夫の心理を知りたいと願った妻 | UNOSANO.NET 彩リノススメ

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こんにちは、佐野みずきです。
今回は、あるご夫婦のエピソードをご紹介したいと思います。

色彩診断は、予約を頂いた当日に初めて被験者の方にお会いし、その場で診断を行うことが普通です。
予備知識なしにダイレクトに診断に入ったほうが、ニュートラルな立ち位置で被験者の方に向かい合えるので、いつも可能な限りそのようにさせて頂いています。
ですが、中には診断前に打ち合わせを行う場合もあります。それは、ご相談にいらした方が診断を受けるのではなく、被験者がその方の伴侶やお子さん、知り合いの方だったりする場合です。

ある時、10数年連れ添った夫の心理を知りたいので、診断を受けさせたいと、私を訪ねていらした方がいました。依頼者の女性は金本優子さん(仮名)。38歳の専業主婦の方で、ご主人は41歳で会計士をやっているというお話でした。
その際、診断はご夫妻のご自宅で行い、ご主人には私を友人として紹介させてほしいとのご希望でした。つまり、ご主人に心理診断を行うことを伏せたいというのです。

彼女に理由を聞いたところ、1年ほど前からご主人との会話がなくなったとのこと。最近はご主人が何を考えているのかわからず、浮気を疑ってもいるが、ご主人にそれを正面切って訊ねることができず、悩んでいるとのことでした。
私を介して夫婦の会話を取り戻したい……というご依頼のようで、正直これには、かなり困惑しました。
私は夫婦問題のカウンセラーではないし、まして500枚近くのカードを使用する色彩心理診断を行う場合、ご本人の了解なしに、進めることはできないからです。

私は、ご自宅にお伺いするのは構わないが、診断に関しては、演出したりごまかしたり、嘘を言ったりすることはできないと、お伝えしました。
また、真意を伏せて診断を行っても、それが良い結果に繋がるとは思えない……という、私個人の考えもお伝えしたのです。


その1週間後……。私は金本優子さんから、ご主人が、色彩心理診断を受けることを了承したという連絡を頂きました。
優子さんのお話では、ご主人は、心理診断のようなものはまったく信じず、また他人のアドバイスもいっさい受け付けない性格だそうです。それが最初、心理診断であることを伏せたがった理由でした。
ところがなぜか今回はご主人が診断を受けることを了承、私はご夫妻のお宅をお訪ねすることになったのです。

ご主人の孝さん(仮名)は、優子さんからお聞きしていたのとは、まったく異なる印象の方でした。エリート街道をまっすぐに歩いて来た方で、経済力もあり、自信に満ち溢れ、どちらかといえば傲慢なタイプをイメージしていました。
ところが、実際のご主人は、500枚のカードの前で途方にくれたような表情を見せ、私の目には、草食系の臆病な動物のように見えたのです。

診断の際、私は優子さんに、ご主人と二人きりにしていただくように、お願いしました。そして、カードを選んでいる時は、私はご主人に背を向けて座りました。
他人の目を意識せずに行った方が、より正確に診断できると判断したからです。

診断結果で、ご主人は大変な苦悩を抱えていらっしゃることがわかりました。
細かい事情はわかりませんが、現在所属している会計事務所の中で、以前のような権勢を振るうことができず、すっかり自信を失っている状態でした。
またそれが肉体的にも大きな影響を及ぼし、ご主人は一時的な性的不能に陥っていたのです。

そのため、夫婦の営みがなくなって約1年。お二人はお互いにその問題を口にすることができず、それがますますご主人の内面に悪影響を及ぼし、悪循環となっていたのでした。
ところが、結婚当初からご主人は妻に対して強気のポーズを崩せず、また奥様も一歩控えて夫についていくという姿勢を崩せなかったため、心を通わせる会話を失ってしまったのです。

優子さんの悩みは、夫婦生活がなくなってしまったことの不安でした。
それを口に出すことが恥ずかしく、ストレートに診断士の私にも伝えることもできず、「さりげなく主人の真意を探ってほしい。会話を取り戻したい」といった、曖昧な依頼になってしまったのです。

私は、カードに現れた状況をシビアにお伝えすることにしました。
その結果は、ご主人の自尊心を粉々に砕いてしまったかもしれません。ですが、目の前にある状況はごまかしようのない事実で、それを認めない限り、問題解決には一歩も踏み出せません。
ご主人の仕事上の悩みをなくすことはできませんが、せめて家庭では鎧を脱いでほしいと、私はお伝えしました。
すると、ご主人は「私もずっと、そうしたいと思っていました。キッカケがほしかった」と、おっしゃったのです。

ご主人の了解のもと、私は診断結果を奥様の優子さんにお伝えしました。
優子さんは、自分が長い間、何も知らずにいたことを恥じ、またご主人を大きく誤解していたことを悔やんでいました。
今回、ご主人が心理診断を受ける気になったのも、それだけご自身が追いつめられているからで、また、ご主人が溺れそうになる寸前に、奥様の助け舟が間に合った形と言えそうです。

その後、おふたりが何を話し合ったのか……また、夫婦仲が改善できたのかどうかは知りません。
ですが、毎年頂くおふたりの年賀状から、きっと山は乗り越えられたのだろうな……と、想像している私です。


【TOPICS】
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佐野みずき公式サイト  http://www.rays.cx/
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