※私自身の主観で記した闘病の手記です。
闘病を完了する上で、大事な意味があり記しています。事実の記録として公開もしています。手術や痛みに関する表現を詳細にしています。苦手な方はスルーしてね♪
※現在は退院して経過は良好です!
3月26日(月)
エコーの受診を待つこと1時間。幸い小さな待合室があったので、夫は仮眠を取っていた。3名が呼ばれて診察室内へ。
オペ室もだけれど、国立病院の設備ってプライバシーとかほとんどない。エコー室には仕切りのカーテンはあるけど、小さな部屋に患者さんも複数名入って来るから、丸見え。確かに救急の患者ばかりなのでそれどころじゃないけれど。
私の番が来て、診察台に横になる。1番えらい中年の女医さんが担当。昨夜の救急からのオペで、子宮内に取り残しがないか見てくれる。モニターを見ながら若手の女医と看護師に、ヒンディー語でテキパキと説明している。私も、雰囲気で分かってしまった。まだ組織が残っているらしい。
覚悟はしていたけど、何だろう、泣きっ面に蜂ってこのことか、と思っていた。OKなら退院出来ると期待してた夫にも申し訳ない。また時間がかかるなら、も少し昼寝してくれればなぁとも。
すぐに病棟に戻り、医師からの指示。「あなたはもう一度、オペします。」ガーン。タロットカードでタワーと死神がいっぺんに出た感じ。落ち込もうと泣こうと結果は変わらないので、意を決してオペ室に戻る。夫もガーンって顔してた。行ってくるねと、最後に握手。
と思ったら、ここからが長かった。オペ室入りが午後5時頃。実際のオペが午後11時頃だったか。
6時頃にひどく熱が上がっているのを感じ、看護師に言って計測。華氏104度の数字が見えた。この時は分かってなかったけど、摂氏40度じゃんね?看護師が慌て気味に出て行って、点滴を持って戻って来て付けてくれた。熱冷ますやつー?
昨夜から叫んだり唸ったりしているお向かえの若い妊婦さん、この時は痛みも最高潮らしく、病棟中に響き渡る断末魔の叫び。あまりの凄まじさに、誰も何も言わずに目をそらしてうつむく感じ。この中で、同室していた3名のオペが進行した。。。
私はと言うと、こんな熱出てオペなんて出来るものかいなーと疑問に。看護師に聞くと、問題ないからすると言う。ええー。ガッガリ。(笑)ついでに私、一体いつ退院できるのと聞いてみた。オペが終わって出血が収まったら、と。そりゃそうだ。今晩中は無理そうだった。
昨晩のオペと違って、意識はハッキリとある。痛み止めは打って下さいと伝えてOKは出ていたけど、長い長ーい待ち時間、恐怖に負けじと必死であった。1メートルも離れていない隣のオペ台では、先ほどから3人目のオペが進行中。痛いの見えるし聞こえるし。
もう寝てしまおう!と、目を閉じてしばらくしたら、黒いベールで全身を被ったムスリムの若い女子が来て、私に病院食のキチョリをくれた。よく分からないながら食べ始めて、びっくり。こんなに美味しいキチョリ(ダルとお米のお粥)は初めてだった。同じ料理とは思えない程!
5人も6人もが、下半身裸でオペ台に横たわる手術室で、唐突に差入れられたお粥が思いがけず絶品で、それを手づかみで夢中になって食べているなんて、何てシュールな絵なんだろう。。そんな風に思いながらも、手が止まらない。トマトが効いてるのか、ガーリックの風味なのか。笑
すると今度は、誰か付添いのおばさまらしき人が来て、自分の携帯電話を私に差し出して来た。出ると、うちの夫から。「オペ室男子禁制だからアンティに頼んじゃった。サブウェイのデリバリー頼んだから、もうすぐ来るからね。オペ頑張って。」と…。う、うん。。。頑張るヨと言ったけど、今お粥食べたばかりだし。サブウェイ好きだし嬉しいはずが、緊張感が勝ってた。
すでに午後9時くらい。同胞?がバッサバッサとやられて行くのを横目に見ながら腹ごしらえをし、気合十分、準備万端か(戦国武将?)と思いきや、何だかもよおしてきた。許可を貰って「最後の」おトイレへ。廊下に出ると、使ってない車椅子に座り、楽しそうにゲームに勤しむ夫の姿が。何だろう、もの凄く心が和んだ、この時。
「まだオペの順番来ないよー」と知らせると、トイレまで付き添ってくれた。二人でオペ室に戻るとドクターが、「あなた、15分位外で待ってて」と。入口のドアも閉められた。言われた通りに詰め所の椅子に腰掛けて待つ。すると中から、私の向かえのベッドでずーっと悶絶していた若い妊婦さん、その絶叫が更に高まり、医師たちの動きも激しくなった。
あの妊婦さん、心配だった。ずっとモニターを付けられて、心音がしていたから赤ちゃんは居ると思われたけど、昨夜から唸り声が尋常じゃなくて、相当苦しんでいると思われたから。付添いの母親でさえ、会話も成立しない程。
叫び声が響く中、詰め所にいた看護師も患者も一切の動きを止めてうつむいていた。状況は分からないながら私も、頑張れ、どうか無事でと祈らずにはいられなかった。そして一瞬、お母さんの叫びが途絶えた。。と、思うと間もなく、「ウンギャ~!」と、この上なく力強い赤ちゃんの産声が!う、産まれたーー!!
病棟中に響き渡る声で唸っていたお母さんの子だけに?その声も大きいこと!よく分からないけど、涙がこぼれた。良かった〜!こんなに何人もが赤ちゃんを失って、取っ替え引っ替え手術を受ける中で、生まれる命は奇跡だった。みんなの願いで、宝ものだった。
よっしゃ~私もやったろう、と、ムクムクやる気?が湧いてきた。恐怖が何だ、痛みが何だ、あんな困難な出産を乗り越えるお母さんもいる。悪いけど、助からないんじゃないか?と多くが思ってたかもしれない位、壮絶だったのに、ちゃんと命は元気に生まれた。女性はきっと強いはず、命って強いんだ、私にもきっと越えられる。。!
大げさなようだけど、それ位、気持ちを鼓舞してから手術台に上がった。オペが始まると同時に、左側から筋肉注射が打たれ、両手でベッドの手すりを掴みながら、全力で痛みに耐えた。周りには悪かったけど、何度も叫んだと思う。涙も出た。時間にして5分強くらいだった。終わったのと同時に、力尽きて眠りに落ちていた。
続きます。