン語の本を開く。毎日勉強していたが5ページで止まっている。5ページ以降は今のレベルでは頭に入ってこない。反芻する様に基本を覚え込んでいたが文法が絡むと訳が判らなくなる。
電車の中は休日の為に人は少ない。
駅前のケーキ屋で手土産を買った。マリア先生から電話が入り、オレを迎えにこっちに向かっているらしい。
駅前のケーキ屋の前に居ると伝えると待っている様に言われた。
目の前に現れたマリア先生は想像していたより若く、結婚していると言わなければ十分シングルに見える。オレとマリア先生はオープンテラスのカフェに入った。簡単にオレ自身のフィリピン語のレベルを説明するとマリア先生は勉強したい動機を尋ねた。
オレは初めて行ったフィリピンでの経験やアシュリーの事、リリィの事などを話し、フィリピンが気に入ったとマリア先生に言った。
マリア先生はフィリピンの話しをしてくれた。マリア先生は大学を卒業後、日本の企業のフィリピン支店に就職。そこで旦那さんと知り合ったそうだ。
家庭はそれほど裕福ではなかったが家族の助けで大学に行かせてもらった事を感謝し、今は家族を助ける側になったと言った。
フィリピン語のレッスンの筈だったがマリア先生の話しが楽しかったので聞き入ってしまった。
時間が来たとマリア先生に告げると話し過ぎてごめんなさいと言った。
オレはこっちの方が楽しくて好きですけどと言うと、それじゃあレッスンなんか辞めて日曜日はお茶をして話ししましょうとマリア先生が提案した。
オレは快く承知して来週の再会を約束した。
結局は自身で勉強する事になったが仕方ない。
家に戻ってフィリピン語の本を開いて30分と経たずに寝てしまった。
なにわともあれフィリピン語の勉強生活は始まった。今度フィリピンに行く頃迄には簡単な会話が出来る様になるのが目標だ。
アシュリーがオレのフィリピン語を聞いたらびっくりするだろうなと一人悦に入った。
思い付きとは単なるきっかけだけではなく、意欲も掻き立ててくれる。
休みの日にオレは街の中心地に出掛けた。大型の書店に入ると外国語のコーナーを探した。目的の場所はすぐにみつかった。その中にアジア言語の札があった。フィリピン語の書籍は数多く出版されていて、どれを買っていいのか判らなかった。内容を見て一番簡単そうに思えた物と会話に役立ちそうな物を買った。
自発的に勉強するなど、学生時代以来だ。あの頃に勉強した事で役に立っている物はほとんど無い。
家に帰るまで我慢出来ずに近くのカフェに入った。早速、簡単そうに見えたフィリピン語の本を取り出して1ページを開いてみた。
AKo Ikaw Siya
何か聞いた事がある言葉だ。5ページ辺りになるとさすがに難しくなったがこれなら何とかなりそうな予感がした。
家に戻り、パソコンを開いた。帰りの電車の中である事に気が付いた。これだけ英会話教室があるのだからフィリピン語教室があっても不思議ではない。
検索を開始して5分程度で三件のヒットがあった。二件はかなり遠い県外で無理がある。残す一件は個人のレッスンでマリアと言う名前から女の人だとわかった。心配なのはオレが見つけたレッスンの記事が1年以上も前に更新された物で、このマリアと言う人に連絡を取れるのかどうかも判らないし日本にまだ居るかすら判らない。オレは記載されていたフリーのメールアドレスにメールを送った。
こんにちは。
フィリピン語のレッスンを受けたいのですがまだレッスンしていますか。
電話ください。
メールの返事が来たのは夕食が終わりシャワーをしようとした時だった。
レッスンだいじょうぶです わたし わ もんだいあります あなたと わたし はなし しましょ
マリア 090××52×8×9
電話番号があったのでオレは電話をした。やはり緊張する。呼出音が鳴っている間、何語で挨拶すればいいのかと間抜けな事を考えていた。
ハロー?
相手が出た。
オレがレッスンの件と切り出すと相手はフレンドリーに自己紹介をしてくれた。日本人と結婚していて子供がいる事。旦那さんとはフィリピンで仕事で知り合い、旦那さんは大手の電機メーカーに勤めている。彼女が言う問題と言うのは旦那さんがインドネシアに赴任する為、彼女も同行する。日本には、あと1ヶ月程しか居ないのでレッスンは4回程度で終わる。それでも良いなら教えますと言う事だった。
オレはお願いした。店で聞くフィリピン語よりは勉強になりそうな気がした。
レッスンは日曜日の午後2時から3時までで、一回のレッスンは二千円。来週から開始だと彼女が言った。
電話を切ってオレはシャワーに打たれながらアコ、イカウ、シャと繰返し言ってみた。
休みの日にオレは街の中心地に出掛けた。大型の書店に入ると外国語のコーナーを探した。目的の場所はすぐにみつかった。その中にアジア言語の札があった。フィリピン語の書籍は数多く出版されていて、どれを買っていいのか判らなかった。内容を見て一番簡単そうに思えた物と会話に役立ちそうな物を買った。
自発的に勉強するなど、学生時代以来だ。あの頃に勉強した事で役に立っている物はほとんど無い。
家に帰るまで我慢出来ずに近くのカフェに入った。早速、簡単そうに見えたフィリピン語の本を取り出して1ページを開いてみた。
AKo Ikaw Siya
何か聞いた事がある言葉だ。5ページ辺りになるとさすがに難しくなったがこれなら何とかなりそうな予感がした。
家に戻り、パソコンを開いた。帰りの電車の中である事に気が付いた。これだけ英会話教室があるのだからフィリピン語教室があっても不思議ではない。
検索を開始して5分程度で三件のヒットがあった。二件はかなり遠い県外で無理がある。残す一件は個人のレッスンでマリアと言う名前から女の人だとわかった。心配なのはオレが見つけたレッスンの記事が1年以上も前に更新された物で、このマリアと言う人に連絡を取れるのかどうかも判らないし日本にまだ居るかすら判らない。オレは記載されていたフリーのメールアドレスにメールを送った。
こんにちは。
フィリピン語のレッスンを受けたいのですがまだレッスンしていますか。
電話ください。
メールの返事が来たのは夕食が終わりシャワーをしようとした時だった。
レッスンだいじょうぶです わたし わ もんだいあります あなたと わたし はなし しましょ
マリア 090××52×8×9
電話番号があったのでオレは電話をした。やはり緊張する。呼出音が鳴っている間、何語で挨拶すればいいのかと間抜けな事を考えていた。
ハロー?
相手が出た。
オレがレッスンの件と切り出すと相手はフレンドリーに自己紹介をしてくれた。日本人と結婚していて子供がいる事。旦那さんとはフィリピンで仕事で知り合い、旦那さんは大手の電機メーカーに勤めている。彼女が言う問題と言うのは旦那さんがインドネシアに赴任する為、彼女も同行する。日本には、あと1ヶ月程しか居ないのでレッスンは4回程度で終わる。それでも良いなら教えますと言う事だった。
オレはお願いした。店で聞くフィリピン語よりは勉強になりそうな気がした。
レッスンは日曜日の午後2時から3時までで、一回のレッスンは二千円。来週から開始だと彼女が言った。
電話を切ってオレはシャワーに打たれながらアコ、イカウ、シャと繰返し言ってみた。