伊坂幸太郎 『夜の国のクーパー』 (東京創元社) 1,680円
[作品紹介]
この国は戦争に負けたのだそうだ。占領軍の先発隊がやって
きて、冠人が殺されてしまう。そして、……。 これは猫と戦争と、
そして何より、世界の理のおはなし。 どこか不思議になつかし
いような/誰も一度も読んだことのない物語。ジャンル分けな
ど不要不可能、伊坂幸太郎渾身の書き下ろし長編小説第10
弾
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処女作『オーデュボンの祈り』で“案山子に喋らせる”という手
法を使った伊坂さん。 この作品では、今度は猫が喋ります
そういう意味では、 書き下ろし10作目で、 原点回帰したのか
なぁ~ でも、今度の“異国”は時間、空間、しかも次元まで
違うような奇想天外な世界。 しかし、この世界は現代に、今の
日本に繋がっているような気がしてなりません…。
仙台に住む伊坂さんには、震災の影響は大きく、その意味で
渾身の作品です。“国とは”“政治とは”“政治家とは”
“統治とは”“戦争とは”“平和とは”・・・。 「何が正しく
て、何が誤っているのか、自分で判断しろ」 「言われたことを
やるか、もしくは、自分がやるべきだとおもったことをやるか」
「どんなものでも、疑わず鵜呑みにすると痛い目に遭うぞ」…
珠玉の台詞が心の琴線に響きます
ただ、タイトルの意味は分かったような、分からなかったよう
な “夜の国”は「情報の無い世界のこと」。 “クーパー”
は「クック・パイン」。 最後のネタバレだけは、『ガリバー旅
行記』だったけどねぇ~