今回は拝殿&本殿など楼門の内側を回った後の「歩き方」をご提案します。
奥宮をはじめ、ご神域の西側方面に向かいます。
下総國・一之宮
『香取神宮の歩き方』
Vol.4 《奥宮に行く》
メディアに登場しない、『裂々神社』や『祖霊社』にも立ち寄ります。
◆香取神宮『奥宮』
◆スタート=楼門
◆楼門内側から外側を見る
◆境内図
楼門を出たら、画面中央・緑色の矢印の方向に進みます。
上図のように進むと、右手に手水舎、左手に総門です。
◆境内末社
左:市神社・天降神社
右:馬場殿神社
案内図にはありませんが、市神社は、竈(かまど)神社を合祀しています。
→by『香取神宮小史』
◆御祭神
市神社(事代主神)
→合祀:竈神社(奥津比古命、奥津比女命)
天降神社(伊伎志邇保命いきしにほのみこと、鑰守神=かぎもりのかみ)
馬場殿神社(建速須佐之男命)
◆天降神社(あまくだり神社)
御祭神:鑰守神(かぎもりのかみ)
左が当社です。日本書記に、高天原の入り口に門戸ありとなす。その関(=戸)を開いて、うんぬん。と。天孫降臨に際して、天の関を開いて送り出された。と考えられます。
関があれば、関守がいるのは当然。当社の祭神は鑰守神、すなわち関守です。
◆玉垣
総門から続く、朱色の玉垣。この内側が境内です。
写真の右手に石段があり、降りると玉垣の外側=境外に出ます。
◆石段
石段の下から境外。この先は、旧参道であり、津宮鳥居や香取駅につながる道です。
【境外】
◆宮中
石段を下りた先は、香取町宮中という区域。旧参道には、民家や商店が点在します。
境内に背にして、旧参道を下ります。
◆裂々神社(さくさく神社)
御祭神:石裂神、根裂神
(いわさく神、ねさく神)
経津主神の祖父と祖母にあたる神さまです。
当社への進入路は、旧参道を右折。おそらく、私道なのでしょう。それを突き進んだ右手石垣の上に鎮座しています。
◆経津主神との関係
この社殿は、かなり古く、「膃殿(あさめどの)」と呼ばれる建築様式で、現在の本殿がこの様式となっているそうです。
また、当社は、本殿が式年遷宮の際には、仮殿として用いられたようです
by香取神宮でいつもお世話になっているS氏
となると、当社の祭神はどうなるのでしょう。
当社を主祭神に明け渡した祖父母神は、大戸神社の仮殿に遷座したそうです。
この神社、狭い空間でしたが、石段を上ると、とても良い空気に満ちていました。
◆雨乞塚
聖武天皇の天平4年、天下大旱の時、壇を設けて雨を祈りし所なりといふ。
by『香取神宮小史』
結果、霊験あって雨が降りました。よって、「神宮」の称号を賜りました。
by『香取私記』
◎雨乞塚は、十字路の交差点に建てられています。
直進=祖霊社
右折=摂社・又見神社&香取駅方面
左折=摂社・奥宮
◆香取 祖霊社
雨乞塚の30mほど先、道路右手が社頭です。
※祖霊社を摂社と記したブログが散見されます。しかし、それは事実誤認。昭和8年に社務所が発行した『香取神宮小史』の「摂社末社」の項目には記載がありません。おそらく、所管社ではないでしょうか。鹿島神宮でも「祖霊社」は所管社でした。
◆神宮寺の跡地
「神仏分離令」によって破壊された、神宮寺「金剛宝寺」の跡に祖霊社が建立されました。したがって、明治時代以降に建てられた神社です。
◆祖霊社・本殿
御祭神:不明
御祭神=神宮氏子の祖霊を祀っている、と考えるのが常識的ではないでしょうか。
(参考)神社検索『八百万の神』では、十一面観世音菩薩と紹介されていました。この菩薩は、神宮寺の御本尊です。
◆又見神社(摂社)
御祭神:天苗加命(=経津主神の御子神)、武沼井命、天押雲命
鎮座地は、雨乞塚から200mほどの距離です。手前は、末社・三島神社。
※当社は、香取氏にとってきわめて重要な神社です。
→筆者記事『又見神社』にて詳細に記述しております。
【奥宮】(摂社)
◆奥宮への参道
◆参道から遠望
◆瑞垣御門
土日は、ご覧のように御門が開放されます。
◆奥宮(境外摂社)
御祭神:経津主大神の荒魂
『香取神宮小史』には、「奥宮神社」と書かれていて、7つある境外摂社の中の1社であり、特別扱いされておりません。
ちなみに、境内摂社は、匝瑳神社と鹿島新宮の2社のみ。
この2社は、香取神宮・本殿から数メートルの位置に鎮座しています。
◆月曜~金曜の奥宮
平日は、このように瑞垣御門を閉じています。
◆式年遷宮の古材
現在の社殿は、昭和48年伊勢神宮『式年遷宮』のあと、その古材を拝領して造営しました。
◆下山する
「奥宮」社頭のY字路を左に入り、坂を下っていくと、表参道・赤鳥居(=二之鳥居)のところに出ます。
◆赤鳥居を遠望
坂道を降りる途中、左手に赤鳥居を遠望できます。
坂道を下りきると十字路があります。
そこを左=赤鳥居~表参道、右=土産物街~駐車場、直進=境外末社・王子神社。
【境外末社】
◆王子神社
先の十字路から、200mほど坂道を上った右手。王子台という地域に鎮座します。
◆御祭神:御兒神
『香取小史』には、上のように記されていました。「おこがみ」と読むのでしょうか。経津主神の御子となれば、又見神社の祭神と同じで、天苗加命(あめのなえます)ということになります。
◆社殿がない
鳥居の先は、大木とその根元に拍子抜けするほど小さな石祠。社殿はありません。
【御朱印】
今回のテーマが《奥宮に行く》なので、奥宮の御朱印を挙げておきます。
【参拝ルート】
2019年12月 1日
「奥宮へ行く」
START=香取神宮・楼門~馬場殿神社&市神社・天降神社~裂々神社~雨乞塚~祖霊社~又見神社&三島神社~奥宮(御朱印拝受)~王子神社~バス停「香取神宮」=GOAL
【編集後記】
◆香取神宮の「塚」
①雨乞塚
こちらは、本文で取り上げました。
②星塚
この塚は、星神=迦々背男(カガセオ)の霊を鎮め祭るところなり。神宮境内に有り。by『香取神宮小史』p.47
→現在、星塚は常設されておりません。
※カガセオの霊を鎮める祭として、毎年1月に『星鎮祭』が斎行されています。その際に「星塚」が仮設されます。
◆北面
香取神宮では、あまたある摂社・末社の中で北を向いている神社が2社あります。ひとつは、「奥宮」。もうひとつは、総門と楼門の間に鎮座する「諏訪神社」です。この2社が北面する理由は不明です。
◆香取神宮の歩き方
バックナンバーもございます。よろしければ、ご覧ください。
以上、《歩き方》シリーズ第4回を終えます。ありがとうございました。(了)