インドと医療と影の部分 | 北インド☆ゆるヨガライフ

北インド☆ゆるヨガライフ

ヒマラヤで出会った夫と、北インドローカル暮らし8年目。
お見合いが主流のインドで年の差婚、3度の流産、文化や習慣の違いに奮闘中。
スラム支援のNGOで働いたり、子宮腺筋症と共存しながらゆるーくヨガを続けたり。
40代インド生活の気づきと学びです。

今日は36度になるって。東に面してるウチは午前中から太陽に照らされて温室効果。ねっとりとした室温に、早く目が覚めてもちょっとだけ憂鬱。太陽光の強さで、外のプラスチック製の洗濯バサミがバキバキ折れる季節。自然の力は偉大だ。恵みを受け取るのにも、こちらの心がけが必要だ。

 

昨晩も1時までゲームに勤しんでいた夫。朝6時からスマホが鳴り続けてたけど、とても眠くて起きれない。見るとお義母さんからの電話。私は基本、夫の電話には出ないので放置。

 

昨日村からチャンディガール郊外のお義姉さん宅に出てきたお義母さん。最近体調が良くなかったらしく、ようやく電話を取った夫によると、

 

「国立大学付属病院に行くから付き添って」とのリクエストだった。

 

PGIというこの国立病院、すごく古くてすごく大きい。そして地域医療の拠点なため、もの凄い人混みで果てしなく待たされるのだ。インドの平均的な国立病院に総じて言えることだと思うけど、システムも人員も医療機器も満足に整っておらず、患者への配慮など最低限。

 

必然的に、1人の患者に何人もの家族を付き添いとして必要とするのは致し方ない。トイレも限られた場所にあったり、薬局・食堂・レントゲン質等の施設まで行くのに、迷路のような建物のいくつもの棟を越えて行かなくてはならない。

 

私が去年入院した時は救急で入ったので初診は待たなかったけど、その後訪れた外来の現状は凄まじかった。朝から1日がかりで、ゴザとお弁当持ってひたすら床に座り込んで待ち続ける家族が大勢いる。

 

お義母さんの既往症は「高血圧」にまつわる諸症状。67歳のお義母さん、もう何年も苦しんでいるらしい。処方された薬を見せてくれた事があったけど、1日3回6種類も服用するのだとか。インドの錠剤の大きさもあって、もの凄い量に感じた。

 

私の実家の母も高血圧だけど、ここ数年の新薬の効果もあり、日常生活に支障をきたさずに症状をコントロールすることが可能になっている。74歳の母、毎日スキーに出かけ友だちとランチして「楽しかったよ〜」と生き生きしてる。

 

1つの例にすぎないけれど、日本とインドの医療の差、ライフスタイルの差、そして考え方の違いってちょっと先が見えない程、途方もないなーと感じる。

 

 

夫はもう2週間休みなしで働いてる。やはり疲れるのか、帰宅してチャパティ焼いてくれて夕食を終えた後は、クリケット中継やゲームで息抜きしたいみたい。この前は私がまた将来が不安になって笑、ガミガミ言っちゃったけど、今はそっとしておこうと。それなのに今朝のお義母さんコールで、ご飯も食べずに朝早くから病院に借り出されて行った。仕事は遅刻させてもらうんだろうなぁ。

 

夫の職場のボスは、70代のシーク教ご夫婦。でっかいターバンに長いヒゲを蓄えて恰幅の良い、ユーモアたっぷりのサルダールおじさんと、こちらも恰幅が良くて優しい雰囲気の奥さま。毎日交代でボス席に座って店番に出る勤勉なご夫婦だ。

 

そのマダムジーが、一昨日の夜に心臓発作で入院した。今も私立病院のICUにいるらしい。日曜出勤の日にはスタッフにランチを作って来て振舞ってくれたり、ボスには内緒で笑毎日おやつを配ったり、心優しいマダムジのことも心配。きっとボスも気が気じゃないのに、昨日は売り上げ目標達成を目指して1日中店を守っていたらしい。

 

身近な人たちの健康状態を目の当たりにしても、日本のような医療水準や生活習慣病の予防方法が浸透していれば、防げるようにも見えてしまうのがもどかしい。去年はお義兄さんのお父さんが脳梗塞で寝たきりになってしまった。暮れには夫を可愛がってくれていたパキスタン出身のアンティも急逝。今年は私のボスのお母さまが「食事を喉に詰まらせて」帰らぬ人に。

 

みんな私の親世代だけど、何かあっけないなって。。

 

哀しいなって。

 

 

 

インドの平均的な暮らしをしている夫と一緒になって、まずはこの地に根着くため、ローカルなライフスタイルを適用している私にとって、インドの抱える課題や矛盾や、いわゆる影の部分は他人事ではない。

 

インド人なら「これがインド。当たり前」って受け入れて過ごせることも、母国の価値観がしっかり根付いているので、信じられないような、時に許せないようなこともある。

 

多分、広く共感してもらえない事も多々ある。そもそも、日本の一般的な常識では考えられない土台の元に暮らしているのだった。笑

 



今朝はちょっと重い気持ちだったけど、これからの人生への大切な課題をもらっているようなだ。大切な思い。


 

私、ポジティブで素敵なお話満載のブログ記事を読むのは大好きで、沢山のブロガーさんにとても元気づけらる。


一方悩み中な記事、ゴタゴタの記事もあると思うけど、あまり目に止まらない。そう思うと私のブログも気晴らしにはならないし、読みにくいだろうな笑。

 

でも。

 

他人さまの悩みはその人のもの。その人の尊い学び。こちら側の都合や主観で介入するものでもない。その悩み自体や自分との闘いの過程を広く公開できる方は、とても潔くてスゴいなと思う。自分で探して見つける答えは強い。結果、多くの人に参考になる普遍性にもつながって行くと思う。


SNS時代が来て「偉人」ではないの普通の人の生き方がどんどん語られて、私もきっと頑張れるって思って参考に出来るなんて、人生に迷う多くの人にとって革命的なことだ。

 

「参考」にしながらも、自分の胸に問うしかない。ヨガや瞑想のプラクティスでも、知識と体感はセットだけどそれぞれ全く別のチャンネル。今の私はインドの悲惨な現状をほとんど情報、チョロっと体験で見てる。アンバランスの只中にいる。体験を会得するためには時間が必要だと思ってる。ヨガや仏教の修行者も、知識、感覚、感情、魂の統合に一生をかける。

 


私も、一生かけても安住出来るかどうか、とうてい分からない道に踏み出したのだと思う。夫の幸せが私の幸せになった。インドの幸せを沢山見つけたいと思うし、できれば少しでも安心や笑顔を作ってみたいと思う。

 


日本政府がインド政府に向けて、新たに医療機器の支援を開始したニュースを見た。切実に、インドの医療水準の早期の底上げを願わずにはいられない。弱った時に、安心して頼れる医療機関が身近になるように。