色の好みも同じ? 一卵性双生児の不思議 その3 | UNOSANO.NET 彩リノススメ

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サプリメントカラーは、身の回りに特定の色を配置することによって、心理的な変化をもたらすものです。人それぞれの個性によって、サプリメントカラーは異なり、またその人の体調によっても必要な色は異なります。

 

私は、「社会意識」に積極性を見せた姉の恵美さんには青を、消極性を見せた妹の真美さんには赤を処方しました。

ところが、生活を24時間共にする一卵性双生児の場合、異なる色の処方をしても、相手の色が視界に入ってしまうので、実験効果があまり期待できません。

 

私たちはさんざん悩んだ結果、あるユニークな方法を考えだしました。それは「色メガネ」をかけることです。

卒論のための大事な心理実験なので、少々突飛な方法でも構わないという姉妹の提案で、私たちは、色セロファンを張った紙製のメガネを作ることにしました。

恵美さんには青のセロファンを張ったメガネを、真美さんには赤のセロファンを張ったメガネを、1日のうちに1時間だけ、このメガネをかけて過ごしてもらうのです。

 

こうすれば、お互い相手のメガネの色は視界に入りますが、その影響はごくわずかなものです。その一方で、メガネの内側から見る世界はその色1色……。大きな心理効果が期待できます。

これ以上に効果的な方法はないように思えて、このアイディアに到達した時は、皆思わず歓声をあげてしまいました。

 

 

翌日、「色メガネ」を作るために、薄いボール紙と色セロファンを持って、恵美さん真美さん姉妹が私のところを訪れました。

こういった工作は、私の得意とするところです。私は自分の使っているサングラスの形状を元に、簡単な紙製のメガネを作成しました。出来上がりもなかなかのものでした。

 

思わぬ工作の楽しさに、ふたりは大喜び。この頃は、まだスマホは普及していませんでしたが、もし彼女たちがスマホを持っていたら、それぞれメガネをかけたお互いを写真に撮って、インスタグラムにアップしていたかもしれません。

 

実験期間は2週間。いつ、どこで、どのくらいの時間使ったかを記録し、2週間後には再び私のオフィスで、色彩心理診断を受けること。危険を避けるために、メガネは必ず室内だけで使うこと。体調に影響することを避けるため、決して長時間は使わないこと。そういった手順を決めて、姉妹は帰っていきました。

 

ところが……。

この「色メガネ」の実験は、2週間の時を待たずに中止となってしまいました。

なぜなら、メガネを使い出して1週間後あたりから、赤のメガネをかけた真美さんに、偏頭痛が出るようになってしまったのです。

 

ふたりは最初、メガネの使用を1日1時間と決めていました。ですが、より大きな効果を期待して、ふたりで打ち合わせをし、メガネの使用時間を伸ばしたのです。

最初の日は、夜眠る前に1時間だけかけていました。翌日には朝起きてすぐにかけ、また昼間、大学の授業中にもかけるようになり、日を追うごとにメガネをかける時間が長くなっていったといいます。

 

「少々やり過ぎてしまったみたいで……。そうしたら昨日あたりから、メガネをかけると頭痛がするようになったんです」と、電話で真美さんは語りました。

この話を聞いた私は、即座に中止を申し入れました。

そして、ふたりに再びオフィスにきてもらうようにお願いしたのです。

 

メガネを取れば真美さんの偏頭痛が収まるとのことでしたので、私はふたりと話し合い、このまま中止してもらうことにしました。ふたりは続けたいようでしたが、たとえ1週間でも、実験を行ったことには違いありません。

現段階で色彩心理診断を再度受けてもらう……ということで、納得してもらいました。

 

そして、色彩心理診断の結果は……。

青のメガネを使った姉の恵美さんに、変化はありませんでした。社会に対する積極性も以前のままで、多少意識が沈静化する傾向は見えましたが、変化というほどのものではありません。

一方、赤のメガネを使った真美さんは、社会意識が明らかに変化し、姉の真美さんに近い状態を示しました。

つまり、社会に対して積極性がある……というのは、2人の「常態」だということが、この結果からわかりました。

 

真美さんの診断結果に変化があったことで、ふたりは実験効果が出たと喜んでいましたが、私から見ますと、成功とは言えないレベルでした。

この程度の変化であれば、何の処置もしなくても起き得る範囲だからです。人の意識は、 様々な出来事に出会うたびに変化します。中には、その時の気分で、価値観が真逆になってしまう人もいます。

 

ですが恵美さん、真美さん姉妹にとっては、今回の実験はかなり価値のあることだったようです。

最初の色彩心理診断で異なる結果が出たこと。赤いメガネをかけた真美さんに偏頭痛が出て、青いメガネの恵美さんには出なかったこと。1週間後の色彩心理診断では、ふたりの診断結果がほぼ同じになったこと……。

 

ただ、今回の実験で、心理診断こそ大きな収穫はありませんでしたが、私も1点だけ驚いたことがあります。

それは、これまでピッタリ一致していたふたりの「生理の周期」が、この「色メガネ」生活によってずれたことでした。

 

赤メガネをかけた真美さんは、生理が予定より2日早く訪れ、青メガネをかけた恵美さんは、半日から1日程度遅れたそうです。

ふたりは、「心理状態は、身体のメカニズムに影響する」という形で論文に記載する……と喜んでいましたが、この事実が、はたして心理学の卒論にふさわしいかどうか、疑問が残るところです。

ですが、「心と身体にとって、色の影響力がどれほど大きいか」を改めて確認できた、私にとっては貴重な体験となったのです。

 

 

 

佐野みずき公式サイト  http://www.rays.cx/

佐野みずき著書『“サプリメントカラー”で意識を変える・癒しと気づきのカラーセラピー』

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