見た目はとても快活で、何事にも前向きな専業主婦の和美さん。
家族にも経済的にも恵まれ、幸せを謳歌する自分のライフスタイルが、彼女にとっては、とても大切なものだったようです。
ですが、和美さんの心の奥深いところに潜む「怒り」のエネルギーは、長年の間に固くしこり、簡単にほどけるようなものではありませんでした。
500枚近くのカードを使用した「基本診断」のプロセスで、私がそういったことを語り始めると、和美さんの表情がだんだん翳り、言葉も少なくなってきました。
「実は最近、偏頭痛がするようになったので、変だなと思っていました」
病院に行ったけれど、検査では何も悪いところが見つからなかったと、彼女は語りました。
実は体調の崩れは、ストレスからきているのではないかと疑っていたこと。そして今回、色彩心理診断を受ける影の動機に、自分の心の中をのぞきたい、という思いもあったようだと、彼女は語りました。
「やっぱりストレスだったんですよね。
でも、それを認めるのが怖いです。そういう自分は嫌いです」
和美さんの診断結果を見て、私は果たしてそれをどこまで彼女に伝えるべきか、大変迷いました。和美さんはおそらく、そのような結果を伝えられることを、望んではいないだろうと思ったからです。
ですが、実際は和美さんは自分の心を直視する方向を選択しました。
私の問いに答え、私の分析にうなずき、次に自分で自分を分析し、最後に長年溜めていた思いを吐き出したのです。
「汚い言葉」を使う自分は嫌いだ……と言いながら。
診断を進める過程で明らかになったのは、和美さんのストレスの対象は、ご主人のご両親。特にお姑さんの干渉が、和美さんを苦しめているようでした。
お姑さんは大変人柄の良い方ですが、まだお若くエネルギッシュでした。
明るく努力家の嫁を大変可愛がり、よかれと思っていろいろ世話を焼いてくれるようですが、その行動が、ときどき行き過ぎてしまうようでした。
ご夫婦の生活、子育ての方向性、和美さんのファッションや立ち居振る舞いまで口を出し、それが和美さんの趣味や、嗜好と異なることが 強いストレスになっていたようです。
和美さんは、お姑さんの好意から出ていることと捉え、多少のことには動じないおおらかな嫁を演じてきました。またそんな自分が好きでした。
お姑さんに対する苦手意識を認めようとせず、なかったことにして暮らしてきたのですが、それが限界にきていた……ということがわかったのです。
「あなたの心の中が、よくわかったということですが……。
お姑さんとの関係において、これからはどうされますか?」
「わかりません。きっと帰ったら今まで通りに振る舞うと思います。
でも前とは違って……心から無邪気に笑うことはできないかもしれませんね。
無理していることを自覚しつつ、やっぱり今までの私を続けるのかなぁ」
現状では、ご主人の両親と別居することは叶わず、それが和美さんにとっては、もどかしいようでした。
和美さんのようなケースでは、 問題が明らかになったところで、具体的な解決案を何ひとつ提示できず、正直、セラピストとしては無力感を感じます。
「でも、頑張ってみます。やれそうな気がする。やれますよたぶん」
最後には、そう言って帰って行かれた和美さん。
何もかも奇麗さっぱりと吐き出した5時間後の彼女は、清々しく、たくましい印象が備わったように、私には見えました。
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