先日、事務局の女の子と、ちょっとした衝突をした。
その日から、なぜか落ち込みの連鎖が止まらない。笑
スラム出身で17才の頃から十数年、ヘルスプロモーター(スラムの家庭訪問をする民生員の様な役割)を続けて来たサンギタ。資格試験のために2週間お休みをしていて、帰って来たら元気がなさそうだった。みんなその様子に気付いていた様だけど、本人は何も言わず、ただ業務中の会話でもツンケンした態度が収まらなかった。
団体の主催する幼稚園では、毎年クリスマス会が開かれる。私は初めて参加するので今からワクワク。例年どんな様子なのか気になっていた。皆でランチを食べていたら、ろうあ者のアヴィナシュ君が手話で事務局長のアンジェリに「今年のクリスマス会は何日だっけ?」と聞いてきた。
会話が聞き取れない彼も、ヒンディー語が出来ない私も、行事の予定を把握するのがかなり遅れる。こちらから聞かないと知らされない事も多々あるのだ。
アン「24日よ。楽しみね!子供たちにセーターと帽子と手袋のプレゼント準備しなくちゃ。」
わぁー豪華なプレゼント!あとはどんな感じになるんだろう?と思い、
私「スタッフもサンタのコスチューム着るの?」と、何の気なしに聞いた途端。私の向えに座っていたサンギタが、
「着る訳ないでしょ!私はジョーカーじゃないし」
そう言って、私たちが何か言う前にプイっと立ち上がり、食べ終わった食器を持ってキッチンに去って行った。プリプリ怒って。笑
「ジョーカー」って、、、??多分「道化師」の様な意味合いで、「笑われ者」にはならない!(バカにしないで)って事だとは思ったけど、あまりに突拍子もない事だったので、私もつい気になって、キッチンに様子を見に行ったのが間違いだったかもしれない。
どうしたの〜?大丈夫?と話しかけても、「あなたとは話したくない」とプイっとオフィスに逃げて行く。これを、見逃せなかったのが私の弱さだったんだろうか。
(と言うか、小さな事を大事に広げたくないけど、言わなきゃならない事は言おうよという感じでいるから、それなりの事が起きるのはしょうがない。)
「ちょっと待って」と、言ってしまった。笑
「クリスマスにサンタのコスチュームを着るのか聞いたのであって、あなたがジョーカーだなんて言っても思ってもいないよ。。。どうしたの?」と。
(我ながら、嫌な奴ーー笑)
サンギタは再び「別に何でもないし、話したくもない。関係ないでしょ」と言って逃げようとした。ここでそっとしておいてあげられたら、、、と今は後悔している。でもこの時私はただ、次にかける言葉に迷って、そこに立ち尽くしてしまっていた。
「分かったわ。アイム・ソーリー!これでいい?」
そう言って、彼女はオフィスに立ち去った。
。。。。
この一件があってから、私はフリーズしたままだ。それどころか、彼女ともオフィスとも直接的には関係のない、自分の中で絡まり合った私的な感情が次々を湧き上がり、そのどれもが強烈な威力で私の平常心を奪って行く。
何やってるんだろうな。。。
強烈な無力感。何をどう頑張っても、良かれと思って最善を尽くしても、私は誤解されたまま、この異国では誰一人として私に心の内を明かしてくれる人もなく、誰かと心の通う温かな日常も、ずっとずっと味わえない。
こんな風に、負の連鎖の連想ゲームみたいに一直線にネガティブな結論に至ってしまうのは、やはり私が弱いから。彼女が悪いんじゃない。むしろ彼女は全然関係なかった。それも本当、失礼な話。
こういう場面、反抗期の小学生を教えていた時は日常茶飯事だった。反抗して突っ張って、何を言っても跳ね返してくる小さな身体の中には、いつも切ないSOSが見えた。家庭の事情も把握しているから、どうしてそうなっているのかも予想がつく。家庭では誰にも助けを求められなくなっている状態で、私たち外部の大人にも、再び裏切られるのを恐れながら、それでも少し心を開いて、信頼を試して来る子たち。
そこまで見えてても、今の私はポンコツ過ぎて、ただただ、無力さ加減に泣けるのと、人のケアどころじゃないよアナタ、って思うのと。
私はつい、サンギタが気になってしまう。とてもパワフルで、魅力的で、理知的な女性。アートの才能に優れていて、どんな場面でも磨けばすぐにリーダーシップを発揮出来そうな、羨ましいタイプでもある。
だから、どうしてたまにもの凄く後ろ向き発言をして、カリスマ性もあるだけに、チーム全員を一瞬地獄に道連れにしちゃうのか、もったいないって思ってしまう。
そしてどうして、いつもそれとなく、私に対する態度だけがサイアクなのかも。笑
たまたまその日は私がチャイを作って皆に出してみるも、彼女だけは断固として受け取らず。。。そんな気分なのか、、、と。相手は良い大人なので、私も「嫌な気分にさせたらごめんね」と謝って、それ以上は介入する気力も湧かず。史上最大に仕事の捗らない1日になった。
アヴィナシュ君が、笑顔、笑顔!とジェスチャーで励ましてくれる。アンジェリも、大丈夫、気にしないで、あなたのせいじゃないとハグしてくれた。ありがとうと返しながらも、頭がボーっとして来る。
私はやっぱり、ダメなんじゃないか。
ザ・暗黒思考が頭をもたげた。笑
インドで暮らすのなんて。
いっちょまいのインド人みたいに(←変になってる)
インドで仕事をするなんて。
インドのやり方で家事をして
インドのやり方で結婚して
インド式の披露宴なんてして
インドの事しか考えてない
インド人の夫と一緒に
一生暮らして行くなんて(←話が飛躍した)
もう絶対絶対
何もかも
全然無理なんじゃないのーーーー???
って、最上級のマイナス思考になって
この後そいつが夫に襲いかかるのでした。
つづく(といいな笑)