巨匠デヴィッド・リーン監督の数ある名作の中でも紛れもない最
高傑作で、アカデミー賞7部門受賞作品。1914年、第一次大戦
中の激動するアラブ社会に突如現れた英国人 T・E・ロレンス。
砂漠とその民を深く愛し、しかし 英国人であるがために深い挫
折に追い込まれていく青年リーダー、ロレンスの苦悩を中心に、
砂漠の一大戦争スペクタクルを展開していく。リーン監督が、長
年 こだわり続けている “人間と自然” “西欧文明と異文化の相
克”のテーマがここでも徹底して描かれ、深い感動を呼ぶ。
1916年、カイロに赴いている英国陸軍のロレンス少尉は、トルコ
への反乱に意気込むアラブ民族の 現状を確かめに向かった。
そこで彼は反乱軍の非力を痛感し、アラブ種族をまとめ上げて
ゲリラ戦へ打って出ることに。やがて、トルコの一大拠点を巡っ
て激闘を展開し、勝利する。そして、再びゲリラ戦の指揮官とし
て新しい任務を与えられ、 トルコ軍を打倒するロレンス。 だがし
かし、一方でアラブ同士の争いが起こり、彼も尽力むなしく徐々
に孤立していく…。
2013年12月14日、俳優のピーター・オトゥールさんが 81歳で亡
くなりました。 オトゥールさんといったら、何と言っても代表作は
「アラビアのロレンス」(1962年)ですよねぇ~ ほぼ、初出演で
主演したこのT・E・ロレンス役が 生涯のベスト・アクトとなりまし
た。188cmの長身、金髪に緑青色の瞳。賞賛と中傷、毀誉褒貶
相半ばするその人柄に、ほぼ無名だったオトゥールさんはまさ
にピッタリの人選でした
オスカー2度受賞の巨匠デヴィッド・リーン監督、音楽はこちらも
オスカー3度受賞の名手モーリス・ジャール作曲、上映時間227
分、2年3ヶ月という長期の制作期間、現在の価値で3億ドルと
いわれる製作費…どれもが 最高の条件・状況で作られた傑作
でしたね。地平線の彼方の蜃気楼が次第に黒い人影となり、ベ
ドウィンの族長が現れるシーン、夕日に染まるアカバ海岸、ラク
ダで 灼熱のネフド砂漠を越えて行くロレンス… 名シーンをあげ
たらきりがありません
こんな映画はもう二度と観られないのでしょうね。ピーター・オト
ゥールさんのご冥福をお祈りいたします
「アラビアのロレンス」(1962年)
監督 デヴィッド・リーン
製作 サム・スピーゲル
原作 トマス・エドワード・ロレンス
脚本 ロバート・ボルト
撮影 フレデリック・A・ヤング、ニコラス・ローグ
音楽 モーリス・ジャール
出演 ピーター・オトゥール(トマス・エドワード・ロレンス)
アレック・ギネス (ファイサル王子)
オマー・シャリフ (シャリーフ・アリ)
アンソニー・クイン (アウダ・アブ・タイ)
ジャック・ホーキンス (アレンビー将軍)
アーサー・ケネディ (ジャクソン・ベントリー)
アンソニー・クエイル(ブライトン大佐)
ホセ・ファーラー (ベイ司令官)