2009/12/26 朝日新聞のオピニオンにおいて、「養成課程6年制?教員の質下げますよ(丹波健夫さん元河合塾理事)」という記事がありました。
要点としては、民主党が教員の資質向上としてマニュフェストに掲げた「教員養成課程6年制」に対して、「この方針は時期尚早であり、今の日本で実施すれば教員養成系大学の人気が落ち、かえって教員の質は低下する」と主張しているものです。
根拠としては、フィンランドなどに比べ、大学での教員養成系人気は低く、6年制に今移行すれば志願者が激減することが予想されること。また合格者の平均偏差値も現在のところ国立の系統別偏差値の中で芸術・体育系に次ぐ低さであるので、こうした大学入学生が6年間の大学授業に耐えられるのかといった疑問を呈しています。また、教員養成6年制をする前に、(1)1クラスの子供数をせめてOECD平均並みにするために教員を増やす(2)正規採用を増やし、臨時採用を極力減らす(3)教員を雑務から解放するため、事務スタッフを増員する ことをあげています。
さて私見ですが、制度論に入る前に、現状の教員養成系大学で何が足りないのかという議論が先に来るかと思います。フィンランドでは、教員の卵は現場で教育実習をすると必ず大学にいったんもどってフィードバックを担当教授から受けます。そしてまたその反省点を元に再び教育実習をする。このようなステップを数回繰り返すのだそうです。ですから、実践的演習と理論を踏まえた形の形態になっています。今、フィンランド並みのこうした手厚い指導をしている教育大学というのはあるのでしょうか? 座学をとりあえずこなせばよいという時代ではありません。しかし教員免許更新制の授業評判(同僚が参加)などを聞いていても、座学中心の受け売り知識的抗議が多いと聞きます。こうした大学・大学院の体制のままで制度だけすりかえてもあまり効果は期待できません。
世の中の複雑な変化や流れの速さに対応できる教員を育てるべく教員養成系の大学教育が変わらなくてはならないと思います。
丹波さんが述べる、その前にやること(1)~(3)は全く賛成です。しかし、これは大学6年制とセットで考えるというよりは、単独に実現してもらいたい政策課題という位置づけとなると思います。今の教育現場にふさわしい大学での学びの課程がやはり6年本当に必要だということになったら、それは綿密な授業プランのもとに必要な年数での制度にすべきだと思いました。
教職系の大学・大学院でどんな学習をプラニングすべきかなどについても、おいおい提言していきたいと考えています。