駆け落ち婚に、幸あれ! | 北インド☆ゆるヨガライフ

北インド☆ゆるヨガライフ

ヒマラヤで出会った夫と、北インドローカル暮らし8年目。
お見合いが主流のインドで年の差婚、3度の流産、文化や習慣の違いに奮闘中。
スラム支援のNGOで働いたり、子宮腺筋症と共存しながらゆるーくヨガを続けたり。
40代インド生活の気づきと学びです。

近所に住む夫の親友、S君。夫の田舎でも、家同士が割と近所らしい。

 

S君は以前にもブログで何度か登場していて、去年の私たちの宗教婚で証人になってくれたり、まだ私が来たばかりの頃はよく部屋に遊びに行ったり。

 

夫が駆け落ちするものと親戚が誤解して、夫を村に連れ戻そうと暴力を奮った時も、いち早く私に連絡をくれたのはS君だった。血相を変えて「大変な事になった」と。あの時は一瞬、交通事故にでも遭ったかと思って心臓が凍りついたっけ(かすり傷で済みました)。


夫より3才年上のS君は責任感が強く、真面目で堅実。

 

その一方で、自分を曲げない頑固さもピカイチ。自分の価値観が絶対だって思いたいタイプ。でもまだ自信がないのか、外国人の私を見ると自分の正しさを確かめたいかの様に、色々とふっかけてくる。

 

前回ブログでS君が登場したのは、S君が私に「インド料理を作って見せてごらんよ」的な事を言った時かな。それも、私の家のキッチンで。

 

インドの人って、「インドはNo.1である」(仮)っていう幻想に取り付かれてる人も多い。それは教育なのか、健全な競争心からなのか、劣等感の塊なのかは良く知らない。笑

 

具体的な#1記録を提示する訳でもなく、事実無根の思い込みで「だからインドって凄いんだ。ジャイヒンドゥ。」とか言われても、共通概念のない外国人にはポッカーンて感じ。

 

例えば私が「インド料理好きだし、日本でもよく食べてたよー」って、会話の流れで言ったとする。それをジャイヒンドゥーな彼らは、おそらく拡大解釈してしまうらしい。

 

私がインド人と結婚してインドに住んでるって事実でさえ、彼らの都合の良い様に解釈されてる感じさえするし(=そんなにインドが好きなのは、インドがスゴイ国だからか!ジャイヒンドゥ!みたいな。笑)

 

 

違うから。笑笑笑

 

 

真面目なのはよく分かる。一生懸命なのも。熱いヤツだってことも。でもねー、自分の価値観だけを押し付けて(こっちの話とか全く聞かないで)、順位も何もはかれますか?

 

 

まずは、お互いを知ること。

 

健全な国際競争も、そこからなんじゃないの???

 

 

って、日本のおばさんは思っちゃう。だから「インド料理作れ」事件以来、S君とは適度な距離を置いてきた。笑

 

 

教え込まれた価値観も良いけど、それを一旦取り払って、自由意志で深く思考出来るようになって始めて、集団の中で抜きん出ることも、結果を残すことも出来るんじゃないのか。ま日本もインドも集団思考が強いから、出る釘は変わり者で終わるのかもしれないが(私ー!笑)。

 

 

先日のこと。久々にラジャスタン州から帰郷した友人のための飲み会で、S君宅に行って来た夫が、

 

「S、明日ついに駆け落ち婚実行だって!」

 

と、半ば興奮気味に、嬉しそうに教えてくれた。3年越しの付き合いの大学生の彼女と、いよいよ作戦実行に移るらしい。

 

彼女の両親からずーっと反対されていて、何度も直接会いに行っても却下。ついには出禁にまでなってしまい、S君の両親も兄弟も困り果てていた。彼女の父親は軍の幹部で厳しい人らしい。拒否する理由は、彼女の家のカーストがS君の家よりも上だからと言うもの。

 

