日本人… 特に 京都人は お月さま にうるさい⁉︎ ようで 今年も雲龍院では 仲秋の名月あたりの 4連夜、お月見の会を催しておりました。過去ブログを辿ってみると早 8回目。ひと文字写経と満月弁当、武家点前のお茶席、月夜の活花、 篠笛の演奏会、そして月を愛でる… と 盛り沢山のひと時を過ごして頂く事に変わりは無いのですが 年々 それぞれの内容がレベルアップしていて 8年間でかなり豪華な会となり… 。口コミで噂になっていたのか⁉︎ 連日 満席となり たくさんの方々に至福の時間を過ごして頂きました。
ひと文字写経は お月見の会 の前に住職が一年間のひと文字 を決定致します。今年は [ 照 ]。記録的な猛暑や大雨、台風や地震 等と 天災続きの昨今ですが 仏様のご加護や教えが あまねく 万民に降り注ぎ 照らし出される事を願い 選んだ漢字なのだそうです。 ついでに お月様の光も照らされる事を念じつつ 皆さま 上手にお写経をして お薬師様に奉納し、お食事場所の書院へ…。沖よし さんの満月弁当は このお月見の会の為に住職が頼み込んで考案して頂いたメニューで、お月様と秋の豊穣を感じさせる上品な見た目に歓声が上がり 皆様 舌鼓を打っていらっしゃいました。
その後は 悟りの間へご案内。織部流の武家点前は 和蝋燭の灯りが幽玄に照らし出される中を 袴姿の男性が立った姿で一人一人のお抹茶を点てていきます。お菓子は 夢政所さんの[皇月] 。お茶の香りが部屋いっぱいに広がり 気持ちがぐっと高まって来られる頃に 木々の中から お月さまが顔を出してまいりました。当初 この4日間は雨の予報だったのですが、不思議なことに 近づくに従って雨マークが消えていき 朧月ではありましたが 連日お姿を拝めたのはありがたい事でした。
そして最後は 森田玲先生・香織先生による 篠笛の演奏。大輪の間 の障子を取っ払い 庭園をバックにしての演奏会は野外コンサートの趣きで、いっぱいな虫の音の中に透き通った篠笛の音色が心地よく響き渡り 心が満される感覚を覚えました。森田先生ご夫妻のトークも冴え渡っており 夫婦漫才…⁉︎ 笑いと感動の四半刻は瞬く間に過ぎ、退場は 「秋の音」という曲を吹きながら庭の奥へと消えて行く演出。音色がだんだん遠くなる中で 森田先生がふっと振り返るシーンがあったのですが ふわりと音の風が吹いたかのような錯覚を感じ…。そして 残された 虫の音と月の光が余韻を盛り立ててくれたのでした。