動物の研究において、”子どもの遊び”の重要性が指摘されています。
霊長類などをはじめとし、群れなどをつくって社会性のある生活を営む動物たちは、その子ども期において遊びが重要な要素であるといいます。道具を使ってあそんだり、おっかけっこをしたり、じゃれあったりして遊ぶことで、仲間とのコミュニケーションを取り方を学んだり、狩りをする方法、身体の様々な使い方などを学ぶというわけです。
ひるがえって人間生活を考えてみると、子供達の環境はますます人工的・孤立的になりつつあるといえるでしょう。異なる世代はもちろんのこと、同世代の人口も少ないのでそもそも遊ぼうと思ってもすぐに集まれない環境であったりします。また都市部ではマンションが増え、外に出ない子ども。治安悪化で子供達だけが集う広場などでのびのび遊ぶことも少なくなってしまいました。
また、コンピュータゲームやおもちゃにしてもハイテクなものが増え、壊して原理をさぐったり、積み木のような自由度がある遊びも少なくなりました。加えて、粘土や木などのぬくもりのある素材に触れる機会も田舎であっても減ってきているのではないでしょうか。
社会性は学校での定型的な学習のみで学べるはずはなく、遊びを通して、コミュニケーションの取り方、相手との距離の置き方、自分の立ち位置を学び、自然の中の素材で自然の不思議や畏敬の念などを自然と知っていくのではないでしょうか。
”勉強と遊び”というように対立する概念で語られる”遊び”ですが、その有用性や意味をもう一度といなおし、社会性を身につけていくための積極的な遊びへのコンタクトというものを再びデザインしていかなくてはならない時代だと思います。