いまだにインドでは結婚はお見合いがほとんど。その理由は、カーストっていうその家の地位を守ったり、経済状況だったり。まだ「恋愛」が結婚理由になるほど、甘い状況ではないのだろう。それこそ古い価値観を、よく考えもせずに守り通したいのかもしれない。

 

それって自分を正当化して、相手を認めないことにも通じる。

 

 

法律ではカーストで結婚や進学、身分の差別をすることはとっくに禁止になっている。時代の流れはインドだって避けられない。人の思いを尊重してこそ、自分も尊重される流れが出来て行くのだろう。

 

彼女には何度か会ったことがある。まだ大学4年生、今どきの女の子だけど、しっかりしてそうに見えた。でも私はちょっとだけ、心配で仕方ない。

 

 

何しろ私たち自身も「駆け落ち」すると誤解され、彼の家族やアパートの大家さんから言われのない仕打ちを受けたので、本当に駆け落ちしちゃったら、どんなトラブルが起こるかも分からない。

 

何度も書くけどインド社会って、日本のように価値観が多様でも、寛容な訳でもないから尚更。宗教婚をして婚姻証明書を取ることは出来るけど、そこからが長い道のりのような。。。

 

 

そして昨日。夫が「見て!S君たち、無事に結婚式(宗教婚)出来たみたいだよ」って、彼の携帯に送られて来た、S君と彼女の婚礼衣装姿のツーショットを見せてくれた。

 

S君、幸せそう。。。

Mちゃんも、いい笑顔。。!

 

3年越しの純愛を実らせて、とうとう宗教婚を挙げた2人の姿を見て、少しホッとするやら、さぁいよいよ色々始まるぞー(周りがね)って感じるやら。どうかこの先暴力沙汰とか、彼らの意志を無理やり捻じ曲げる様な暴挙が働かれませんように。。。!

 

そのために、私が出来ることはあるのか、ないのか。笑

 

 

発覚を避けて別の町で婚姻登録をするという2人は、これから1週間ほど新婚旅行の予定。近所のS君のアパートに帰って来るのか、どうなのか。もし帰って来て新婚生活を始めるのだとしたら、心細いであろう彼女のために、何か出来ることをしてあげたいなぁとか。

 

これが日本だったら、全力で止めてただろうけど!笑

 

 

S君がよく冗談半分で「This is INDIA!」って言うのだけど、そうだよね。これがインドの現実なのだろう。だから今回は何も言わずに、そっと応援出来たらと思う。

 

私たちも国際結婚だったとは言え、彼の家族が全部を納得するまで待つことは出来なかった。結婚は本人同士の一大事。インドもこうやって、個人レベルから少しずつ変わって行くんだろう。

 

価値観は、移り変わる。

 

 

まるで生き物のように、どんどん新しい技術や知識を取り入れて、インド社会も変容しているのを感じる。

 

人道的な良し悪し、社会的な利益不利益、個人の嗜好に合う合わない、色々なレベルの価値観があって、この地に足を踏み入れたばかりの私は、目が回りそうになるほど気持ちが揺れることもある。

 

でも自分の価値観を大切にするってことは、ずっと頑固に変わらずにいることではない。日本バンザイって主張することでもない。ジャイヒンドゥーになることでもない。自分の芯の部分は大切にしながら、しなやかに、感謝してこの場所で生きて行きたい。

 

 

S君がちょっと前まで「彼女の両親が許せない。僕たちの結婚を受け入れてくれても良いのに。」って、怒ってたのを思い出す。その時は、それはちょっと違うよ〜。お互いに許せないんじゃ、ずっと平行線じゃない?なんて思ったものだけど。

 

でもま、まずは実力行使できっかけを作っておいて、その後全面的に向き合う覚悟があれば、それはそれで、収まるところに収まるものだろう。

 

 

きっとお互いが少しだけ心を緩めて、お互いの良さ、巡り会えた幸せが見えるようになったら、魔法の扉が開くんだろうな(妄想が止まらない)。

 

 

偶然はすべて必然だと、ヨガの先生が教えてくれた。

 

 

そう思うだけで、どんな出会いもキラキラ輝き出す気がする。