テレビやビデオをみている時の脳の活動 | 続・教育のとびら

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主宰 福島 毅(どんぐり)

一般に、幼児にビデオをみせると、静かにそれを見ているために、保育をする側が楽になるということが知られているようです。しかし、このことは、幼児の脳の発育についてよくない影響があるのではないかということで、取りやめている保育施設が増えているということもまた耳にしました。

大人も子供も同様ですが、最近の脳科学の書に書いてあるのは、映像を見ている時の脳は、ある意味休んでおり、眠っている状態と言えるということです。映像を処理するために、脳の多くの部分は使われていますが、それは画像を処理するためのプロセッサーとして動作しているということになります。知的生産とはあまり関係がないんですね。

人の知的活動では、自分の脳内に有機的につながったネットワークから芋づる式に記憶の箱を引き出して断片を取り出してそれを再結合し、新たな知としてしまいこみます。単に受け身になってしまって映像を見ているだけではこの作業はあまり行われていないでしょう。もし、映像を見ながら知的生産もするならば、映像を見ながら要点をメモったり、疑問点や矛盾点を見つけ出したりするという活動を伴う方が効果的だと考えます。

幼児にとっては、前述のような知的生産をすることが不可能なため、ただみっぱなしという時間になると思います。ビデオ映像などが全くダメという主張ではなく、この時間が大半になってしまってはまずいであろうということになります。

時には連れて行きたくてもすぐに行けない場所、世の中の不思議、こうしたものを映像を通して学ぶということは大切だと思います。アニメーションなどを見ていろいろ想像してみるという作業も必要かもしれません。しかし、バランスが大切です。それオンリーの時間が長すぎるとしたらそれは再考しなければならないと思いますし、こうしたことをもっと学者が提案すべきだと思います。